sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「古代デカールの呪い」レベル1/72ファルコ-15

マスキングトラブルで迷宮に彷徨い、情熱カロリー量がカップの底に残ったギリシャヨーグルトくらいになったファルコである。いったい全体いつになったら完成するのか自分でもわからない。こんな手乗り文鳥みたいな小さなものに何ヶ月もかけるのがプラモデルの国の住人だ。気が、、長いというか、知れないというか、ふれているというか、、、

しかしとにもかくにもデカール貼らねばならぬ。石にかじりついてでも苔がむしてでも貼ってしまえばひと段落つく。その後は乾燥期間を何日かとるので放置は可能だ。あとは野となれ山となれ、いやいやその間に「情熱量」を蓄えるのだ。この後もウェザリング、上翼取付とまだまだ越すべき峠は後に控えている。気が、、、遠くなる。

 

f:id:sigdesig:20190828103250j:plain
塗ったばかりのペイントも多少は乾燥させたいので、その間やることがない。ひぐらしすずりに向ひて、デカールの余白を切り取るなどして過ごしけり。あやしうこそものぐるほしけれ。、、、と白目をむきつつも無心に切っていく。これをやるとやらないでは出来上がりに随分と差が出る。出るんだよねー、メンドクさいけどねー、などとブツブツいいながらも切る。色即是空、空即是色、もはや半眼。このまま即身成仏できそうだ。

 

f:id:sigdesig:20190916133103j:plain


さて、塗装後一日おいてデカールを貼る。

デカール」とは何ぞやと問えば、水につけて台紙から剥がし、模型に貼り付ける極薄のシールである、と答えるはずだ。ところがこのファルコのデカールはどうやらそういう了簡は微塵もないらしい。水につけてしばらくしても一向に台紙から動かせない。

10分、20分、全然ビクともせず。試し貼りの時はあっさり剥がれたのに何で?と別の部分のデカールで試すが結果は同じ。水で駄目なら次はぬるま湯だ。10分、20分、何の変化もない。こうなったら最後は熱湯風呂だ。押すなよ押すなよ絶対に押すなよ!チャポン。熱っつーー!!と飛び出してくるかと思ったら平然と貼りついたままケロッとしてやがる。ど根性ガエルかオマエは。

時計を見ると最初に水につけてから、かれこれ一時間ほどたっている。これはもう完全に干からび切って台紙に固着していると判断した。このファルコのキットは発売後10年を模型店の棚で無為に過ごし、我が家に買い取られるや暗い押入れに封じ込められたまま30年間が過ぎ去った。その長きの眠りの間にあるいは石の様に固まって呪いの古代デカールとなったか。。。最近の研究でトイレにも神様がいるとわかった位だから、ウチの押入れにだってメデューサの一匹やそこらいても不思議はない。

さていかにせむ。

一晩中水につけておくか。いやしかしそれで次の日に細切れデカールになってジグソーパズル化した事もある。一旦水につけた以上もはや後戻りはきかない。今日この場でなんとかせねばならない。モデラーとしての長い経験がそう教えた。

ええいままよ、と荒技に出る。マーク部分だけ皮一枚こそげ落とすのだ。

 

f:id:sigdesig:20190916133158j:plain

カッターの刃を黒刃の新品に替え、息を止めてゆっくり前後させながら台紙とデカールの間のわずかな隙間に滑りこませる。京都三条の料亭「浜作」でハモの皮をむく板前の包丁さばきもかくや、といった妙技である。

しかし空白部分をカットしたことがこの状況ではアダになっている。どうも要らぬ細工をした所が後になって祟ってきている様にも思えるのだが、気のせいだろうか。何度もデカールにカッターの刃が食い込みその度にあえなく切ってしまう。、、、またつまらぬものを切ってしまった、ああまたつまらぬものを、、、と悔やみつまずきながらの悪戦苦闘。

 

f:id:sigdesig:20190916133246j:plain

なんとか台紙からそぎ落としたヘロヘロのデカール、糊の成分も削いでいるのでマークセッター液を多目に塗ってピンセットで苦心惨澹キットに貼り付ける。
誰だい、こんなところのスポイラーをわざわざディティールアップしたのは?どうも要らぬ細工をした所が後になってことごとく祟ってきている様にも思えるのだが、気のせいだろうか。

 

f:id:sigdesig:20190916133604j:plain

貼りきれないところは普段なら蒸しタオルの刑、もしくはマークソフター攻撃、あるいは悶絶シンナー責めなどで馴染ませるのだが、今回は相手が呪いの古代デカールなのでそんなことは怖くてできない。やおらヘッドルーペを装着し、ガッシュでアイボリーを調色し、息を止めて極細面相筆でタッチアップ。もはや高松塚古墳修復作業の態である。ガッシュを使うのはデカールに対しての攻撃性の低さと隠蔽力の高さから。

 

f:id:sigdesig:20190916133424j:plain

なんとか終わってグッタリ。たったこれだけに何時間かかったのだろう。

これはタミヤセガワではなかなか出来ない「経験」だ。出来ないというか、したくないというか、しないで済むならそれに越した事はないが、したらしたで自分の宝になるかもしれない「経験」ではある。バイクツーリング先での故障みたいなものか、タッハッハ。。。と無理矢理笑ってみたが、その声も力なく虚しく響く一畳半。情熱もナニもスッテンテンのカラッケツだ。ちりめんじゃこ三匹くらいしか残っとらんわ。

 

f:id:sigdesig:20190916133849j:plain

しかし出来上がりはまあ悪くない。白帯、白十字と国籍マークの色調のジャストマッチングは我ながらグッジョブだ。このために色調を黄ばんだ国籍マークに合わせておいたのである。

プラモデルにおける「実感」とは「実際に塗られていた色」で塗ることではなく、いかにも本物っぽく見えるようなカラー計画にかかっている、とちょっと得意げに言ってみる。

、、、猫とファシーズのマークの部分がなんだかオモチャくさいナ、、、

 

 

にほんブログ村 その他趣味ブログ 模型へ
にほんブログ村

「マスキング ラビリンス」レベル1/72 ファルコ-14

飛行機模型製作の中でおよそ何が楽しみかといって塗装後にマスキングテープを剥がす事に勝るものはないだろう。さんざん塗装で苦労した後だ、胴体帯や翼前縁の味方識別色の鮮やかな白や黄色がテープの下から燦然と輝き現れるのを見ると、誰だって無上の喜びに笑みを浮かべる。

秘められたお宝を包んでいるベールをじわじわとはいでゆく時には、何事によらず期待と好奇心で胸の高鳴りを抑えられないものだ。それは、初めてファラオの棺の蓋を持ち上げる探検家から、グリコのオマケの箱を開ける五つの坊やに至るまで、古今東西老若問わず共通のものである。もちろん"アノ娘のシャツの第二ボタン"などという甘酸っぱい系も忘れてはならない。

f:id:sigdesig:20191012101240j:plain
さあて、それではファルコのマスキングテープを剥がしてやろうではないの、どれどれ。

オー!マンマミーア!

