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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

完成品画像 A6M5 零戦52型 1/72 ハセガワ

 

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零戦52型は1943年8月に初飛行しました。この後52甲,52乙,52丙と続く零戦最大生産数の型式となります。

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長砲身高初速の改良型20mm機銃を搭載。格闘性能よりも速度、武装を重視しました。

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主翼を32型同様の11mに短縮し翼端を円形に整形。外観上も性能上も最大の特徴である推力式単排気管を採用し、最高速は565km/hに達しました。

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それでも米軍のF6FやP51など新鋭機には性能的に及ばず、多くの苦杯を舐めました。

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末期には機体、搭乗員共にもはや開戦当時の力はなく、敗戦へと向かう日本を象徴する落日の機体となります。

  

----------------------製作記はこちらから-------------------

 

sigdesig.hatenablog.com

 

製作者後記

余談ながら、捕獲零戦の写真を漁っていてサイパン陥落の資料に触れることになりました。図らずも双方の膨大な死傷者の写真、バンザイクリフなどの記述に接し、人としてやはり心を痛めずにはおられません。戦争の悲惨さに改めて考えが至る、これもまたミリタリーモデルを作るという事なのだと思います。

 

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「零戦筆塗り隊」その十一 ”五二完成ス“

息も絶え絶えラストスパート!ゴールは間近だ。

機番問題

零戦も52型くらいになると尾翼の機番のサイズも随分と小さくなる。これも制空権を失いつつある証か。字が小さくなると老眼モデラーにとっての手描き難易度が飛躍的に上がるので当方としては切実だったりする。サンボルのおっちゃんでチャレンジだ。

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タハハ、この有様、、、何度か描いてみたが自分にはまだまだ実力不足と判断。

まあここは当初よりキットのものを使うつもりだったのでさほど問題ではない。実はこの「61-108」号機には胴体に青帯がある事を貼った後で気付いた。いや単に見落としていただけですが…

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「オー、マンマミーア!ペルドーニ」、、、あっ違った今回は日本人だ、ええと「何やッとるか貴ッ様〜」このまま海軍精神を棒で注入されてはたまらないので慌ててデカールの青帯を貼ったらそこだけ妙に浮いてしまって見るに耐えず即座にはがす。手描きしようにも両サイドに細い白縁がついていて、日の丸のフチのトラウマがよみがえる。


そこで一計を案じてみた、、、

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61-103号機だヨ!

、、、って「8」を半分に切っただけか。フリーランスの領収書改ざんじゃあるまいし、大体261空103号機なんて記録あるのか?。。

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「3」を動かして「1」を書いたヨ!「3」も少しタッチアップしたヨ!

ほ、これならそれっぽい。「61-131」号機なら写真がある。。。

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、、、「3」の字体が違うねえ、、、

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修正したヨ!もうこの辺で勘弁して欲しいヨ!

まあ、こんなもんだろう。これもまたハイブリッド・マーキング?!、、という訳で「塗り」はここらで終了とする。

トップコート 

塗膜とデカールの保護、艶出し、筆跡の補正を兼ねてのトップコートを施すことにする。いつもの様に水性クリアを吹き付ければ早いのだが、実はジョバンニ・ベンチュリーは未来人がけしかけた犬に頭を噛まれて凡才になっており、従ってベルヌーイの定理も発見されず、つまりスプレーというものが存在しない世界で、人々は全ての塗装を筆塗りで行なっていたのである、、、

という安手のSFアニメにありがちな設定ということにして無理矢理筆塗りしてしまう。折角ここまで筆塗り一本で来たのだから今更エアブラシやスプレーなんざ使いたくないのが本音。

