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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

D510-6「R-293のデボワチーヌ」エレール1/72製作記

マーキングが決まると機番が決まる。この時期のフランス機は主翼下面にデッカデカと番号が描かれているのが特徴。

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方向舵にも小さく機番があるが、不思議なことに両者の番号はどの機も一致しない。主翼下面の番号は頭にアルファベットが付くところからして無線のコールサインか何かだろうか?

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この塗装図のマーキングの尾翼番号はNo.289 主翼下面はR-293である。微妙な違い過ぎて乗ってる本人も間違えそうだ。「貴官の乗機は ドゥサンキャトア-ヴァンヌフ。コールサインはRのドゥサンキャトア-ヴァントレーズだ」

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フランス語の数字の読み方は奇ッ怪極まりない。60くらいまではまあまあ普通だが「70」台からヘソが曲がりだす。「73」は「60と13」=soixante-troizeと読むのだそうな…ナンデヤネン…

これはルイ14世が70歳になった時「余はこれ以上は歳を取らぬ。以後”70"と言った者はギロチン台」とのたまってしまい、近臣が仕方なく「陛下、60と10歳のお誕生日おめでとうございます」と答えたのが始まり…などというのはたぶん作り話だろう。

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「80」からはさらにヘソの曲がり方は急角度になる。83は「4x20と3」="quatre-vingt-trez"と変人数学教師みたいなことを言う…ナンデヤネン…これはパスカルが80歳になった時…イヤイヤ、古代ガリヤ人(=ゴロワーズ)が20進法を使っていた名残り、という話だ。

何でまた二千年も前の陽気で助平な蛮族とされているゴロ共の読み方を残しておくのか、それも80から上に限ってなのか、謎である。世界に冠たるヘソ曲がり人種であるフランス人だから、仏語を学ぼうとするキツネ目の東洋人にイケズした、ということは充分考えられる。

まあ日本語でも3月13日は「さんがつじゅうさんにち」なのに4月14日は「よんがつじゅうよんにち」ではなく「しがつじゅうよっか」と読むなど、母語者でさえ説明の出来ぬ慣用はどこの国の言葉でもあるものだ。

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フランスでお風呂に入って"100数えるまで出ちゃダメ!"とマダムに言われたら、自分ならきっと70からシドロモドロになって茹でダコになってしまうから気をつけないといけない。

空軍義勇兵でフランスに行ってコールサインがR293だとしたら「エッルドゥサンキャトアヴァントレーズ、後方に敵機ィィ!」みたいな指示が空中戦のさなかに無線で飛び交っても自分ならまず聞き取れない。聞こえても「200とぉ4掛ける20とぉ…」なんて暗算してる間に撃ち落とされるだろう。(多分実際はドゥ、ヌフ、トロワ=ニイ-キュウ-サンなどと読む…と思いたい)

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ともかくもこのエッル-ドゥサン-キャトア-ヴァン-トレーズを下面に描いてやるのが次の工程となる。やれやれ。

 

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D-510-5「デボワチーヌのマーキング」エレール1/72製作記

さてマーキングである。最初は箱絵通りガイコツを描くつもりだったが、よく見るとこのガイコツ、右手に"鎌"を持っている。ガイコツ学校の運動会の借り物競走で"鎌"を掴んで用務員室から飛び出してきたところ、とは多分違うだろう。だとするとこれはただのガイコツではない。 ”死神”である。

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相手を撃墜してナンボの飛行兵器のドテッ腹に描くにはふさわしいのかもしれないが、新年早々”死神”の絵を描くというのもなんとなく縁起がよろしくない。おフランスのヒコーキを作っていても神仏への祈請は欠かさない工房主である。
また疫病が席巻する世界の現状を鑑みても大鎌を振り上げた”死神”マークはいささか不穏当な気がする。こんなアジアの片隅の1畳半の工房の中でも、グローバルマインドは常に忘れない工房主である。

というわけで電脳世界で資料を漁る。胴体に赤いストライプという、いかにも慶賀なマーキングを見つけた。

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ストライプの中のちいさなマークがわざわざ親切に拡大されているのだが、大きい割には何の絵かよくわからない。犬なのか象なのか、悪魔にも見えなくもない。赤い悪魔=ディアボロ・ルージュは欧州ではよく見かけるモチーフだ。”悪魔”だとすれば吉凶の度合いは”死神”と大して変わらない。それでは困るので再び電脳世界に網を投じる。かかったのは同じ部隊名のMS406の塗装図。

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…どうやらキツネのようだ。D510部隊のマーキングを描いたのは、誰だか知らないがヘタクソ過ぎだろう。。。赤地に白い狐を”お稲荷さん”と考えれば、毎年伏見神社にお詣りに行く当家としては吉兆なことこの上ない。なのでこれに決定。機番も「1」だしメデタシメデタシ。