下地の白塗装が一緒に剥がれてテープにくっついてきたぜ!?それも一箇所だけじゃないあっちもこっちも大きくペロリと剥げてしかもサフごと取れてプラ地まで出てやがるー!!と一人取り乱すオヤジモデラー。天上の喜悦のはずが一転、奈落の底へまっさかま。

いやいや、こんな事で怒ってはいけない。こんなことくらいで拗ねてはいけない。心を落ち着かせ深呼吸、観音様のような半眼で粛粛と剥がれた部分をペーパーでならして再度マスキング、白を吹き付けし直す。そしてマスキングテープを心静かに剥がすと、、、

オー!マンマミーア!

こんどはマスキングし直した迷彩側がさらに大きくペロリと剥がれやがったぜ!こっちもプラ地まで出てやがるー!

フンガー!おどりゃ何さらすファッキンマスキンテープめが!たーけとってかんぞ、きさんメルドー。。。と思い付く限りの悪態をマルチリンガルでついてみる。

しかし長年模型をやっているがここまでひどい状況も初めてだ。サフの前には一通りアルコールで拭いている。別にポテチ食べながら作ってたわけでもないのにおかしな話。マスキングテープは信頼の3M製だのに。。。

 

f:id:sigdesig:20191005163552j:plain

「へっへーん、ワシら悪いんちゃうもんね〜」

冷静になって観察してみる。どうも剥がれたのは例の太古のセロハンテープの糊が固着していた部分のようだ。シンナーで落としたつもりだったのが”謎の成分”がプラ内部へ浸透していたのか。いや、30年も押入れに眠っていた古いキットの祟りか?あの八つ墓のか!?

 

f:id:sigdesig:20191012111654j:plain

慌ててフケまみれの名探偵を呼んでももはやどうしようもない。 グッと唇を噛み締めて再度剥がれた部分をペーパーでならし、再々度マスキング、、、はさすがに怖かったのでアルミホイルで押さえて再々塗装。迷彩なので二色だよ。再度エアブラシ二刀流。

当然白帯側に吹きこぼしが出る。そら出るわな。はーいはい出ます出ます。手ェ抜いた私がアホでしたー、、、とスネた関西人になっても仕方ない。

マスキングしたらまたペロリのエンドレス、しなければしないでまた吹きこぼしのエンドレス、となるのは目に見えている。なのでもう筆塗り。ヘッドルーペをつけて極細面相筆で息を止めてフリーハンドで白をタッチアップ。そのタッチアップではみ出した部分を息を止めてイエローオーカーを再々タッチアップ。迷彩なので二色だよ。息を止めてダークグリーンを再々タッチアップ。。。ゼエゼエ、息続かんワ。よく見ると少し段差が残ってるねえ、、、

幸いこの部分はデカールを貼る場所だし、ウェザリングすれば目立たない、のではないか、であろう、であってほしい。

  

f:id:sigdesig:20190913235140j:plain

遠目ではわからない位にはリカバーしたものの。。。なんか違和感が、、、

だぁーッ風防つけ忘れとるやないのこのアホカスー、スチューピドー。
何のために塗装前に眠い目をこすりながら塩ビ板を絞ったのか、ククク。

 

f:id:sigdesig:20191005160440j:plain

絞った風防を接着し、スキマには溶きパテを流して乾くのを待つ。
マスキングテープ、、、はもう見たくもない。風防以外をアルミホイルで覆ってオーブンに入れる前の焼き芋みたいになったファルコを前にエアブラシのカップにイエローオーカーを注ぐ。これっていったい今日何度めだろう。なにやらクレタ島迷宮で堂々巡りしてる気がしてきた。

豆粒みたいな風防にプシーと吹き付け1分で終了。エアブラシの清掃に10分。これっていったい今日何度めだろう。迷彩なので二色だよ、でも枠だけなのでダークグリーンはもう省略するよ。。。あれ、ちょっと段差が目立つねぇ。。。

、、、ねえファルコ、ボクはもう疲れたよ。なんだかとっても眠いんだ、、リュベンスの絵が見られたから僕は幸せものさ、、、と全国の少年少女の涙を誘う結末とあいなった次第。

情熱総カロリー数値は急降下、もはやパンと水。
主よ、ファルコと私に祝福をあたえたまえ。。。

 

f:id:sigdesig:20191012100447j:plain

 

 

 にほんブログ村 その他趣味ブログ 模型へ
にほんブログ村

 

「斑点迷彩の頂きに挑む」レベル1/72 ファルコ-13

そしてついに斑点迷彩

実のところ飛行機模型製作上の最難関はこの迷彩塗装にこそある。考えようによっては前回までが下ごしらえと言ってもいい。つまり今回がクライマックス中のクライマックス中のクライマックスなのだ。

迷彩にも雲形、直線など色々あるが、中でもぼやけたマダラ斑点模様というのはマスキング手法が使えない。その技術的難易度の高さでもって、さながら天高くそびえ立つキリマンジャロの如く我々ヘタレモデラーたちの行く手をはばんでいる。

なかでも「ゲルマンのカタクチイワシ」ことBf109などはごく小さい機体の胴体だけに繊細なインクスポットが要求され、1/72ともなるとその難しさはアイガー北壁並。

f:id:sigdesig:20191006124849j:plain
Bf-109
それに比べれば「太平洋の足軽」こと零戦21型などは全面グレイ1色で安逸なことこの上ない。ひねもすのたりの春の海と言えよう。

f:id:sigdesig:20191005234239j:plain

零戦21型 タミヤ1/72 拙作

真の飛行機モデラーはその聖域に立ちいる為に0.2mmのダブルアクションエアブラシを手に入れ、急峻に備えて空気圧を入念に調整し、その頂点を極めんと塗料とシンナーの調合比に心血を注ぐのだ。

では「地中海の陽気な二枚羽根」こと我らがファルコはどうなのか?

