sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「零戦筆塗り隊」その十 ”「味」か、ただの「疵」か"

そろそろ、、、

日の丸問題

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円が歪んでいる。

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黒フチがヨレている。
主翼だけでも烏口コンパスを使えば良かったか。。。

…いくら筆塗りでもこれを「味」と豪語するほど自分の面の皮は厚くない。

デッサンの狂った旦那芸の素人水彩画を見せられて返答に窮することがよくある。その道を少しでもカジッた事がある人間は、門外漢にはわからぬ「疵(キズ)」にあっさり気付くものだ。例えばギターを弾く人なら路上バンドのチューニングのズレを、ライダーなら前を行くバイクのライン取りのミスを、さかなクンなら"ちりめんじゃこ"に紛れ込んだ"タコの赤ちゃん"を、それぞれ瞬時に見抜いてしまう。みな同じことだ。

我流で楽しむのは大いに結構だが、本当の「画」とは基本ができているのをフッと崩して「味」にしている。その違いを弁えないといけない。

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例えば先日見てきた美術館での鉛筆画の素描。

荷馬車の佇まいと遠景の空気感、なによりデッサンが素晴らしい。しかし近づいてよく見ると車輪は正しい楕円になっていない。むろん最初に絵を見た瞬間はそんなことは気にもならなかった。そう思って絵から数歩離れると車輪の歪みがすうっと馴染んでいき、むしろ使い込まれた木製の荷車の雰囲気として程よく伝わってくる。「ゆがみ」「表現」となっている。これこそが「味」だろう。

 

改めてオイラのゼロセンを見てみる、、、

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だめだこりゃ。「味」ではなく単なるド下手だ。

まず最初に円が歪んでることに目がいく。単なる「疵」だ。素人の絵の具遊びだ。まったく他人のことを言えた義理ではない。よくもこんなものを衆人環視のただ中に晒すことができるもんだと、ただちにブログを畳んで逃げ出したくなる。腕もないくせに「味」を出そうなど100年早い。もう上からデカール貼って覆い隠してしまおう。。。と一旦は考えた。

まあ小磯良平と自分を比べても仕方ない、と流石にそれは思いとどまる。だいたい1/72の日の丸の縁を筆塗りするなんて初めての経験なのだ。最初から誰もが上手く出来るはずもない。日の丸の赤の部分の手描き感は捨てるに忍びないし、、、と未練がましく悩んだあげく、、、

筆塗り&デカール

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デカールの黒フチ部分だけを切り取って手描きの日の丸の周囲に貼る、という実に姑息な手段を思いつく。これなら綺麗な円になるし日の丸の手描き感は残せる。烏口コンパスだと中心を外してしまう恐れが大いにあるが、デカールなら微調整もきく。

 

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手描きの黒フチがはみ出ていたのを修正。マアマアかな?。。だから周りの筆ムラはあとで修正するってばよう。

キットのデカールの色と自家調色の濃緑色の色調がどんぴしゃ同じとなったのは狙った訳ではなくたまたま。ここは自慢してもいいところだろうが、偶然を己の手柄にするのも面の皮の厚い奴の常套手段なのでやめておく。実機に比べ濃淡のコントラストがやや弱いようだが、アラが目立たないのでこれでヨシとする。

 

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胴体はデカールの切り残しと日の丸の歪み、、、

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タッチアップで修正。胴体色が濃くなったように見えるがこれは露出の違い。してみれば戦時中のモノクロ写真の濃淡などから色味を分析するのは、ぐるなび蕎麦屋の口コミから出汁昆布の産地を割り出すようなものだろう。

筆塗りの「味わい」デカール「キレの良さ」のいいとこ取りのハイブリッド・マーキング。自分みたいなヘッポコモデラーにとってはここら辺がほどよい落とし所だろうか。

黒フチだけ残してデカールを切り出すのは一発勝負なのでちょっと緊張した(なので写真を撮る余裕もなかった)サークルカッターとテンプレートでなんとか乗り切る。胴体面に筆で1mm幅の真円のラインを引くよりは楽だろう。

このハイブリッド法は他にも使えるかも知れない。例えばアメリカの国籍マークなど中央の大面積の星の部分だけ筆で手描きして周囲の丸フチや袖の長方形はデカールで逃げる、などなど。次に何に取り掛かるか既にイメージあったりして?

 

さあ次回はいよいよ最終回、、、となるか?!

 

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