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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「バルジ大作戦」レベル1/72 ファルコ -5

ファルコのカウリングには小さなバルジ(出っ張り)がたくさんある。

これはエンジンのシリンダーヘッドをクリアするもので、この時代の機体にはよく見られる、カウリングの直径を可能な限り小さくして空気抵抗を減少する効果を狙ったもの、とされているが、果たして。

確かに同じイタリア機のMC200サエッタなどはカウリングがグラマラスにボインと出っ張っていてカウリング直径は随分小さくなっている。(あのボインボインはそれはそれで抵抗になりそうだが)

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MC200サエッタ

 

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CR42ファルコ

サエッタ姉さんのゴージャスボディに比べるとファルコのバルジはチョボチョボで小学生、、、が蚊に刺された程度。カウリングもさほど絞られていない。空力の他に何か理由があるのだろうか?熱膨張の為のクリアランス?、あるいはそもそもエンジン寸法にバラツキがあるとか?、、、製造工数は確実に増えるはずだから当時の工員は喜ばなかったろう。後世のモデラーだって嬉しくないゾ。

1960年代のレベル社はこのバルジの存在をあっさり無視してくれている。1980年代の自分もスルーした。さて2019年の君はどうする?

折角いい形になったカウリングを台無しにしたくないが、ここまできたら乗りかかったイタリア機だ。カウリングが温存できて、工作が簡単で、なおかつ実感がありそうな、、、そんな都合のいい方法があるものか、いやないものか、夜な夜な考えた。

まず思いつくのは、プラペーパー上に瞬間パテをぽつぽつっと垂らしてみて、上手くいったらそれを貼り付けちゃおう、という安直かつ姑息なニホンカワウソ的手法
 

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試してみたら小学生の夏休みの工作か、といった有り様で自分の技術レベルがよくわかって泣ける。いや、そもそもフリーハンドじゃ間隔が揃わんのだ。

問1) ファルコのバルジの間隔を計算して求めなさい

ええと、まずカウリングにノギスをあて、測った直径に3.14を掛けて円周を求めます。前列の気筒数は7、バルブヘッドは1気筒あたり2カ所あるから、円周を7x2の14で割る。最後にスケールの72で割ります。ゼエゼエ。これをデバイダーで測って鉛筆で下書き。

 

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間隔はOKだがやはり瞬間パテでは形が揃わない。複列14気筒でつごう28個もあるのだから腕が足らぬ根気が足らぬ。足らぬ足らぬは気合が足らぬ。

さてそれではどうするか?

真正直に伸ばしランナーから切り出して一個一個貼り付けようか、、、28個もか、そんなド根性ガエルではない。テンプレートを作ってスジボリで逃げるか?いや手間の割には効果が少ない。

ある夜、寝床の中で思いつく。

「薄く伸ばした金属板の裏側からキットのエンジンを転がして跡をつける、てのはどうだろう?」

 

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これはこれで味があるけれど、ちょっと笑える仕上がりとなった。

ある晩、布団の中で思いつく。
「金属板ではなくプラペーパーの裏側から、エンジンではなくスパチュラで押し出したらどうだろう?」

 

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これはよさそう。色々試して半田付け用のアシスト棒の先を削ったものでクイクイ。最初は力加減がよくわからないが、慣れてくると形も揃ってくる。

何枚か作って出来の良いのを選抜しよう。となると、いちいちプラペーパーに線を引いてると大変だ。なので手前のマスキングテープ上にあらかじめラインを引いて定規にする、という大量生産システムを思いつく。

次に備えてカウリングバルジをもう1セットくらい作っておいてもいいが、今度レベルのファルコを作りたくなるのはたぶん令和40年くらいになるだろうからやめた。その頃までこっちの心臓が動いている保証もない。

 

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よおしイイ感じ。上の二つの失敗トライからのいいとこ取りで、まったく失敗は成功の母である(一体母が何人必要???)

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コイツをカウリングに合わせて曲げて、、、

 

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どない?