製作予定の実機写真を見る限り、斑点模様はあまりはっきりしておらず細かいメロメロ系と思われる。これをいかにして塗装で再現するかはローテクモデラーな自分にとっては大問題で、このファルコ製作中はずっとそのことで迷いに迷っていた。難易度としてはタクラマカン砂漠のさまよえるロプノール湖探しといったところか。1/72だとこのメロメロはダブルアクションのエアブラシでも難しい、、、

f:id:sigdesig:20190911125323j:plain

”贅沢だな!こっちはシングルアクションのエアブラシすら持ってないのに!”、、、と40年前の自分からのご意見をいただく。

それでは「若き日のオレ」くんはこのファルコの斑点模様をどうやって塗ったのかね?

”簡単だよ、ダークグリーンを全体に吹いておいて、乾いたら小さくちぎった脱脂綿を木工ボンドでチマチマと機体に貼りつけるんだ。
そうしたらその上からサンドイエローをグンゼプロスプレーでシュコーと吹いてやる。最後に脱脂綿をピンセットで一つ一つ取ってやるだろ。するとこれがビックリ!斑点模様になっている、という寸法さ!”

なるほどいかにもプラモ大好き少年向きのテクニックだな。秋田書店刊「プラモデル教室」あたりで読んだのかね。ところでその出来上がりはどうだった?

”それがそのう、、、斑点の境い目は荒いし、綿ぼこりが一杯へばりついて、、、"

なるほど、もちろんオジサンもそれはよく覚えているよ。それに満足しなかった若き日の自分のキミは、その後お年玉貯金を取崩してピースコン「ヤング88」を買うことになる。大人の階段を一段登るわけだ。。。

さて、思い出にひたってばかりいないでサンボルのバカでかい翼でエアブラシの練習と色味の確認をしよう。

f:id:sigdesig:20190914170822j:plain

「バカでかい翼でエラい悪かったのう」

メロメロ斑点はアトランダムで連続的だからダブルアクションで丹念に吹くよりも、接近してパラパラパラっと吹いてさっと離す、を繰り返す方が良さそうだ。エアブラシの一撃離脱戦法だ。誰が格闘性能の良い日本機と取っ組み合いなんかするものか。くたばれJAP! 

f:id:sigdesig:20190909183128j:plain

さあ、いよいよ迷彩本番、死にたくないけどもうエアブラシが止まらんぜ!

換気扇と空気清浄機が回りだすと狭い工房は轟々たるファンの音に包まれる。有機溶剤用マスクとハズキルーペ(のパチモン)を装着し、コンプレッサーのスイッチを入れる。Bzzzzzzという音と共にエアブラシを握れば気分はもう戦闘機パイロット

f:id:sigdesig:20191003203117j:image

パチモンハズキはレンズが跳ね上げられるので便利、安いし。3Mのマスクは少し息苦しいが必需品。

ファルコの胴体に肉迫しエアブラシのボタンを押してダークグリーンをプシプシーッと吹き付けては離脱、を繰り返す。
「クソっ駄目だ!もっともっと近づいて撃つんだ!」
プシプシーッ プシプシシーッ

ふと気づいて見回すとあたりには緑色の煙がもうもうと立ち込め、味方機の姿はどこにも見えない。乗機のグラディエーターの機銃は撃ち尽くして弾切れ、、、
「黄の2番、黄の2番、後方にフィアット!回避せよ!」
「Bloody hell !!」

f:id:sigdesig:20190913235544j:plain
"Brilliant, well done mate !  "

まあ、という訳でファルコはこんな具合になりました。

ギリギリまで接近し思い切りよく吹き付けた上翼はまずまずの出来。それに比べ、ビビッてしまった胴体、下翼は斑点模様が大きく、青ノリをかけすぎたタコヤキみたいになってしまったファルコである。いつもならシャーナイシャーナイでここで止めておくのだが、今回はもう少し攻めてみる。

斑点周辺部分をイエローオーカーでタッチアップ吹付け。それでまたボヤケた斑点中央部をダークグリーンでタッチアップ吹付け。この修正作業を繰り返す。

こういう場合、色を変えるたびにエアブラシの洗浄がとても面倒ではありませんか?そこでエアブラシ二刀流&ワンタッチコネクタが実に便利!

 f:id:sigdesig:20191003204102j:plain

いや別にアフィリエイトはこのブログではやっていないのですが。。。

f:id:sigdesig:20191003204133j:plain

以前エアブラシを新調した時に古い方を捨てずに取って置いたのだパッキンが くたびれていて少々動作がぎこちないものの、手直し程度ならまだまだ充分使える、ということで登場させた次第。言わば対地攻撃任務に転用されたタイフーン。当然新しい方のエアブラシは"テンペスト"と呼んで、、、んなこたーない。 

f:id:sigdesig:20190913235354j:plain

これでめでたく上翼と下翼の斑点模様の大きさ、ボケ具合が揃った。

それはいいが、対地攻撃、じゃなかったタッチアップを交互に繰り返すうちに胴体と下翼だけ全体に緑がかってしまっている。イエローオーカーの方が塗料としての隠蔽力が低いということだろうか。

ううむ、どないしよ〜と一旦頭を抱え込む。
まあ上出来な上翼が一番目立つので、影になる下翼は下手にいじらないでおこう。胴体の方の色調はあとからどうにでもなるのだから。。。

 

  

 にほんブログ村 その他趣味ブログ 模型へ
にほんブログ村

 

「決戦!エアブラシの戦い」レベル1/72ファルコ-12

今回はいよいよ、いよいよ塗装。

飛行機模型において塗装はクライマックス中のクライマックスだ。これまでの製作段階では痛む腰を気遣って一日一時間ほどで作業を終えていたのだが、今回ばかりはそうもいかない。休日の朝にスタートだ。入念に腰痛体操をして、医者からもらった久光製薬モーラステープを体中に貼りまくって万全の体制で臨む。無制限一本勝負、長丁場の死闘となるのは覚悟の上だ。

なので下準備としてカウリングと白帯、白十字、下面色は事前に塗っておく。いわゆる仕込みである。まるで世界の料理ショーグラハム・カー並みの段取りのよさではないか。おいスティーブきのう塗っといたカウリングどこやった?まさか食べちまったんじゃないだろうな?