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クリア代わりは水で薄めたマット・バーニッシュ。画像の通り白濁していて模型に塗るのに一抹の不安はあったが乾けば問題ないことは「実験体 第四十七号"サンボル"」で確認済み。ただしカッサカサのつや消しになっては「零戦ヌカ雑巾で毎日磨き隊」の人たちが不服を申し立てるのでこっそりペインティング・メディウムを混ぜておく。マット・バーニッシュはファレホのものが粒子が細かいのかきれいに仕上がる、気がする。。。よう知らんけど。[よう知らんけど];主に関西人が使う。文末に付け足された場合は不確かな情報の免罪符として用いられる。内容は全く事実無根であることが多い。

 

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カウリングもつけてツヤを合わせる。荒れた塗装肌にしっとりと潤いが出て吉瀬美智子ニベア肌、といった風合い。彼女のファンである自分としてもまことに嬉しい。これでなんとか見れる様になり模型として赤点は免れた様に思うが。。。41点!

風防その他小物

ここでいよいよ鼻息荒くゼロの風防のマスキングの端っこを剥がしにかかる。

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ジャーン! 段差部分のカピカピは爪楊枝の腹などで軽くこすって落としてやる。

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第一風防枠のスレハゲ具合がいい感じ。これはマスキングしないと筆塗りだけでは無理だった。機銃口から風防にかけてのうねりが、獰猛な猫科の獣の強靭な筋骨を覆うしなやかな皮膚を思わせる様で零戦の肝」だ、といつも思う。

いかんいかん、うっとり眺めてる場合ではない、スピナとプロペラを忘れていた。

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赤褐色も自作せねばならないのだ。Mrカラーを参考にバーント・アンバー、ミキシング・ヴァイオレットにランプ・ブラック少々。

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先端の黄帯、銘板なども手描き。本体同様に水+綿棒でこすってヤレ感を出す。仕上がりにはやや不満が残るが、ここまできてズルムケるとさすがに凹むのでどうしても綿棒を持つ手もひるむ。

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主脚等を取り付け。実機写真を見ると着艦フックは外してあるようにも見えるが、、、ともかく付けろとの長谷川様のご指示に従っておく。

おろ?機銃のパーツが片方見当たらない。どこかへ行方知れず、、、ええい是非もない。

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チャックにくわえた真鍮管にケガキ針を差し、リューターを低回転で回す。

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九九式二号銃の出来上がり。長砲身高初速に生まれ変わった二十ミリ「これでグラマンしばいたんねん」

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もちろん両側作る。わずかにラッパ状の先端がチャームポイントだが、こういう一対ものの形を揃えるのが自分はことに苦手だ。
怒涛のがぶり寄りでアンテナ柱その他の各パーツをつける。

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排気汚れのパステル少々のみでスミ入れやウェザリング、ドライブラシなどはしていない。それでも実感は十分。これで出来上がりとする。


これにて「謹賀零戦筆塗り」も大団円を迎える。

長文読了感謝、駄文乱文陳謝であります。

次回は完成品画像を。

 

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「零戦筆塗り隊」その十 ”「味」か、ただの「疵」か"

そろそろ、、、

日の丸問題

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円が歪んでいる。

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黒フチがヨレている。
主翼だけでも烏口コンパスを使えば良かったか。。。

…いくら筆塗りでもこれを「味」と豪語するほど自分の面の皮は厚くない。

デッサンの狂った旦那芸の素人水彩画を見せられて返答に窮することがよくある。その道を少しでもカジッた事がある人間は、門外漢にはわからぬ「疵(キズ)」にあっさり気付くものだ。例えばギターを弾く人なら路上バンドのチューニングのズレを、ライダーなら前を行くバイクのライン取りのミスを、さかなクンなら"ちりめんじゃこ"に紛れ込んだ"タコの赤ちゃん"を、それぞれ瞬時に見抜いてしまう。みな同じことだ。