チョボチョボがややオーバーだが、これは確信犯。塗装したら結構ノッペリするからこれくらいのメリハリはあってもいい、という模型的表現、味付け、デフォルメ、外連味。。。

 

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流し込み接着剤で固定。上出来上出来。

しかしカウリングはわずかにすぼまっている様で、円周の終わりの方はバルジの並びが斜めになってしまった。胴体の白帯デカールなどでよく見られる様に直線ではなくわずかにRがかかってないといけないのか。理系の方なら自明の理だろうが当方の数学力はツルカメ算でストップしている。ここまでになると、もはやどうやって計算したらいいのか見当もつかない。結局下の方のバルジは瞬間パテで誤魔化すことに。。。

 

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丸めたカウリングと相まってだいぶと雰囲気が似てきた。

 

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ファルコの三男坊のファルボ、くらいかの。

こうやって手作り感溢れるDIY的な創意工夫で少しづつ実機に近づいていく面白さは、メジャーな機体の現代的な精密プラモ作りではなかなか味わえない。近年稀にみる愉しさだ。いや愉快愉快。ブラビッシモー!

 

 といったところで今回はこの辺で。

 


 

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「飛行機はカウリングが命」レベル1/72 ファルコ -4

さていよいよこのキットの最大懸案事項のカウリングを料理する。40年前の自分ですら「機首がもひとっちゃのう」などと思っていた。生意気なマセガキだったと我ながら思う。だからこそリベンジを期したわけで、今回は何とかしてファルコに近づけたい。

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これが実機のカウリング。

 

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そしてこちら、底の抜けたバケツ 、、、ではなくてキットのカウリング。

実機写真を眺め、ペットボトルのキャップほどの小さな部品をひねくり回し、どうしたものかと数日悩む。イイ歳してちいせえ男だと我ながら思う。

社外品のディティールアップパーツもあるらしいが、そういうのは今回の趣旨から逸脱しているし、そもそも何でもかんでも自分でしたいという自らの信条に反する模型製作において肉、魚、レジン、エッチングパーツ、美少女アニメフィギュアなどを用いることは一切禁忌。なにを隠そう自分は「唯我独尊自家発電」を旨とする鶯谷宗 九条OS派 DX東寺一門である。

馬鹿な事を言ってないでとりかかろう。

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カウリングの先端を落として丸めてみた。まだ実機とは別人だが、とりあえずの方向性はよさそうだ。バリが出ていて窒息しそうな空気取入口もこの際だから切って斜めに削いでおく。豪胆にもカウリングと一体成型の排気管もニッパーでこの際切りとばす。
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開状態の眠たいカウルフラップもこの際切りとばす。どうも「この際」切りとばしてばかりでふと不安が頭をよぎる。フラップをプラ板で作り直したカウリングを胴体に仮組みして様子を見てみよう。 

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ん、悪くない。

カウルフラップの後縁が歪んで(へたっぴ〜)胴体にぴったり合ってないからカウリング直後の胴体を削り込んで誤魔化す。いやなに実機もここは絞り込まれていて、零戦など空冷機によくある、タウネンドリング時代を引きずっている設計だからあながちウソッぱちやってるわけではない。戦間期〜大戦初期の機体はこの様にあたかも空気の流れが見えるようなデザインで自分は好きだ。層流翼、境界層剥離など目に見えない概念的なものになるとわれわれ文系モデラーには理解の域を越えてしまう。

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ドンドン削る。似てきた似てきた、ファルコのいとこのマルコくらいだな。楽しい楽しい。

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もう一息、丸みが欲しい。開口部に真円に丸めて固定したプラ板を裏打ちし、隙間に瞬間パテを盛る。削っていくうちに前縁がヨレてしまう(へたっぴ〜)のでこのプラ板をガイドにする。

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色々な角度から撮った実機写真を眺めながら、先が丸っこいNACAカウリング独特の形状をイメージして削り込んでいく。こういう時に作業場の横に据付けているiPadが大変役に立ってくれる。バッテリーがへたって各種アプリが対応しなくなって家人から見捨てられてクンクン鳴いてた9年目の初代iPad、なのだが、我が工房ではまだまだ現役。