カウリングのイエローの色調は明るめで派手さを抑える、のは前回の計画通り。軽くサラっと言ってみたが、いつもうまくいかず苦心している。胴体帯や味方識別色といった補助的なカラーはついつい面倒がって瓶ストレートで塗ってオモチャ臭くしてしまう。

それが嫌なものでウォッシングなどで彩度を下げるのだが、もろともに明度まで落ちてしまってなんだか汚らしい作品になりはてるのが自分の通例だ。そこらへんの色彩計画にも気を遣って、最初からきちんと色を作っておこう、というわけだ。

 

f:id:sigdesig:20191003163838j:image   f:id:sigdesig:20191003163841j:image

黄橙色とキアライエローの中間くらい、といっても両者を単に混ぜるのではなく、キアライエローに少量の「色の源」マゼンタ、微量のシアン、白などを使って彩度を殺しつつ黄橙色にじり寄せていく。絵皿で予行演習しているのはいきなり瓶で作るといつの間にか量が増えて大量の失敗塗料が出来上がって処理に困ったちゃん、という苦い経験が多々あるからだ。予行演習での調合は感覚で再現する。 

次に胴体の白帯と尾翼の白十字(白十字デカールは使わず手書きし、紋章部分だけ切り抜いて貼る予定)これも純白ではなくデカールの国籍マークに合わせて調色する。こちらがそのデカールの状態。それではサンボルさん、どうぞ。

f:id:sigdesig:20190828103908j:plain

「何べんも出すなや恥ずかしいやんけ」

黄ばんだ白というよりもはや薄汚れたベージュとなっている。オカンのババシャツかい!さすがにそこまでの色にするのも気が引けるから、全体として違和感がない程度の色調に近づけるにとどめておく。胴体帯は国籍マークと隣同士に並ぶ訳ではないのだ。

そう、イタリア機には胴体に国籍マークがない。今更ながらその事に気づいたが、味方から誤射されたりしなかったのだろうか?...誤射されるほど沢山の味方機はいなかったか、そうかそうかそらよかった。

白にいきなり茶色を混ぜると古本屋の岩波文庫「ブッテンブロオグ家の人々」の中表紙みたいにエラくひなびた色になってしまう。前述のクレオス「色の源」イエロー、マゼンタを加えていって様子を見る。なんだか溶けたハーゲンダッツっぽくなった。うまそうだからって飲むんじゃないよスティーブ。

 

 f:id:sigdesig:20191003170137j:image

そこでごく微量のシアンとイエローを垂らして引き締めた、のが上の画像。甘ったるいクリーム色からわずかに緑味を感じる上品な象牙色となってニンマリ。これは以前タイタニック号を作った時に覚えたレシピ。

 

f:id:sigdesig:20190909182059j:plain

自分としては黄色がちょいと派手めに感じるがここは我慢我慢。カウリングの無塗装銀の部分は太すぎてピカチュウが結婚指輪を二本はめたみたいになった。ここだけ後でスミ入れ等で落ち着かせよう。

白部分を吹き付けマスキングしたら下面色のブルーグレーを吹く。うっかり上翼と支柱を忘れるところだった。何の為に半泣きになりながら支柱を削ったのかわからんがな。

 、、、と、ここまでが前日までの下ごしらえとなる。

 一晩冷蔵庫に入れた、じゃなくて乾燥させたファルコの下面をマスキング。イタリア機は翼の下面にも上面色が少し回り込んでいる。何故かはわからない。何故かはわからないが洒落ては見える。下から見上げた場合の被視認性は確実にあがるから英軍の高射砲兵には喜ばれたろう。。。胴体の境目は最近流行のMrペタリ、ではなくブルータップを使う。コクピットには某百均製のパチモンを使ったがちょっとネチャネチャして心配だった。

 さて準備が万端整ってまな板の上に乗ったファルコに上面ベース色の自作イエローオーカーをプシシシと吹き付ける。

 

f:id:sigdesig:20190909183152j:plain

南米に生息する齧歯類みたいになったファルコ。 

 

f:id:sigdesig:20190909183721j:plain

iPadの画面で色調見比べても意味ないような。。。

何となく黄色っぽい気もするが、まあこんなものだろう。

そして次は迷彩塗装だ。。。

 

 

 にほんブログ村 その他趣味ブログ 模型へ
にほんブログ村

 

チェアリングツー

趣味だの嗜好だのは軽やかに愉しみたいものだ。常々「こだわり」が過ぎて他人から疎んじられる偏屈者にだけはなりたくないと思っている。きたるべき自分の次の十年に、そんな「気負いのない生活」を真ん中に据えようと思っている身にとって、「ドカの大型バイク」がいささかtoo much heavyになりつつあるのは確かだ。

Heavy といってもモンスターの車重は並の中型4気筒よりも軽い。以前乗っていたカタナに比べれば何ほどのことはない。ただ、乗る前に「ヨッシャー今日はモンスター乗ったるでー!!」的気合いを必要とする類のバイクである。そういう意味のヘヴィさだ。夜半にそうっとガレージを覗くと暗闇に不気味な魔物がトグロを巻いてノドを鳴らしている様な気がする。つい気圧されて乗りだす気が失せてしまう。存在感が大仰なのだろう。

 

f:id:sigdesig:20191017175735j:plain

ひゅ〜どろどろどろどろどろどろ、、、

そんな時は「もっと身軽なバイクだったらナ」などと思うものだ。例えばSRVとかブロンコあたりがいい。スイングトップのジャンパーなんか羽織って気軽にヒョイっとまたがれる気がする。「何乗ってんのー」と聞かれてもヤマハのニーハーン」と肩肘張らずに答えられる。