我流で楽しむのは大いに結構だが、本当の「画」とは基本ができているのをフッと崩して「味」にしている。その違いを弁えないといけない。

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例えば先日見てきた美術館での鉛筆画の素描。

荷馬車の佇まいと遠景の空気感、なによりデッサンが素晴らしい。しかし近づいてよく見ると車輪は正しい楕円になっていない。むろん最初に絵を見た瞬間はそんなことは気にもならなかった。そう思って絵から数歩離れると車輪の歪みがすうっと馴染んでいき、むしろ使い込まれた木製の荷車の雰囲気として程よく伝わってくる。「ゆがみ」「表現」となっている。これこそが「味」だろう。

 

改めてオイラのゼロセンを見てみる、、、

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だめだこりゃ。「味」ではなく単なるド下手だ。

まず最初に円が歪んでることに目がいく。単なる「疵」だ。素人の絵の具遊びだ。まったく他人のことを言えた義理ではない。よくもこんなものを衆人環視のただ中に晒すことができるもんだと、ただちにブログを畳んで逃げ出したくなる。腕もないくせに「味」を出そうなど100年早い。もう上からデカール貼って覆い隠してしまおう。。。と一旦は考えた。

まあ小磯良平と自分を比べても仕方ない、と流石にそれは思いとどまる。だいたい1/72の日の丸の縁を筆塗りするなんて初めての経験なのだ。最初から誰もが上手く出来るはずもない。日の丸の赤の部分の手描き感は捨てるに忍びないし、、、と未練がましく悩んだあげく、、、

筆塗り&デカール

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デカールの黒フチ部分だけを切り取って手描きの日の丸の周囲に貼る、という実に姑息な手段を思いつく。これなら綺麗な円になるし日の丸の手描き感は残せる。烏口コンパスだと中心を外してしまう恐れが大いにあるが、デカールなら微調整もきく。

 

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手描きの黒フチがはみ出ていたのを修正。マアマアかな?。。だから周りの筆ムラはあとで修正するってばよう。

キットのデカールの色と自家調色の濃緑色の色調がどんぴしゃ同じとなったのは狙った訳ではなくたまたま。ここは自慢してもいいところだろうが、偶然を己の手柄にするのも面の皮の厚い奴の常套手段なのでやめておく。実機に比べ濃淡のコントラストがやや弱いようだが、アラが目立たないのでこれでヨシとする。

 

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胴体はデカールの切り残しと日の丸の歪み、、、

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タッチアップで修正。胴体色が濃くなったように見えるがこれは露出の違い。してみれば戦時中のモノクロ写真の濃淡などから色味を分析するのは、ぐるなび蕎麦屋の口コミから出汁昆布の産地を割り出すようなものだろう。

筆塗りの「味わい」デカール「キレの良さ」のいいとこ取りのハイブリッド・マーキング。自分みたいなヘッポコモデラーにとってはここら辺がほどよい落とし所だろうか。

黒フチだけ残してデカールを切り出すのは一発勝負なのでちょっと緊張した(なので写真を撮る余裕もなかった)サークルカッターとテンプレートでなんとか乗り切る。胴体面に筆で1mm幅の真円のラインを引くよりは楽だろう。

このハイブリッド法は他にも使えるかも知れない。例えばアメリカの国籍マークなど中央の大面積の星の部分だけ筆で手描きして周囲の丸フチや袖の長方形はデカールで逃げる、などなど。次に何に取り掛かるか既にイメージあったりして?

 

さあ次回はいよいよ最終回、、、となるか?!

 

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「零戦筆塗り隊」その九  ”荒ぶる魂"

前回気になった日の丸問題だが、 あまり一箇所ばかり凝視すると全体像が見えなくなってもいけない。ここは少し目先を変えよう。(我々はそれを"現実逃避"と呼ぶ)

カウリング

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カウリング色を調色。青に黒を加えていって青みが残るか残らないかというところで止める。意外と青みが強くて中隊全機のカウリングを塗れるくらいの量が出来てしまった。愛用の100均で買った3個入りの密閉容器パレットに保存する。といっても製作中のタッチアップに備える為で完成すれば中身だけ捨ててしまう。臭くなったりカビが生えたりすると嫌なので長期保存はしない。まあつぎに零戦を作る頃には「アレは間違い、カウリングは本当は烏濡羽色」などと誰かが言い出していることだろう。