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…ははぁ、テメエさだめしガイコツ描くのが難しいから逃げやがったなこのヤロー!なんて言われるかもしれないが、逆である。ガイコツみたいな絵柄なら多少ヨレたって構わないが、数字や図形はそうはいかないから筆塗りだとかえって難しかったりするんだよ、わかってやりなよ寅さん、という話である。

 

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D510-4「銀の艶姿デボワチーヌ」エレール1/72製作記

塗装前に脚周りを準備しておく。

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これが脚柱さんどすか…いささか頼りのう見えますな。

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こちらが実機…

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そこでプラ棒から紡錘形に削り出すことに…
紡錘形の断面なんて出来るんかいな?まあやってみよし。

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わてのデザインナイフでヒーヒー言わしたるわい。

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まあそこそこにはなったか…

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2本カットして…

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両側にドリルで穴を開ける。マジックで黒く塗ってあるのは穴を分かりやすくする為。

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真鍮線で補強。両側から1/3くらいづつ埋め込んだだけ。

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実機ではこのスパッツの中にショックアブソーバーが仕組まれている。

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尾ソリもついでに真鍮線で補強。

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脚カバーも整形しスジボリ&リベット。さっきぃの脚柱から出た真鍮線でタイヤまで刺したろ思てますねん。

さて機体の銀塗装、ファレホメカカラー+少量のブラックを水で溶く。

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濃度はこのくらいのシャブシャブさ。縦に塗っては乾かし、横に塗っては乾かし…

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ラジエーターの後ろの出っ張りはドロップタンクどっさかい。

f:id:sigdesig:20210116155455j:plainいやぁ、えらい良おに映ったはりますやんかいな。

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平面のリベットはやっぱりウルそう感じますな。もっと間引いてもよかったかしれまへん。

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資料によると補助翼も金属貼りとか…

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さらにダークグレイを足した銀でパネルにメリハリを…控えめに控えめに…

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クラシカルな中にも何やこうピンと張りつめた美意識みたいなんを感じましてん…

f:id:sigdesig:20210116163233j:plain…わてはデボワチーヌはんが好きになってしまいましたんや。

 

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D510-3「デボワチーヌの下拵え」エレール1/72製作記

蘇生したデボワチーヌの下面にファレホメカカラーの銀+少量のブラックを筆塗り。比率は大体このくらい。

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皿にしているのは百均で買ったお弁当おかず入れシリコンカップ
洗えばキレイに塗料が落ちるのはいいのだがホコリがつきやすいので塗料用には不向き。オススメしない。

ファレホメカカラーを水でシャブく薄めて大きめの平筆で縦横斜め斜め縦横と塗り重ねる。これを2セットくらいで下地が隠蔽でき、筆ムラもあまり感じない。なぜか色鉛筆みたいな匂いがする。

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シルバーはホコリがつくと目立つのでドライヤーでの強制乾燥を併用した。数年に一度の寒波とやらの最中だったから乾燥が遅かったのかもしれない。我が工房はランカスターの後部機銃のごとく寒いのである。

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しかしやはり…銀塗装では主翼の凸モールドが強調されてしまう。これではなんだかまるで羽布張りみたいだ。デボワチーヌD500シリーズは全金属翼で意外と当時の最新モードだったのだ。「アラ失礼しちゃうわネ、グラジエーター君みたいなジャガイモ男子とは違うのよ」

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ということなので主翼の凸モールドもペーパーで落としてスジボリ、リベット打ちだ。

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主翼のパネルラインは1/2間引いてリベットのみでアッサリ目に。銀塗装だと特に主翼はウルサク感じる恐れがあるから、これで様子を見る。

資料によるとこの機体はflush rivetsとあるから沈頭鋲だ。写真を見てもその様に思える。この点でも当時最先端である、意外にも。しかし世界初の沈頭鋲採用機とされているハインケルHe70の初飛行は1932年12月。デボワチーヌD500の初飛行はそれより6ヶ月早い。デボワチーヌの沈頭鋲は後年の改良型のD501以降に採用されたのだろうか?

f:id:sigdesig:20210107102246j:plain排気管後方のサメのエラみたいなルーバーは彫刻刀で刻み込む。サメと違って前向きに開口しているから空気取入口だったのだろう。

というわけで塗装の下準備は整った。

スジボリ作業中に水平尾翼がとれてしまった。やはりあのか細い真鍮線では持たなかったのだ。どうせまた取れるからこれはマーキングを描いてから付けるとしよう。やや複雑な脚周りなども塗装後とする。エアブラシではないので部分塗装でもさして問題はない。