SNS疲れ」ならぬ「大型バイク疲れ」なのか。こういう時期はままある。

なのであえて気合いを入れず、なるべく自然体でモンスターに乗ってみようと思った。

朝、いつもの蕎麦屋で蕎麦でも食おうとまず決める。この時点ですでに蕎麦が主でバイクが従である。少し肌寒いから年中ガレージに吊ったままの革ジャンを引っ掛ける。タンクバッグも地図も持たない。

しばらく走ると用事で引き返すことを余儀なくされる。もうこのまま家で「緑のたぬき」でも食うかとも思ったが、さすがにそれでは着込んだ革ジャンに申し訳が立たない。再度バイクで繰り出した。この時点で革ジャンが主で蕎麦とバイクが同率三位だ。

いつものことながら乗れば乗ったですこぶる愉快痛快なのがこのモンスターというバイクな奴である。山中を走りまわって、ふと時計をみると蕎麦屋に着くのがこれでは随分遅くなると気づく。このたびは蕎麦は諦めよう。この時点でバイクが主に躍り出て蕎麦屋は圏外へと去った。

そういうわけで以前に見つけておいた近場の河川敷の公園への再訪を思い立ち、ブログもようやく本題へとたどり着く。


sigdesig.hatenablog.com

 

コンビニでコーヒーとサンドイッチを買いこんで、ドドンと走り出したまではよかったが、はて?どこだったかいな?と道に迷ってしまう。近頃はスマホは見ないで出来るだけ使う様にしている自分の「頭」だが、見た目はともかく肝心の中身の劣化が激しいようで、半年ほど前の場所をもう忘れてる

f:id:sigdesig:20191008112835j:plain

こんな具合で目印がない

”ちょっと前なら覚えちゃいるが、半年前だとチトわからねえ”。と自分で突っ込んで笑いとばしておく。"悪いな、グーグルであたってくれよ、、、ミナトのヨーコ、ヨーコハマヨコスカァー”と歌ってる内に難なく到着。結局スマホの方が頼りになる様だ。

前回は空いてた木の椅子とテーブルはあいにくゲートボールのジーサンバーサンに占拠されている。ま、こんな事ではうろたえない。ちゃんちゃんと準備はしてきているのだよ。おもむろに革ジャンを脱ぎ、やおらサイドバッグの中から先日買ったばかりの「折畳みローチェア」を取り出す。

このチェアは、、、と普通ならここでウンチクを語るべきであろう。アフィリエイトをして小遣稼ぎの一つでもするのが賢い生き方だ。残念ながらそういう方面において熱心なブログではない。文章が長いだけが取り柄だ。イマドキそんなのはむしろ欠点だって?短いのが良いのなら、、、悪いな、他あたってくれよ。

チェアはまあ何てことのない安物チェアです。少し重いけれどバイクなら気にならない程度。けれどコイツは店で自分の目で見て納得ずくで買ったものだ。なにより色と布地のざっくり感が気に入った。ネット通販だとこういう所が確認できない。それに、ちかごろ顔の見えない人間からモノを買うことに惓んでいる。夜店のごときサクラレビューにインチキ商品の数々。いくら安くても「騙された」という後味の悪さだけは御免だ。

川に向かってそのチェアを据える。斜めに停めたバイクは衝立てとなってシルバーゲイトボーラーズからの好奇の視線を遮ってくれる。自分もあっちを見たいだなんて毛ほども思わないからこのローチェアは格好の低さだ。

f:id:sigdesig:20191008114414j:plain

 

チェアに腰かけると借景と自分とモンスターだけの結界が出来る。対岸の喧噪と背後のしなびた嬌声とはまったく別乾坤を立している。川とバイクを視野に納めながらサンドイッチとコーヒーで少し遅い昼食をとる。水辺で木陰というベストな組み合わせはこんな取るに足らない単車乗りにも爽やかな風と木漏れ日を与えてくれる。いやはや、なんとも心地良い。いい写真が撮れそうだ。。。

 

f:id:sigdesig:20191008130222j:plain

ボケーっと、できます。

昨今、「チェアリング」 という遊び、というかアクティビティがあると聞く。折り畳み椅子だけ持って行ってただ座る、という。なろうことならそこで飲食に及び、あわよくば吞んじまおうぜ、ということらしい。

当然、広い公園や キャンプ場、その他のアウトドアフィールドで行うことを想定していて、これを所構わずやればタダの迷惑に過ぎない。ハチ公前や京都百万遍の交差点などで敢行するのは反社会的活動の範疇となる。

要はキャンプのお手軽版である。小さな椅子と机だけなので設営と撤収は心斎橋の外人アクセサリー売りのごとく瞬時だ。つまり道具や装備に凝らず、「気軽に自然と親しむ」ことがメイン。このカジュアルさが清々しい。こうるさい薀蓄や自慢とも無縁でいられる。ほどよい軽み気負わなさ、が今の自分の心境にも丁度合う。

この「チェアリング」をいつでも出来る様に前述のローチェアがバイクのサイドバッグの底に入っている。実はモンスターにサイドバッグを常備した時から「どこでも屋外カフェ」的なことはずっと腹の中に思っていた。なかなか良いロケーションが見当たらなかったのだ。

 

sigdesig.hatenablog.com

 

自分のやっていることは言うなれば「バイクによるチェアリング」つまり「チェアリングツーリング」これだと馬鹿な日本語英語丸出しだから「チェアリングツー」または「チェアツー」と勝手に命名した。さっそく「日本チェアリングツー協会」を設立して各地のチェアリングスポットを総なめにし、ゆくゆくは「マツコの知らない世界」に出よう、などとは毛頭思わない。

荒んだコンビニや寂れた道の駅のアスファルトの上ではなく、自然の中で、自分と同じ「土の上で」相棒であるモンスターと一緒に過ごせるのが愉しい、とは前回も書いた。こんどはバイクの真横で、さらに言えば自分とバイクとが同じ目線なのが小さな仕合わせだ。