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シャブシャブの平筆1回目。薄すぎたかな。

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平筆2回目。ここで一晩おく、なんてやってられない。このまま次の工程へ。

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細筆でタテタテヨコヨコ。

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水墨画みたいでもあり、、、黙々とタテタテヨコヨコ。

このあたりからタテタテヨコヨコはどうもやりにくい、と感じてきた。

「プラモデル筆塗り講座」的なものにはかならず「タテタテヨコヨコで塗り重ねましょう」と書いてあるのだが・・・

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全体を平筆塗りした後、水メン棒でこする。時間差の乾燥工程を省いたので慎重にしないとズルりと剥けてしまう。ま、剥けたらマジックリンで落としてイチからやり直しせば良い。絵の具は腐るほどあるし胴体と別パーツなのでやり直しは簡単簡単、と口で言うのは簡単だけどね。

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おう、なんだか凄みが出てきたぜ。

エンジンの熱の影響もあるのか実機で褪色が最も激しかったのはカウリングだった、と当時の関係者の談にある。なのでバランスを考えて、全体にもう一度濃緑色の極薄ガッシュを掛けて褪色を落ち着かせる。 

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零戦だッ!」しばし感慨に浸る。

アクリル絵の具の恩恵 

すこし余談になるが、ニオイから解放された模型作りがこれほど快適とは思わなかった。ノースメル、ノーストレス。エアコンかけてコーヒー飲みながらフンフンフーンと鼻歌交じりで塗っている。これがラッカー&エアブラシだと窓全開で冬は防寒ジャンパー、夏は上半身裸のパンツ一丁姿。防毒マスクをしてそれでも頭クラックラになりながら鬼の形相で15時間。まるで1万メートル上空の与圧キャビン装備のB-29とそれを迎撃する日本機の搭乗員ほどの環境差である。

 

この際なので青竹色も自作する。(全部アクリルでやりたかったのでラッカーで塗っていた青竹色をわざわざ落とした)

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ガッシュのシルバーを塗った上に実機通りこいつを薄く塗り重ねる。 調色に3色くらいしか使わないのは色の方向性を見失って自分が混乱しないように。

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ガッシュガッシュと機関車のように押しているが、そうイイコトばかりでもない。

ガッシュのシルバーは濃度のスイートスポットが狭い感じで塗りにくい。奥まったところに平滑に塗るのに難儀してなんだかメロメロ。。。ここツッコまれるんだろうなあ。。。素直にシルバーを混ぜて青竹色を作れば良かったか。

ただし濃度さえうまくこなせれば1/72の日本機の下面くらいならガッシュで銀塗装も結構いけそうな手応えはある。一度トライしてみたい。失敗は成功の母、となれるかどうか。待っちょれ「金属色はラッカー塗料一択」神話に風穴開けちゃるけえ。…え?そんな神話とうに消滅してる?

ウェザリング

さて、ウェザリング。筆塗りの段階で既に実感、質感を念頭にしているので特段汚す必要は感じない。ただし地味好みの自分は緑と赤の彩度を殺したくなる。出す所に出すなら色調は華やかな方が目立ってよいのだが、どうしてもコロしたい。コロしたいという自分を抑えることができないッ、、、危ない奴だな。

いつものベネチアンレッドをお見舞いするか、いや弱虫ガッシュに油彩などでウォッシングすればシュコロイチコロで溶けてしまう。なので同じガッシュセピアをグラデーションメディウムで極々薄く溶いたもので代用してみた。

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明度が落ちてちょっと白茶けた。再考の余地あり。だがかえって殺気だった気配を漂わせる雰囲気となった。