考えてみれば筆塗りなら何も全部組み立ててから塗装せねばならんということもない。最新のタミヤなどのハメ合わせの良いキットであればパーツ状態で筆塗り、なんならマーキングまでしてその後に組み立てて、接合部は軽く修正してタッチアップ、という段取りも不可能ではないかもしれない。そう言えば小学生の頃はそんな作り方をしていたものだ。

このままどんどん退行していって最後には赤ちゃん返りするのかもしれない…

 

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D510-2「デボワチーヌ、蘇生す」エレール1/72製作記

さて若造、後始末を引き受けよう。まずは下面の修正だ。確かに瞬接は整形するには硬い、しかし…

プロクソン(PROXXON) ペンサンダー 【先端形状8種・ペーパー3種付】 No.28594

このproxonのペンサンダーなら一撃だ。

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ふははは、サンペとは違うのだよサンペとは!

 次は穴だけ空いた排気管ディティールアップの続きか、これは手強いぞ。

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まずは排気管作り。真鍮パイプをリューターにくわえ込み、ニードルを突き刺して穴を広げる。機銃と違ってラッパ状にする必要はないので焼きなましてはいない。

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12気筒だが排気管は15,6本ばかし作っておく。一個や二個ピンセットで飛ばしても血相変えて床に這いつくばらなくて済む。

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片側6本の排気管を単に接着するだけでは、それぞれが勝手な方向を向いてしまうだろう。そこでプラ角材の二面に両面テープを貼ってガイドとする。決して己の技術を過信せず周到に準備する。これが老練な模型戦士だ。

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瞬間パテを詰め、真鍮パイプを植える。穴は事前に少し広げておいた。何事もギリギリでは上手くいかないのだよ、坊や。

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位置が決まったら一箇所ずつ用心深く硬化スプレーで固定していく。ま、坊やの頃は電動工具も瞬間パテも硬化剤スプレーもなかったからな、無理もない。

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不要なところに硬化剤を掛けないため、作っておいた「九九式硬化剤防盾板二型乙」が役に立った。

 

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これでヨシ。この頃のイスパノスイザ12気筒の特徴である1-2-2-1の排気管の並びが洒落ている。こうして実機の構造や成り立ちなどにも思いを馳せるのが大人の模型作りだ。闇雲にディティールアップに走るだけが能ではない。

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機首の 凸モールドが消えてしまったので仕方なくスジボリ。これは先にやっておくべきだったか。ふっ、ワシもまだまだ青いな。

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となると…胴体部分が凸モールドのままでは目立ってしまう。止むを得ん、筋彫りを彫り直してリベットを打つか。自らの不始末は自らの手でケリをつける。ワシはそういう男だ。

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なんと、水平尾翼はイモ付けときたか…補強が必要だな。

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水平尾翼が薄過ぎて細い真鍮線しか仕込めんか。
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ともかく士の字。f:id:sigdesig:20210105144507j:plain

デボワチーヌ、なかなか美しいラインを持つ機体だ。今夜の酒も美味くなるというものだ。

 

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D510-1「流浪のデボワチーヌ」エレール1/72製作記

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このキットはおそらく工房主が20歳過ぎた頃に買い求めたものと思われる。フランスから海を渡ってやってきて実に40年近くも我が家の押入れ地獄池で過ごしてきた。その間に三回引っ越してつどつど在庫キットは処分してきた。特段貴重という訳でもなければ出来が良いキットでもないのによくもまあ残っていたものだと思う。捨て切れない何かしらの想いが自分の中にあったのだろう。

…とまあ、このあたりはレベルのファルコと同様の経緯である。 

sigdesig.hatenablog.com

ただしD510は手をつけてそのまま放置されていた、という点が少し違う。ふたたび佐貫氏の表現をお借りすると「いなせなデボワチーヌが捨てられうらぶれ、流浪の果てにようやく」工房主との再会を果たすことになったわけだ。オー、モナムー… 

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箱を開けるとデボワチーヌはほとんど形になって自分を待っていた。ここまで作っておいて何故に投げ出したのか、記憶はない。昔から飽きっぽく、気まぐれな男だったのよ、あなたは…なぞと詰め寄られればまだ謝り様もあるが、プラモデルだから何にも言わない。かえってそれが不憫を誘う。

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箱の中身を見ると…車のタイヤとシャーシのパーツ、それに男性フィギュアの上半身、艦船模型用とおぼしき日章旗デカールとひからびたコンパウンド。いずれもデボワチーヌD510となんらの接点もないものが入っていた。いったい何を考えていたのだ?…40年前の若いオレのやることはさっぱりワカラン。

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機首の排気管にピンバイスで穴が開けられている。たぶん真鍮パイプでも仕込むつもりだったのだろうナ。後先を考えない、若さ特有の向こう見ずが垣間見える。垂直尾翼トリコロールのなぜか青色だけが塗られているが、こっちの方の意図はまったくもって不明である。