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さらに削る。よおし。ファルコのひ孫のバルゴくらいにはなったかね。
なにより空冷エンジンの飛行機らしい顔つきだ、と思う。
ややイビツだが、空飛ぶポリバケツよりゃマシだろうぜ。

 

といったところで、今回はこの辺で。 

 

 

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「翼を下さい」レベル1/72 ファルコ -3

胴体を貼り合わせたので下翼の段取りに入る。
ファルコは上翼よりも下翼が小さい一葉半(セスキ)と呼ばれる空気抵抗を考慮した高速機だ。無論、固定脚の複葉機としては、だ。いや笑っちゃいけません。


ファルコのオイルクーラーは下翼付け根の左右前縁に吸入口があり、フェアリング内部の本体を通って、翼下面の後縁から排出される。意外と空力的に洗練されている印象。ここは、固定脚の複葉機なのに、だ。

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それがキットではなんだか少し妙なことになっている。

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左側が前方向、穴が空いているところに主脚が付くのだが、実機にこんな膨らみはない。前後を間違ったかほかの何かか、まあレベル社の設計陣のミス。

自分の父親と同年代の人たちがやった事だと思えば微笑ましくさえある。
今頃サクラメントあたりの自宅のテラスで婆さんとジャムトーストかじってるんだろう。素知らぬ顔でコッソリ直しておいてあげよう。(バラしてしまったけど)

 

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 バルジは全部削り落として、後方にエポキシパテでそれらしい膨らみを作ってやる。正確な形状はよくわからないから例によって推測「3デ」の内の「デッチアゲ」だ。後縁はあとでプラ板で作る予定。

 

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キットは下翼と胴体の間のフェアリングがまるでない。胴体側にセロテープで養生、仮組みしてエポキシパテを盛る。その後で再度翼だけにして均等に整形。胴体をつけてからだと左右対称にならない(ヘタッピだからな)
実機よりもいささか大げさになったかもしれないが、いかにも中にオイルクーラーの排気が通ってそう、という模型的表現。

おいおい、何で図面見て検証しないんだ、などという声が飛んできそうだが、そこまで自分は写実主義ではないのだな。実機の正確な72分の1であるかどうかよりも、実機写真で見たイメージに雰囲気が似ている方がお好み。模型は3次元の似顔絵だ、とする非主流派、適当連合 横着党。余談だが「笑点」オープニングの似顔絵は見るたびに似てないなあ、といつも思う。

 

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下翼を取り付ける。飛行機の形になってきてくれた。
ヨシヨシこれが次回への「情熱」となるのだよ。

といったところで、今回はこの辺で。

 

「コクピットがなければ始まらない」レベル1/72 ファルコ -2

どんな飛行機もコクピット(=操縦席)がなければパイロットが操縦できない。
パイロットが操縦しなければ飛行機は空を飛ぶことが出来ない(一部例外を除く)つまり、コクピットはなにより大切だ。

一部例外 f:id:sigdesig:20190805145249p:plain

 

 ファルコのキットのコックピットはただのL字形をした椅子だけ。その他はスッカラカーンの遊園地の遊覧飛行機状態。大切なコクピットがさすがにこれではちょっと寂しい。

なのでイチから作ってやる。
計器盤、床板とシート操縦桿などをプラ板や伸ばしランナーでそれらしく。実機は鋼管羽布張りなのでフレームを適当に張り巡らせる。胴体が筒抜けになってはカッコ悪いのでパイロット後方に防弾板。資料では未装備となっているが、実機写真では装甲プレートらしきものも見えるから後付けされた可能性もないではない。デフォルメ、デタラメ、デッチアゲ、先述の「3デ」がフル回転。楽しい楽しい。