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自分はミリタリーものは普段からあまりピカピカには仕上げられない。完成品を「カッコイイ」とか「カワイイ」とか言わるよりも、むしろ「ゾクッとする」くらい言ってもらった方が嬉しい、とは大袈裟だが。いくら美辞麗句を並べてみたところで戦闘機はしょせん戦争の為の兵器、つきつめれば暴力装置の一端なのだ。あるいは自販機泥棒の"バールのようなもの"とでも言おうか。。。

ロクデナシ

 ...劣等生で十分だ、はみ出しもので構わない...         by Blue Hearts

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画像ではわかりにくいが塗装面が荒れている

いつものエアブラシによる塗装は緻密で均質な工場生産品のイメージだが、今回はそれとは180度違う。大雑把で不揃いでむしろ手作り感にあふれる手工芸品のようだ。これはこれで自分は好むし「南方の零戦52型」という文脈を読み取れる飛行機モデラーなら分かってくれる。

だが俯瞰して「精密スケールモデル的な視点から見れば、、、及第点はもらえんかもしれん。。。やれやれ、またハミ出してしまうなあ…

 

 

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「零戦筆塗り隊」その八 ”色褪せたライジング サン"

懸案の日の丸に筆を入れる。丸描いてちょん、てなわけにはいくまい。

日の丸

相変わらず右翼の下面のチキンスターター。

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ファレホのバーミリオンを使用。ケガキのラインに沿って慎重に塗り進める。

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米軍が撮影した敗戦直後に放置された日本機の日の丸がよくこんな感じになって「ツワモノどもが夢の跡」感を醸し出している。模型の塗装、というよりは絵を描いている気分になってきた。

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2回目。ところが戦争中の画像を見ると日の丸は意外と褪色しなかったようだ。さらに下面は陽があたらない。あと一回塗り込もうか。

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3回目。ファレホも筆塗りしやすい。もう少し安価で入手しやすければいいのだが。

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周囲をタッチアップしてマンマルに近づけていく。

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上面の日の丸は模型的表現で周囲に合わせて褪色させるか、史実を重んじるかでは後者に重点をおく(ゆえのファレホ使用でもある)、ほんのわずかに筆目を残した、、、つもりだったがファレホの隠蔽力が意外と高くて。。。

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胴体の日の丸は曲面がきつくてケガキ線が歪んでいたようだ。結局フリーハンドで挑むもヒョロヒョロの涙目ヒノマル君に。。。がっかり。テンプレートは沿わないしマスキングだと筆塗りでは段差が出来る。何かうまい方法がないものか。。。今回は黒フチで誤魔化そう。

褪色&剥がれ表現

さてここからが今回のメインイベント。完全硬化前のガッシュの塗膜の弱さを利用する。 

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水を含ませた綿棒で全体をなでてツヤを出しつつ、絵の具を落としていく。今日塗ったばかりの表層のガッシュ塗膜が弱いので、すぐに薄くなって昨日のタテヨコの筆目が現れてくる。

下地→全体塗り→筆目入れ→全体塗り、と各段階の層ごとに乾燥時間を置いていたのは、ガッシュ硬化度合いに差を出すため。アクリル塗料は表面が乾燥していても硬化までにさらに時間がかかる。(絵の具メーカーによると完全硬化まで72時間とのこと)

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筆目をさらにこすっていくと、全体塗りが出て来て、さらにこすると下地のグレーが顔を出す。そのあたりをうまく手なづけながら褪色表現をしていく。

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フィレットの付け根や操縦席周りなどスレハゲを局所的に表現したい部分は細い綿棒で幾分強めにこする。極薄マジックリン液を浸せばさらにペロンといくがコントロールが難しい。プラ地まで出たらやりすぎなので極薄濃緑色でタッチアップする。やや偶然に頼った技法かもしれないが、これが楽しくオモシロイのである。