バイク乗りはバイクを離れるとただの暑苦しいオッサン(又はオバハン)に過ぎない。薄汚れた季節外れのなり風体で周りから浮きまくる。だから我々はバイクの側にいないと落ち着かないのだ。コンビニやSAなどでよくバイクの横でライダーがいぎたなくへたり込んでいるのにはそういう訳がある。

f:id:sigdesig:20191008130343j:plain

自分からの目線

こうして改めて見るとコイツもずいぶんヤレてきたなァ。傷も目立つしあちこちオイルのシミだらけだ。。。

フン、そういうそっちもフケたもんさ。白髪も増えたし頰もたるんでサ。、、、

「古女房」を通り越して「腐れ縁感」が出てきた。連れ添った年月の長さあってこそだ。そうか、そういうことか。すとんと腑に落ちた。どんなに軽くて小さくて扱いやすいバイクでも新しく買ったものは新しく買ったものだ。どこかよそよそしさがある。

それを新鮮で初々しいと捉えて新しい出会いに心を踊らせる事もあるだろうが、今の自分にはこのモンスターとのしっくりした時間が一番に思える。これこそが「気負いのなさ」ではなかろうか。実際の重みではなく「心の軽み」なのだ。。。自分の中でSRVやブロンコの影がすううっと薄くなるのを感じた。

「こうなりゃあブッ壊れるまでモンスターに乗ってやらあ」 

この時点で自分と、景色と、モンスターが渾然となった気がした。

 

f:id:sigdesig:20191017183646j:plain

ナァニカッコツケテンダイ、ソッチガサキダロ。。。

 

 

にほんブログ村 バイクブログ バイク写真へ
にほんブログ村

「色の道」レベル1/72ファルコ-11

色の道、といっても惚れたはれたのイロコイの話ではない、いやイロコイといってもヘリコの話ではない。なんの話?そうそう塗装色の話だ。

マーキングが決まれば即塗装、とはいかない。一応しがないスケールモデラーの端くれなので、塗装に入る前にリサーチはする。 40年前のプラモデルの塗装説明書を鵜呑みにするほどお人好しではないのだ。「フフフ、そう簡単に塗装はさせんよ、タイガー」とミスターX並みの不敵な笑みをもらしてみる。


リサーチといってもまあ手持ちの資料かネットを漁る程度、可能な範囲内で努力をするということ何も考古学的視点で真実を追求しようとは思わない。色泥沼にハマるのはごめんだ。むろんこれは最終的には各人が決めることで、箱絵と組立説明書だけ見て塗るか、それともマンセル表片手にスミソニアンまで実機を観に行くか、あるいはその間のどこかで折り合いをつけるかは、人それぞれ、十人十色だ。色だけに。基本自分は説明書&箱絵派だが時には掘り下げる事もある。いずれにせよ、自らの価値観を他者に押し付けるのは大人気ないとことだと思っている。Take it easy、気楽に行こうや、のスタンスは以前にも書いた通り。


さて、イタリア機の塗装は時期や戦域によって様々。部隊によってもマチマチで、さらに同じ部隊でも全く違う迷彩が混在しているのも珍しくない。イタリア人とてそれなりに研究はしているようだが、だんだんと迷彩本来の目的である”敵の目をくらます”という大前提から離れてしまい、いつしか「洋服の柄」的な感覚で夢中ななっている気がする。「洒落者の国」だから、という勝手なステロタイプかもしれないが。

 

f:id:sigdesig:20190911174715j:plain


f:id:sigdesig:20190828174301j:plain

もうバラッバラでごわす。。。

 

さてキットの塗装例と同じ162飛行隊のCR42は幸い大戦中のカラー写真が残っている。これをネットで漁って眺めてみた、、、

f:id:sigdesig:20190829175017j:plain f:id:sigdesig:20190828181714j:plain

背景、迷彩の柄から考えて同時期同一機体のはずだがこれだけ差があると何が何やら。
なんとなくフィルム段階で色かぶりしている気もするが。。。コリャちょいとアテには出来ん。

 

f:id:sigdesig:20190827183826j:plain

こちらは自分の目で見た機体。ただしこの現存機は塗り直されていて、実機通りの色で塗られていたかどうかは、復元作業に当たった英国人を信じるほかはない。生きていれば今頃ハンディントンの自宅の裏庭でコーニッシュパイかなんかかじりながら椅子のビロードの張替えしてるところだろう。

 近年(2018)レストアが完了したファルコがある。元はスウェーデン空軍機のようで、わざわざイタリアのレストア専門のチームに委ね、実際の飛行も目指している、というから相当本格的だ。

 

f:id:sigdesig:20190912134938j:plain

塗装色も現代の考証によるものだろうから最も信憑性が高いはずだが、、、どうも遊園地の遊覧飛行機に見えてくるのが不思議。綺麗すぎるからだろうか?修復後のダヴィンチの「最後の晩餐」と似た様なものかもしれない。

結局何が何やらわからない、という事だけはわかった。そこは今時なのだからしてネットでさらに調べる。調べるうちにとあるサイトで
「ファルコならばMrカラーのNo.◯◯◯を塗るのじゃ!
という賢者の教えが、、なんて都合のいい話は全くない。

どうも当時のイタリアには数社の塗料メーカーが林立し、同じ色でも各社ごとに相当なバラツキがあったようだ。うへぇ。(フィアットには2社が納入してたらしい)イタリア機全体で見るとイエローオーカー系4~5色、同様にダークグリーン系も4~5色、当然ブラウン系も、、多種多様な迷彩パターンもあいまって収拾のつかぬ状況となり、つまるところは支離滅裂。。。

さすがのイタリア人もコリャまずいと考えたのか、戦争中に軍指定の標準色に統一を試みるが、それまでのバラバラ塗料も在庫分がしばらくは入り混じって使われ続けたというから、さらに混沌となる。。。絶句。まさに色泥沼。

 

f:id:sigdesig:20190921185609j:plain
イロイロ集めてきましたが。。。

 いずれにせよ塗料は自前で調色するしかない。近似色として示されたFSナンバーやハンブロールカラーの番号などを頼りにあたりをつけて調色のよすがとする。

元のファルコの色→現存カラーチップ→誰かがそれを見て選んだ近似色FSナンバーファレホ社→そのファレホ見て極東のツリ目人が適当に調色したラッカー。。。

時代を越え世界をかけ巡っての色の伝言ゲームそう思えばピンクにならなかっただけでも上出来だ。

f:id:sigdesig:20190912140536j:plain

調合比率なんて覚えておりません。なんて役に立たないブログなんだ。

 