コクピットは1/48位だと精密に作る楽しみも出てくるが、1/72なら完成してチラっと見えた時に「お、なんかコチャコチャっと見えるナ」程度で充分と割り切っている。「実機通り」でなくても「実感」が出てれば自分としてはOK。これもまあ人それぞれだろう。誰だい、デジカメで撮って拡大してケチ付けようなんて言ってるのは。。

 

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ともかくもコクピットを終えないことには胴体を張り合わせることが出来ないのだから、ここであまり根をつめてしまっては先に進めない。前回は下ごしらえが大事、などと偉そうなことを言っておいてナンだが、人間あまり単調な作業が続くと飽きがきてしまう。

自分の模型作りにおいてはまず最初に何らかの「動機」(モチベーション)によって「情熱」が創生される。その「情熱」はおそらく「総量」が決まっていて、製作段階でそれを少しづつ消費カロリー的に失っていく。
「情熱」が枯渇すると製作意欲をなくして模型作りはストップしまう。そんな理由からだろう、自分の作りかけのキット(沢山ある)を後から見ると、難関難所ではなく、妙な段階で中断しているものが多い。だから戦車や船など大量の細かいパーツの製作が延々と続くジャンルの模型作りは自分は大の苦手。T-34のキャタピラを一個一個作った時は途中で幽体離脱しそうになった。

なので、「初期段階で力を注ぎすぎない」これが自分にとって完成に至るコツだ。また、要所要所で「形にする」「実機開発史などを読む」などして精神的な栄養源を随時補給し、情熱を保ち続けていくのもいい。形にしようと焦ってパーツを組み込み忘れたり、資料の新事実に気づいたりして、一瞬で情熱の炎が燃え尽きてしまうことがある、よくある。

 

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ところでイタリア機の機体内部塗装色は何色だろうか。手元の資料ではピーグリーン(豆緑色?)とある。タミヤイタレリMC200インストではスカイ+グリーン、ハセガワのMC202の指定色はクレオスの312グリーンFS34227(イスラエル機用カラー)今回は安易に312を選択。

フタを開けて見ると、おお確かに豆緑色だ。色目としても英米機や三菱機などと同じ、ジンクロメート系の範疇だ。英国のファルコ復元機ではブルーグレーにも見える。変色?退色?したか、そもそもオリジナルかどうか。この辺りになると「何が真実か」よりも「何を信じるか」になってくる。

よく他人の完成品を見て「こんな色じゃなかった」「これはウソ」などと言ってくるオッチャンがいる。当時の生き残りパイロットというなら別だが、大方は「ワシが一番正しい」とマウントしたいだけのオッチャンで、自分は彼らを「マウントヒヒ爺い」と称して知らん顔をきめこんでいる。

どんな最新の考証もその時点での一説に過ぎず、それが定説になった頃にはまた次の最新説で塗り替えられることもある。だいたい塗装色の真実の探求に何年もかけていては模型が進まない。その時点で見切りを付けた結果が完成品だ。気楽にいこうよ。

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ともかくも胴体を張り合わせる。

前述した通り、1960年代のキットとしてはこのレベル社のファイターシリーズは「はめ合わせ」自体は良好で助かる。これが同年代のエアフィックス社やフロッグ社あたりになると大違いで、左右の胴体に盛大な隙間が開いたりして、組み上げるだけでどえらい手間が掛かる。その都度「情熱」が削り取られる。そういう古いキットは完成したというだけで実に尊い。自分などは手を合わせて拝んでしまう。もはやご神体レベルだ。正視できない、という意味ではないよ。

形になった胴体を四方からしげしげ眺め回す。なんだか機銃口あたりが少しノッペリしてるのが気になる。側面を軽く彫り込んでそれらしく整形してやろうとデザインナイフの刃をあてた。

形状修正など普段は絶対に手を出さないのだが、今回自分が保有していた「情熱総カロリー」「カツ丼レベル」だった様だ。やはりノルマとかではなく、自分の心の中からフツフツ湧いてきたモチベーションというのは強かった。