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ここでは南太平洋の強烈な陽光、スコールなどによるざらし的褪色に加え、整備兵、搭乗者が何度も踏んだり触ったりして塗膜が薄くなって下地が透けてきたのだろう、という想定のもとでスレハゲ表現をしている。52丙型紫電改など戦争末期によく見られる、質の悪い塗料が硬化してペリペリと剥離したハガレは表現の仕方もまた違ってくる。 

 

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陽光を浴びる主翼水平尾翼、人の手が触れたり歩いたりする部分、内翼、操縦席周りなどを中心に褪色表現を施す。

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赤ライン、日の丸の濃緑フチ、味方識別帯を描き込む。日の丸のフチは案の定ヨレヨレになった。いかにも日の丸を避けて塗りました的な周囲のムラも不自然だ。これほどファレホの隠蔽力があるのなら、黒フチを一番最初に描いてから赤丸を塗れば良かったのだ。今更言ってももう遅いが。

次回のために正しい手順を記しておくと、、、

・二重円をケガく→翼全体を上面色で塗装する→水綿棒で円内をおおまかに抜く→フチの色(白または濃緑黒色)を塗る→水綿棒で円内をおおまかに抜く→赤丸を塗る。

その他にも日の丸の部分と他の外板の褪色具合の差も気になる。そもそも緑と赤の彩度がきつくケンカをしているし、胴体の日の丸はえらく歪んでいるぞう。ううぬ、いかにせむ。。。

オマケ

ちなみにしばしば画面に登場している零戦の下の架台は自作。
名付けて「九九式仮置ニ号」であります。

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どっかに転がってた発泡スチロール製ブロックを切って作ったもの。

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動かない様に下部に磁石を仕込んで鉛テープで止めてある。

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左の「仮置一号」の改良型

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こういうものを作っている時が一番楽しかったりする。 

 

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「零戦筆塗り隊」その七 ”風雨と灼熱の南方焼け"

 零戦筆塗りの二回目である。

筆目を入れる

この日は細筆に持ち替え、あえてムラを加えていく。筆塗りを選択した時点で精密でキレイで平滑な模型作りは目指していない。迫力、実感、雰囲気重視なのはもとからだが、そこに凄み、深み、味わい、といったものを付け加えたいと思う。せっかく筆塗りするのだからエアブラシ  では出来ない表現にトライする方が面白いのではないだろうか。

 

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絵の具の濃度は筆目が残る様にその都度その都度調整している。というか決め手がいまいちよくわかっていない。筆塗りは塗料の濃度筆さばきのコントロールが肝要なのだろう、ということだけはわかる。なんにせよ集中力が必要だ。

といってもエアブラシの様に塗装の日は朝から晩までかかっての天下分け目の一大決戦!みたいなことにはならないから楽だ。一日1時間づつでもマア構わない。疲れたら筆をチャプチャプっと水で洗ってパレットに蓋をすればハイおしまい、である。30分で腰のカラータイマーが点滅するギックリマンの自分にはうってつけかもしれない。

 

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タテタテ。

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半乾きを見計らってヨコヨコ、で塗りつぶす。この状態でドライヤーをあてる。

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これを続けていく。そこはかとなく筆目を残しつつ、なので場所によってはムラも出来るが、そこはそれ「味」なのである。

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むう、点々が残ってしまった。(胴体日の丸の上)。。。

ドライヤーでの強制乾燥を焦ると塗料溜まりが出来、この様に濃い染みになる。薄いガッシュを重ねていくのでこの痕跡は残ってしまう。むろん実際の機体にこんな模様は生まれない。だからこれは「味」ではなく「不自然な手跡」だ。何でもかんでも「味」と言えば免罪符になると思ったら大間違いでござる。。。うぬ、どうしてくれよう。

 

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ここは日本男児、潔くやり直します。水で溶いたマジックリンをつけた綿棒でしごいて落とす。タミヤアクリルの下地はまだ落ち切らず残っている。やはりガッシュに比べ塗膜が強いようだ。