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ラジエーター後側には真鍮メッシュが入っている。網目がちょっとスケールオーバーだが、これも元気があってヨイ。

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機首側面の小さなインテイクはピンバイスで開口し掘り広げられているが、それも片側だけ…どうもこの辺りでヤル気を失いはじめたようだな俺という奴は…

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下面のラジエーターと胴体部分にはパテ代わりの瞬間接着剤が塗りたくられたまま…ここでモチベーションが切れ、工作がストップしたに違いない。下面に対しての愛情は昔から薄かったようだ。

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デカールは余白のニス部分をカットした痕跡がある。あれこれ手を出して結局アブハチ取らずに陥ってしまう傾向は今も変わらない。やはりお前は俺だったのだ…となんだかよくわからない納得をした。
40年の歳月を経たこのデカールはおそらくもう使い物になるまい。今年はお気楽能天気でデカール解禁といったが、やはりハナっから手描きでいかねばならんようだ。ガイコツはともかく…ラウンデルかあ、さてどうしたものか…

 

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*佐貫亦男氏の往年の名著「続・ヒコーキの心」の一章の題を拝借させていただいた。(本文はD520であるが)氏の著作は工房主の昔よりの愛読の書である。日本における戦前戦中の航空機製造の当事者であった氏の、渡欧経験からくる見聞と博識が洒落っ気たっぷりの短文で語られ、どれもヒコーキに対する愛情が溢れている。

さらに軽妙な”おおば比呂司”氏の挿絵がここに洒脱な味わいを加えて絶品だ。ヘタウマと自称する素人ヘタヘタ画の皆さんは、ひとつ”ほてい”の焼き鳥の缶詰でも眺めて首を垂れてみてはどうだろうか。

ボンジュール デボワチーヌ

ある日のことでございます。

ブログ主様がいつもの様に極楽をブラブラ歩きながら雲の下を見下ろしましたら、押し入れ地獄の中でうごめく作りかけのプラ亡者どものうめき声が聞こえます。何気なくそれを眺めていましたブログ主様の目にDewoitineD510というキットが映ります。

Dewoitineは"デヴォワティーヌ"という発音が近いようです。しかし"デヴォワティーヌ"はいちいち変換しづらいのです。かといって"ドボワチン"では珍さんがドツボにはまった時の擬音みたいなのでここでは"デボワチーヌ"と読むことにします。

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デボワチーヌはエレールの1/72というオタンコナスでした。けれども生前、一度だけ善い行いをしました。どこかの田舎道で九試単戦グモを踏み潰そうとしたけれど、なぜか思い直してワザと負けてやったことがあるのです。それを覚えておいでだった慈悲深いブログ主様は、ちょうど手近にあった一本の伸ばしランナーの糸をデボワチーヌの前に垂らしておやりになりました。 

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こちらはデボワチーヌです。押入れの「作りかけプラモ血の池地獄」に落とされて毎日苦しんでおりました。周りには首の無い三式戦や、体中にパテを塗りたくられたBACライトニング、カウルを切り刻まれたフェラーリ126などが、おぞましい苦悶の声を上げながら、未完成地獄の底なし沼でもがいているのです。

そのデボワチーヌの目の前に飴色に輝く明灰白色の伸ばしランナーの糸が降りてきたのです。これ幸いとばかりに糸につかまったデボワチーヌはそのままするすると登っていきます。元は飛行機だっただけに上昇はお手の物なのでしょう。そうしていつの間にか雲の上の極楽まで上がってきました。

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そしてブログ主様の前に片膝をつき胸に手をあててこう言いました。

 「ボンジュール、ブログ主様。コマンタレブー」

ブログ主様は少し驚いた様子でこうおっしゃいました。

「おや、あなたはここまで上がって来れたのですね」

「はい、ブログ主様の糸のお陰です。メルシーボクー」

「前回のカンダタ君は途中で落ちたのですがね…あなたの後ろから亡者どもが上がってこようとしませんでしたか?」

「ウイウイ、ブログ主様、その通りです。糸が切れやしないかとわたくしビクビクし通しでした。あれは伸ばしランナーだったのですねえ」

「それでその、あなたは亡者どもを蹴落とそうとはしなかったのですか」

「ノーンノン、ブログ主様、そんなこと。わたくしちっとも思いませんでした」

「あなたはさぞ立派な心をお持ちのようですね」

「ウイ、ムッシュウ。だって自由、平等、博愛、ですから」

「…それがこの小話のオチですか。長い割にはあまり面白くありませんでしたね」

「オー、パルドン モア」 

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 といった訳で、次回から(作りかけの)デボワチーヌD510の製作記事がスタートするのでした。

 

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