とはいえ、うかつにパテなどで盛り上げてしまうと翼の支柱取付部との辻褄が合わなくなってしまうからそこまでは追い込まない。それくらいの女ギツネ的用心深さもあわせ持っている。

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削っているうちになんだかカッコよくなりすぎたような。。。

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なので、あえてダルにして雰囲気を出す。この辺はまあセンスというか、感性というか。デタラメながらも「いかにもイモ、、、イタリア機っぽい」感を表現する。

実機はどうなのか?それがこの辺は上翼が被っているので実機写真を見ても形がよく分からない。つまりそれは模型でもよく見えないということだから適当なところですましちまおう。。。 とタヌキ親父的横着さも見せつつ夜は更ける。

 

といったところで今回はこの辺で。

 

「何ごとも下ごしらえが大事」レベル1/72 ファルコ -1

いよいよ今回から40年前の自分の完成品をライバルに見立てての模型作りのスタート。相手が自分だけにどうしたってこれは「自己満足」だ。けれども「独りよがり」でもまたない。いずれにせよ他人の目は一切気にしないでいいから清々しい。

さて、古いキットなものでプラの表面の金型が荒れていて、突き出しピンの跡やモールド潰れなどがあちこちに見られる。最近のタミヤセガワではなかなかこういうワイルドさはお目にかかれない。嬉しくって涙が出る。地道な下地処理工程が必要だ。こういうところをまず綺麗にしてやるのが大事なこと。料理で言えば下ごしらえ、組み立てるところまで行くには長い道のりだ。

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突き出しピンの跡

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ピンの跡を消す

翼や胴体の羽布表現の鳥肌状のイボイボも大袈裟なので、ええいこの際だ、とばかりに全て削り落とした。(ちなみに関西では「鳥肌」ちごて「寒ぶイボ」言うねんで)
というよりピン跡をペーパーがけしてたらその部分だけイボイボが落ちてしまったのでいた仕方なく。こうなったらリベットも凸モールドももろともに処理するほかない。

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イボイボ 翼後縁のモールド潰れ

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イボイボ撤去後のスベスベお肌

左翼のエルロンはモールドの潰れが酷い。どうするか?一瞬考え40年前の自分に問いかける。答えは聞くまでもない。思い切って切り飛ばし、積層プラ板で作り直す。(こんな事するの何十年ぶりだろう)

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作り直したエルロン

凹凸になった羽布張りを再度表現するにはペーパーを巻き付けた妻楊枝を電動リューターに咥えこんで削ってやる。当時こんな工具は持ってなかったが、ま、今持ってるものは使ってもいいことにした。

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エルロンの羽布表現、スポイラー作り直し

実機の写真を見ると上翼のエルロンの前に4つもスポイラーがある。これはCR42ファルコの特徴だ。このスポイラーは空中戦だけでなくエアブレーキとしての狙いもあったのかもしれない。

ここから余談

もともと軽快かつ脚の丈夫な複葉固定脚機は前線の狭くて未舗装の飛行場でも運用出来る。さらにスポイラーがあることで短距離での着陸や緩降下爆撃なども容易になる。第一線の戦闘機として通用しなくても夜間任務や近接支援、連絡その他雑務には使いやすかったのだろう。案外この辺がファルコがイタリア戦闘機中最多生産となった理由ではないかと思う。

何しろあの理屈屋のドイツ人がイタリア降伏後もファルコを生産させ夜間戦闘爆撃機として自軍で使い続けているくらいだ。多分ヘンシェルHs123あたりの代わりだろう。あれも「使い勝手がいいからもっと作ってくれ」という要望が最前線からあったが、例によって融通の利かないドイツ人は「ダスイスト生産終了、ゲ廃番」といって取り合わなかったらしい。そういえば両機は見た目もよく似ている。。。。

そんなことに想いを馳せていると、スポイラーの表現がこのまんまではちょっと納得できひんナァ、と若き日の自分が耳元で囁く。うむ、やんぬるかな。プラペーパーと伸ばしランナーで再現して前後を削ってから溶きパテでなじませてやる。全部で4つもある。。。