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再度、薄溶きタミヤアクリルで下地を整え直す。 

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うまいこといきますやろか。

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なんとかリカバーできたか。。。

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作業途中。向かって左の主翼はムラムラ。右側、特に平筆で薄塗りを重ねた翼端は平滑に仕上がっている。この方がムラが消えて行ってキレイに仕上がるのだろう。今回は南方の零戦52型特有のヤレ感と褪色感を出したいのであえてムラと筆目を入れる。ムッシュムラムラでございます。

 

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筆目を残すのが目的だから斜めラインは入れない。この時点ではなんだか汚くて不安にかられるが、この段階で止めてまた一晩おく。気になって寝られず夜中に何度も、というほどではない。

全体カバー塗り

さて翌日。

平筆に持ち直し、さらに水で薄めたガッシュをより全体的な濃緑色の発色を求めて数回重ねる。パネルごとでなくやや大きなブロックごとに(例えば主翼なら内翼、外翼など)塗る。塗る、というか色付き水で撫でる感じ。今回は塗膜の均一さを狙うためグラデーションメディウムを加えたのでドライヤーでの強制乾燥は控え目。

 

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褪色が激しそうな部分とそうでもない部分で多少の差はつけるが自分は影の強調まではしない。

AFVやフィギュアでよく見るシェーディングは飛行機模型には合わない気がする。あの技法に従えば下面は真っ黒けにしないといけないが、大方の軍用機は上面に比べ下面色の方が明るい。(ランカスターなど一部例外を除く)工場で製造されてからP-47にペシャンコにされるまで一生下面を人目にさらすことなどない慎ましやかなタイガー戦車などとは違って、飛行機はバンクもすれば宙返りもする、パンツ下面丸見えなのだ。

全体の調子は良くなってきた。せっかくチマチマとつけた筆目やムラを覆い隠してしまうようだが、筆目はこの後、掘り起こす算段だ。

 

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何度も極薄ガッシュを重ねたので自然なグラデーションが付き、筋彫りやパネルにも立体感が出ている。リベットの存在感もクド過ぎずにいい塩梅。ただまあ全面リベットにフラットブラックで墨入れ、バフでドライブラシ、ってな方が模型としてはメリハリがあって目立つだろう。しやかてウチはこういう薄口なほうが好みなんどす、という人向けの「極薄ガッシュ重ね」。

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機銃のアクセスパネルや点検孔などは塗り残して調子をつけてみた。補助翼は羽布張りなので褪色しないだろうから逆に塗り重ねておく。全体色はこの辺でいいだろう、と見極め。

ただ日の丸の周りの筆さばき具合がよろしくない。ここはサンボルのオッチャンで試した様に全塗装してから日の丸部分をマジックリンで抜いた方が良かったかも、、、とこの辺で気づくがもう遅い。。。次は日の丸や味方識別帯、赤ラインなどなど。果たしてうまく塗れるだろうか。

 

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「零戦筆塗り隊」その六 ”雅の水彩零戦"

では零戦に筆で色を塗ろう。

いつまで正月気分でおるのだとお叱りを受けそうなので今回から見出しを変更した。相変わらずお題が馬鹿なのはブログ主の頭脳を素直に表してるものとお許しを乞う次第である。最初は正月休みにチャチャッと作る積りだったのが筆塗りに傾いてしまって思わぬ展開となったのはブログ主の計画性のなさを露呈しているものとお笑いくだされ。

飛行機模型に「極薄ガッシュ重ね」は初めてだから「このようにして作った」という自分自身の備忘録という意味合いで事細かに記してある。しかるに失敗にいたる連続写真的なものになる恐れは大いにある。「こうやれば誰でも簡単に上手くいく」というテクニック講座とは程遠いので良い子は真似をしてはいけない。