直接ファレホを使えばいいようなものだが、当方このスペイン製の水性塗料での吹付は未経験。今回は工作に手間暇掛けているから塗装で失敗したくない。手堅く使い慣れたラッカー系を選択する。

 斑点模様のダークグリーンは色濃いめ彩度高いめで調色する。72スケールで細かい“まだら模様”をエアブラシで吹くとなると、なかなか発色させられない。おそらくボヤけて薄い感じになるだろう。仕上がりから逆算して色を作る。氷で薄くなるからアイスコーヒーを濃く淹れるようなものだ。ほ、当ブログにしては珍しくまともな比喩が出た。ま、そう思い通りにはいかないのが世の常、人の道。。。

 

そういう場合に備え試し吹きをしておく。我が工房のテスト専用機は前回チョイ役で登場した通りハセガワ72のP-47。

f:id:sigdesig:20190828103908j:plain 

「チョイ役って言うな、チョイ役って」

 

なんでP-47かというと、理由は特にはない。誰でも良かった、強いて言えば在庫の中でもっとも思い入れのない機種だった。という理不尽な動機とみられ、さらに機体も大きく色を試すには丁度良かった、などとも供述しています。被害者は「サンボルのおっちゃん」と呼ばれ、付近の住民からは巨体のお年寄りとしてよく知られていました。

 

f:id:sigdesig:20190913224121j:plain

「誰が無差別殺人事件の被害者やねん、捜査本部のホワイトボードに人相悪い写真で貼られたろか」

そのサンボルのおっちゃんの胴体で色味を見てさらに吟味し微調整。。。最終的にはエアブラシで吹いてどうなるかだ。様子をみてみよう。。。と予選後のインタビューのライコネンばりに淡々と構えてみる。

自分は史実通りの色調かどうか、というより実際に模型に塗ってみた時に当時の軍用機として違和感がないかどうかの方が気になる。なので前掲の最新復元ファルコの迷彩がどうしても腑に落ちない。

その他の細部についても方針を定めておく。スコードロンの塗装図を見ると例のカウリングのバルジの前後のラインは無塗装アルミ地になっている。実機写真でもそう、、、見えなくもない。他の部隊の写真ではこれがハッキリ分かる機体があって。。。

 

f:id:sigdesig:20190911174839j:plain

ロシア戦線。「家族からの便りに作業の手を止める」というほのぼのしたキャプションがついている。これがドイツ、イギリスあたりなら間違いなくヤラセの広報写真だが、、、イタリア人だとどうだかわからない。


部隊、戦線は違うが良いアクセントになりそうだと銀ラインを採用する。カウリングの黄色もアイキャッチになるから、いくぶん赤味を抑えて明度も高いものにしようか、スピナは塗装図の黒より実機写真の赤の方が派手でいいな、などなど、段々とデッチアゲ方向に傾いていく。。。

すべり出しでは一人前にスケールモデラーの矜持なぞを語っておきながら結局は見た目第一のご都合主義に陥るあたり、製作者のテキトーな性格がよくあらわれている。

うん、お前さんにゃイタリア機はお似合いだよ。。。

 

さて、それではいよいよ、いよいよ塗装に移ろうではないか。。。

 


 

 

にほんブログ村 その他趣味ブログ 模型へ
にほんブログ村

「迷える部隊マーク」レベル1/72ファルコ-10

塗装の前にマーキングを決めないといけない。飛行機模型の最大の楽しみといえばこの塗装マーキングの選定だったりする。資料や塗装図を見てあれにしようかこれにしようかと胸を膨らませるのだ。まあ結局は付属のデカールの機体となる事がほとんどなのだが。。。

さて、どこの国の飛行機でも実戦部隊のマークといえば、虎だの鷲だの鮫だのと勇ましいものが描かれているのが普通だ。例えば、、、

f:id:sigdesig:20190827173907j:plain

ワシだ。

f:id:sigdesig:20190827173851j:plain

サメだ。

ぞうさんやきりんさんじゃなくて猛々しい猛獣を使うのは闘争本能をかきたてるためで、連中は戦争してるんだから当たり前だ。しかし中には半裸のオネエチャンがねそべっている、などの怪しからんものもある。

 

f:id:sigdesig:20190828105251j:plain

いやあ、実に怪しからん。
これはこれでまた別の本能をフルイ立たせるからムゲには否定できない自分であったりもする。しかしこれを見た敵の方がその本能をナニされて目を血走らせて追いかけてきたりしたら逆効果だろう。
"敵ったってクソ真面目なドイツ人とバカ正直な日本人だからなーノープロブレーム!"
"いや、イタリア人がさ、女好きの"
"イタリア,,ジン?そんな敵いたっけか?"

 

一方、イタリア機の部隊マークはというと、、、

 

f:id:sigdesig:20190827171513j:plain

f:id:sigdesig:20190827175736j:plain

 「パイプくわえてるカカシ」。。。

 

f:id:sigdesig:20190827171609j:plain

f:id:sigdesig:20190827175755j:plain

「ラッパ吹いているゴキブリ」。。。

 

f:id:sigdesig:20190827180138j:plain

f:id:sigdesig:20190914130031j:plain

「3匹の緑のネズミ」。。。

 

イタリア人はカカシゴキブリネズミの姿で闘志がわき立つのか?それともそういうもんに本能がアレするのか?イタリア娘には格別に親愛の情を抱く自分ではあるが、この辺りについては皆目不明だ。まったく、同じ天体に生息する知的生命体とは思えない。

これが個人マーキングというならまだわかる。例えば石頭揃いのドイツ軍の中にもミッキーマウスを機体に描いて喜こんでる変わり者がいたりもする。しかし前述のは全て部隊マーク。爆撃隊なら何十人もが緑のネズミ3匹が描かれた幼稚園バスみたいな飛行機に乗り込んで戦争しにいくのだ。揃いも揃って了見が知れない。