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スポイラーステーの再現

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溶きパテでなじませる

なんだか「手作り感」があふれてきて嬉しくなる。

そうそう1970年代のプラモ作りってこんな風だった。キットのメロメロな部分をコチョコチョと修正していく。手作業だから中にはデフォルメ、デタラメ、デッチアゲも当然混じってくる(これを自分は「3デー」と呼んでいる)だから同じキットを作っても一人一人でずいぶんと違った完成品になるわけだ。自分などはそれこそが各人の「味」だと思う。しかし昨今の精密技巧を重視する模型界ではこういう「手作り感」は単に「ヘタクソの手抜き」とされて冷たい視線を浴びる。やれやれ。

さて翼のモールドを落とし終わって胴体パーツを手に取る。「胴体のモールドも落とさんとバランス悪いやん。。。」へいへい。ややマッドロープというか泥縄の様相を呈してきた感はあるものの、胴体もガシガシ削り落とす。こういった曲面には3Mのスポンジペーパーが大活躍。

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実機の羽布張りと金属板張りの混合がよく表されている、がいささかオーバーだ。

しかしモールドがあればあったでオーバーだと文句を言って削り落とし、無ければ無いでノッペリしてると不満げでリベットを打つのがモデラーである。常に不平不満のかたまりで、まったく難儀な人種である。むろん自分もこの難儀な人種のはしくれだ。

「リベット打ち」とは図面のリベット位置を見ながらタコヤキ返しの先みたいなので一個一個をプツリ、プツリと写経のように打っていき、キット全体をさながら耳なし芳一状態にしていく、という高僧だけに許された秘法だ。自分にはとてもそんな根気はない。技術も無い。
しかし、リベット打ちをしていない飛行機模型は、手すりの付いてない艦船模型同様、昨今の模型界では冷たい目線が向けられる。せやかて工藤、面倒くさいやんか。

ところがここに「リベットローラー」という救世主が出現する。歯車を転がすことでリベットを表現できる。洋裁につかうルレットと同じ様なものだ。スケールに合わせたリベットのピッチを再現するため、歯を取り替えることができる。まったく良く考えられている。

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歯の当たりを見やすいように先端を削ってみた

今までは等間隔かつ直線になるよう細心の注意を払って「一つ打っては父のため、二つ打っては母のため」とプツリ、プツリと隠に籠もってやっていた。それがこのリベットローラーを使うと「あらよっ!コロコロコローッとくらあ」であっというまに等間隔のリベットが打ててしまう。コロコローッコロコローッありゃちょっと斜めになってしまったかな、まあええか。(1/72の胴体くらいだと転がすより押し付けていく方がコントロールしやすい)

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ツルツルボディに繊細リベット、布金混合のメリハリは筋彫りでつける

 といったところで、今回はこれくらいで。

 

 

 

「資料はいずこ」レベル1/72 ファルコ プロローグ3

今回のレベル1/72ファルコ製作は、資料も殊更に集めない、、、つもりだった。ところが自分の家にあったと思っていた資料本が見当たらない。スコードロン社の「Regia Aeronautica(イタリア空軍)」という洋書で自分のイタリア機趣味の原点だ。ほかにも何故かイタリア機に関するものだけが数冊消えている。これは多分一式まとめて誰かに貸したっきりになってるのだろう。マンマミーア。「借りパチ」かあ(=貸した資料は返ってこない)イタリア人、じゃなくて関西人のことわざ。ま、よくあること。

その「Regia Aeronautica」アマゾンでダメ元で検索してみると安価で古本を見つけたので、もう一度手に入れた。良い時代である。この本は40年前にも持っていてファルコもこれを眺めながら作ったから別にレギュレーション違反(そんなのあるのか)ではない。

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元より自分はさほど資料に頼らない。図面や寸法などの詳細よりも写真や開発秘話的なものの方が好きな文系モデラーだ。模型は雰囲気さえ出てれば精密さや正確度はあまり気にしない。それを塗装考証だの模型技術の向上だのとうるさく言われるので息がつまる。