普段模型誌などに滅多に目を通さないので模型界の時勢に疎い自分である。なのですでに何処かの誰かが試していたらゴメンなさい、と先に謝っておく。

ケガキ

さすがに尾翼の機番は無理でも味方識別色と国籍マークくらいは筆塗りしたい。しかるに筆で何かを描くときにはまっすぐな線なんて引けやしない、と中島みゆきは唄っている。それでは味方識別色が引けない。まんまるな円なんて描けやしないよ、とも唄っている。それでは日の丸が描けない。そこであらかじめケガいておいた。

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もちろん中心点の穴は後で塞ぐからご心配なく。

南方の零戦は日の丸の白フチを現地で濃緑黒色で消している。これは「黒フチの方が強そうに見えてカッコイイから」ではなくて出来るだけ敵から発見されないようにするため。このあたりからも飛ぶ鳥落とす勢いだった日本軍が坂道を転げ落ちるごとく劣勢になっていく様子が窺い知れる。

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この黒フチの幅が1/72では胴体で約1mm、主翼で約0.7mmとなる計算だ。これはちょっと難易度が高そうだ。しかし挑戦してみよう。ダメなら上からデカールを貼ればいいや、と必ず逃げの一手を確保しておくのが老獪なモデラーである。

下地塗り

まずはタミヤアクリルで下面色と下塗りを兼ねる。ウグイス色にも青畳色にも飴色にも灰緑色にも見えるというJ3灰白色を調色、、、なもんでけるかあ。。。と例によって適当である。

これを大体2~2.5倍に水で薄めシャブシャブにして塗る。タミヤアクリルを使うのはプラへの食い付きを考えてのこと。いきなりプラへ「極薄ガッシュを塗るのは紅白初出場の若手ロックバンドを初めて聞く裏のお爺ちゃんみたいにノリが悪い。

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いわゆる「水溶きアクリルテクニック」塗ってはドライヤー塗ってはドライヤー塗ってはドライヤー。上面は下地なので平滑に色が乗ればいいだろう、と3回くらい。

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下面はこれが仕上げとなるからもちっと重ねる。まあ下面なので適当でいいだろう、と塗ってはドラ(以下略)4~5回。この状態で1~2日寝かしてアクリル塗料の硬化を待つ。

極薄ガッシュ

続いて調色しておいたガッシュを少量のペインティングメディウムと多量の水でこれまたシャブシャブに薄めて「極薄ガッシュ」を作りパネルラインごとに平筆で塗る。

 

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いつも目立たぬ右側の尾翼から始めるチキンモデラー。塗料はチョット濃かった様なので少し薄める。ドライヤーでの強制乾燥も適時用いる。

 

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奥に見えているのは昔誰かに教えてもらったガッシュ用パレット。密閉容器に敷いたキッチンペーパーに水を浸し、その上にお菓子作り用のクッキングシートを重ねてある。こまめにフタをすれば結構長持ちする。

 

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塗料を塗るというより色付き水の流れを平筆で導くような心持ち。最後に絵の具の溜まりを筋彫りに流し込んで逃がしてやる。ここで筋彫りを大げさに掘っておいたのが効いてくる。

 

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あまり深く考えずに日の丸は塗り残したが、このやり方は失敗だったかもしれない、、、とこの時の自分ははまだ気づいていない。

 

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あっちいったりこっちいったり、脈絡なく塗っているように見えるがこれは製作者の落ち着きのない性格が表れているだけのことで特に意味はない。胴体部分は絵の具が下に流れて溜まるのでコントロールが難しい。ここは逃げ溝としての筋彫りの本数が少し足りなかったようだ。

 

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ひと通り塗り終わる。ここまで40分ほど。お腰も限界なので休み休みやる。

 

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同様に極薄ガッシュ平筆染め2回目。絵の具の濃度に悩む。だんだん薄めていく方が良さそうだ。この状態で一晩寝かす。ここまではやや儚げな水彩零戦といった風情だが、ここから趣がすこし変わっていく。。。

 

 

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