だいたいゴキブリマークの戦闘機が1ダースも並んでいるだなんて想像するだけで気色が悪い。それが一斉に飛ぶのだからなおもっておぞましい。「まとめてゴキジェットかけたろかい!!」、、、敵が躍起になって追いかけ回したくなる、という意味では半裸のオネエチャン以上かもしれない。最初は「鈴虫の音楽隊」かなんかだと思っていた自分は"クックラチャー"て何やろ?と"Cuccuracha"と入力して画像検索してしまった。その時の阿鼻叫喚たるや、、、英語でコックローチなのだね。。。気づけよ。

「カカシ」、農協のトラクターならともかく戦闘機には向かないマーキングだろう。なんとこのマークが戦後もイタリア空軍に引き継がれている(それ自体は欧州の軍隊ではよくあることだが)「最後の有人戦闘機」F-104のインテークにカカシが画かれているのは洒落が効いているというかなんというか、、、

 

f:id:sigdesig:20190828111450j:plain

よほど歴史がある部隊と思われるが、ナゼニ「カカシ」なのかがさっぱりわからない。遡れば部隊の起源はアビニョン幽閉時代の農民一揆に由来する、とかだろうか?
どうやらこれはカカシではないらしい、、、ホナ何やねん?と思うが"Cuccuracha"がトラウマになってて画像検索できない、、、

 

もちろん、イタリアにも勇ましいマーキングがないわけではない。

たとえば、、、

f:id:sigdesig:20190827180917j:plain f:id:sigdesig:20190827181631j:plain

"Incocca, Tende, Scaglia"  "つがえ、引け、放て"

 f:id:sigdesig:20190827181027j:plainf:id:sigdesig:20190827181646j:plain

"Cavallino Rampante"、 "跳ね馬"

(Cavallino Rampanteは第一次大戦のエース、バラッカ大尉の個人マークが部隊マークに引き継がれたもの。例の「赤くて速いクルマ」のメーカーに授けられてからの方が有名だろう。 "Incocca, Tende, Scaglia"  "つがえ、引け、放て"の方は自分流の意訳。現在は特殊部隊のマークになっている様だ)

どれもなかなかカッコいい、というかデザイン、グラフィックがシック大人っぽい。やはり他国のものとはちょっと毛色が違う。

 

 例えば同じ矢印のモチーフでも、

 ソ連

f:id:sigdesig:20190827172127j:plain

ミコヤン君(小3)「ぼくの考えた最強戦とうき」

 

日本

f:id:sigdesig:20190827202837j:plain
ナカジマ君(小5)「我らが大東あ決戦機」

 

一方、イタリア

f:id:sigdesig:20190914125547j:plain
アレッサンドロさん(32)ピザ職人 「ケケケッ、電気小僧だょ〜ん。」

 f:id:sigdesig:20190828111730j:plain

"Omino elettrico"

 

 、、、やはり、イタリア人の頭の中は三回転半くらいヒネくれていると思う。

 余談だがこの「電気小僧」の3本の尻尾が尻尾でないという人もいる。尻尾でなければ何なのだろう?

さて、ファルコの話に戻ろう。

付属のデカールを見よう。まず第一に発売後40年もたったプラモデルの転写デカールというものがきちんと用を成すのかどうかは正直不安。水につけた途端バラバラになる、あるいは硬くて曲面に沿わない、乾いたらひび割れて剥がれ落ちる、などなど、60年代デカール闘争にまつわる恐怖体験もまた、枚挙にいとまがないものだ。一応キットデカールの不要部分で試してみたが、意外とすんなり貼れたので一安心。

f:id:sigdesig:20190828103908j:plain

実験台のP-47 「わしゃフィアットなんかとちゃうで」

f:id:sigdesig:20190828103250j:plain

「白がエラい黄変しとんでコレ」

いや そう言われてもイタリアの国籍マークなど1/72でマスキングする自信など全くない。世界で最もシンプルな国際標識を持つ国の人間から見れば、この呪術符のようなデザインは怪奇の極みだ。

キットには3種類のマーキングが付いている。一つはスペイン内戦時。もう1つはベルギー駐留でバトル・オブ・ブリテン参加していた(んです!)第18Gruppo。案の定、ハリケーンに蹴散らされ英国のサフォークに不時着し捕獲されたものがこれ。

 

f:id:sigdesig:20190916113657j:plain

余談だが、この写真を見た自分の知人(ドイツ機ファン)が「着陸失敗して喜んでおる。イタリア人はやっぱり馬鹿だ」と嘲笑したが、今言ったような状況だから喜んでるのは当然イタリア人ではないと考えるのが普通だ。横のキャプションにはちゃんとその旨が英語で記されているのだが、読めなかったとすればどっちが馬鹿なんだか、という話。


f:id:sigdesig:20190827183826j:plain

自分が撮影してきたのはこの機体を修復したもの。部隊マークは三本の矢と逆さ向いたファシーズがグラフィカルにデザインされている。


f:id:sigdesig:20190905222835p:plain

"Ocio che te copo!"は「一本では弱い矢も三本まとめると…」ではなく、「御用心、死んでもらいます」あたり、、、だそうだ。

 

もうひとつはエーゲ海ドデカネス諸島のロドス島に展開していた第162飛行隊。

f:id:sigdesig:20190827183811j:plain

部隊マークが猫のポーズが面白いからコイツに決めた。(実際「気をつけな、引っ掻くよ!」とベネチア地方の言葉で書いてある、、、らしい) あれ?そういや40年前もこれにしたか?。。。この部隊の機体は当時のカラー写真が残っている。それを見ると、、、

 

f:id:sigdesig:20190913232227j:plain
猫のマークの下地が白。

 デカールは黄色、これはどうしようもないニャー。

f:id:sigdesig:20190913232108j:plain

ナンバーの字体も随分違いますゼ、旦那。

いやそれは、機番が違うからデカールの機体は黄色だった可能性もゼロではない。

 

f:id:sigdesig:20190909181535j:plain

スコードロンの「Regia Aeronautica」162-4の塗装図では逆に"白もあってんで"と。

 

f:id:sigdesig:20190911125323j:plain

こちら162-4の実機のモノクローム写真(階調補正済み)

白帯の明度と比べると猫の下地は黄色にも、、、
見えなくもないような気がすると言っても過言ではない様な。

 

ええやんもう黄色で。。。早よ色塗りたいわ。

 

 

にほんブログ村 その他趣味ブログ 模型へ
にほんブログ村