この本も機体ごとの資料ではなく、イタリア空軍に関する総花的な写真とイラストが豊富な読み物だ。スマホでスキャンしてGoogle翻訳で概略を訳してみた。良い時代である。少しぎこちないが、軍事専門用語に気をつけ日本語を整えてやれば充分読めるものになる。40年前に一通り原文で拾い読みしただけではなんだかよくわからなかった。例えばこんな具合。

 

The greater part of the fighter force was equipped with biplanes, both the newly-built Fiat CR.42 - an excellent aircraft in many ways, but of totally obsolete concept and the ageing CR.32s, many of which were still in service, particularly in the colonies. Only one unit had the best Italian fighter to appear up to that time, the monoplane Macchi MC.200. A few more Fiat G.50bis monoplanes of rather lower performance were in service but none of these types had an armament heavier than a pair of nose-mounted Breda SAFAT guns.

”Regia Aeronautica” by Christopher Shores

Google先生

戦闘機の大部分は複葉機、新しく建造されたフィアットCR.42 - 多くの点で優れた航空機だが完全に時代遅れの概念と老朽化したCR.32 - の両方を備えていた。 植民地で。 当時までに登場するのに最高のイタリア人戦闘機を持っていたのは、単葉機マッキMC.200だけだった。 性能がやや低いフィアットG.50bisの単葉機がもう少し稼働していましたが、これらのタイプのどれも、鼻に装着された2枚のブレダSAFAT砲より重いものはありませんでした。 

sig 拙訳

大部分の戦闘機部隊が装備していたのは以下の複葉機二種です。新しく生産されたフィアットCR.42は 多くの点で優秀な機体ではあったものの、設計思想はまったく時代遅れでした。そして旧式化したCR.32は未だに現役で、特に植民地への配備がその大半でした。 この時点までに出現していたイタリア戦闘機中でのベストは単葉のマッキMC.200で、これを保有していたのはわずか1部隊だけに過ぎなかったのです。フィアットの単葉機G.50bisは配備機数はもう少し多かったのですが、性能の方はやや劣るものでした。ただし、いずれの機種にしたところで、機首装備のブレダSAFAT機銃2丁のみで、それ以上の重武装をもつ機体はありませんでした。

 

あんまりやるとチョサクケンがあれするんでこの辺で。 

 

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この本のファルコ自体の写真はあまり多くないが、幸いレベルのキットの付属デカール機のイラストが載っている。付属デカールのもう一機の方は、英国のバトル オブ ブリテン博物館に復元機が展示されていて、自分で撮ってきた写真が何枚かある。これも30年前のことだ。暗い照明下で写りは良くなかったが、これもスマホでスキャンして軽く補正してみると随分とマシになる。良い時代になったなあ。

  

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このほかにも検索すれば実機写真はネット上に色々拾える。タダだからこれもレギュレーションはクリア。良い時代だよ、本当に。大戦中のカラー写真なども見られるが、当時のフィルムの限界か色かぶりが激しそうだ。中にはデジタル着色した物もある様なので色については鵜呑みには出来ないだろう。しかし雰囲気を知るには充分だ。いよいよ製作準備が整ってきた。。。

 

実機については書いていたがなかなかうまくまとまらないのでコチラを

ja.wikipedia.org

「40年前の自分に挑戦」レベル1/72 ファルコ プロローグ2

改めて製作を前提にしてキットをチェックする。

前回

 

sigdesig.hatenablog.com

 

このレベルの「ファルコ」のキットは何度もあちこちに金型が渡って再販されてきた。ファイターシリーズの中でも出来が良い方、なんだと思う。マイナー機種で競合キットが出なかったため、という事もあるが。いやそっちの方が大きいか。イタレリというメーカーから比較的新しい良く出来たキットが出たので現在ではお役御免、さしずめミラノの洋麺問屋のご隠居さんといったあたりだろう。

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