sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

南太平洋の覇者

完成したヘルキャットを南太平洋で戦ったライバル達と並べてみよう。

同陣営のライバル比較

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初飛行はコルセアが二年も先。ところが野心的な設計が仇となって実用化に手間取り、平凡で手堅い設計で順調に開発が進んだヘルキャットに詰め寄られた・・・とは巷間よく言われることだ。実はコルセアの開発は誕生間もないダブルワスプエンジンの不具合解消にその多くが割かれた面もあるらしい。

コルセアが苦心して熟成したエンジンをちゃっかり頂いたヘルキャット、という事になる。「このドロボウ猫め!」とチャンスボード社が叫んだかどうかは定かではない。

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同じエンジンを積んでるとは思えないサイドビュー。プロペラボスの高さがほぼ同じなのが興味深い。

チャンスボード社の野心

「最もパワフルなエンジンに最も大きなプロペラをつける。主翼は空力面で理想的な中翼配置。これで我々は最強の艦上戦闘機を手にする!」

「閣下、中翼の長い主脚は着艦時に折れて危険です。プロペラが接地する恐れも…」

「わははは!翼を逆ガルにすればよい。それで全て解決だ!」

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「テストの結果、逆ガル翼は着艦時の失速特性が良くないようです閣下!」

「ふむ、私は楽観的だよ。スポイラーを付けて対応するのだ!」

 「閣下、タンクの主翼配置は被弾時に危険だという欧州戦線の戦訓が…」

「タンクは操縦席を後ろに下げてその前に配置する!素晴らしいスタイルだ!」

「ガソリンが漏れて操縦席に入ってくるとパイロット達からクレームが出ております」

アメリカ人ならそんなものには負けないはずだ。シーリングを貼っておけ!」

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パイロット達が着陸時の視界が悪いと申しております」

「またか!…良いことを思いついたぞ、パイロットに操縦させるのを止めればいい!」

「閣下、そんな機体が飛ぶのは50年くらい先になります」

「私はタフだがそこまで気長ではない。キャノピーを大きく、尾輪脚柱を長くする!」

「閣下、海軍がこれでは空母では使えんと言ってきております!」

「海軍がダメなら海兵隊に売り込めばいいではないか!」

 …この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは全く関係ありません…

京都竹屋町通り西入ル 蔵万鉄工所

「もうせんだっての山猫はんとおんなしでエエやんなあコレ。エンジン大きいしてー羽根ひくしてー」

「社長はん、そらよろしけど大きなフィレットがいりますえ」

「ほたら、その羽根なあ、ちょーっと上に付けてみ。ほで胴体断面をペタンコにしたら、デヤ?」

「いーや、社長はん見とおみ、プロペラと地面の間がキツキツやええ」

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 「どこにいい?うわエラ当たりやんかいな。こらエンジンの位置を上げんなんなあ」

「カウリングの下どないしやはりますん?がらんがらんなりますえ社長はん」

「せやなあインテイクでもつけとこいな。後ろは燃料タンクごっついごっついのんにして、ホイデその上に兵隊さん乗ってもらおか」

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 「景色よう見えて良ろしなあ社長はん、せやけど空気抵抗増えてスピードよう出えしまへんやろ」

「かめへんかめへん。こいでゼロ戦より速いねんさけ、600出たら上等上等。上等舶来や」

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「脚柱もエろう長ごうなりましたな」

「まあ折れんように太しとこか」

「ええけど重とおになるんちゃいますやろか」

「かめへんがな、ちょっとくらい。もともと肥えたはんねんし」

  …この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは全く関係ありません…

 

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結局、空母機動部隊は扱いやすいヘルキャットが主力となり、コルセアは着艦性能の悪さゆえ海兵隊の陸上基地に配備され対地支援任務に回される、、、とは何度も書いた通り。

しかし戦争末期になってコルセアの空母運用が可能になると一転して米海軍の主力機となる。太平洋戦争が終わるとヘルキャットは帰国途中の空母の甲板から閉店後のマクドナルドのポテトのように海中に投棄された。一方コルセアはその後も生き永らえて、朝鮮戦争ではMig15撃墜まで達成している。 

 零戦52型との比較。

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まさに大人と子供…

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全備重量ヘルキャット5.7tに対し零戦は半分以下の2.7t  f:id:sigdesig:20200628175034j:plain

1200馬力と2000馬力、最大速度で30~50km/hの差。

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ヤンキーの高校生二人にカツアゲされるメガネの小学生、といった雰囲気。

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コルセアは初登場時に「バレンタインデーの虐殺」で零戦にずいぶんな目にあわされている。相手は最強を誇ったラバウル零戦隊、当時の米軍の平均的なパイロットではクセの強いコルセアは扱いずらく速度の優位性を活かせなかったのではないか、と言われている。

一方ヘルキャットは逆に「マリアナ七面鳥撃ち」で零戦をバタバタ叩き落とす。…どちらもアメリカ人特有の大げさな言い回しにような気もするが…

ヘルキャットは他の連合軍機と違って運動性能も優れており、逆に重量が増えた零戦52型以降は得意の旋回戦に持ち込んでも逆転することが難しくなる。

なによりベテランパイロットの多数の損失が日本海軍にとっては最も大きな戦力低下となったのだろう。

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零戦のマーキングは44年グアム島の部隊、ヘルキャットは同時期にマリアナ戦に参加したホーネット搭載機。この両機は実際にあいまみえた可能性もある。特に意図したわけでもなく偶然の結果なのだが、南太平洋の上空でこんな死闘が繰り広げられていたのかもしれない。

 

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完成画像 F6F-3 ヘルキャット ハセガワ1/72

F6Fグラマンヘルキャットは1942年6月に初飛行。 同時期に初飛行したのはホーカー・テンペスト紫電など。

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2000馬力のP&W ダブルワスプ、F4Uコルセアと同じエンジンを搭載。胴体には巨大な燃料タンクが内蔵され、その上の高い位置に配置した操縦席が特徴。

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新奇で野心的なコルセアに対して保険機として手堅く無難にまとめた、といわれるヘルキャットであるが、立体として手にしてみると同社のF4Fワイルドキャットとほぼ同じコンセプトの正統進化形であると気づく。

f:id:sigdesig:20200626165306j:plain主車輪の幅が狭く着艦性能に難があったワイルドキャットの中翼レイアウトを低翼化し、タブルワスプエンジンを搭載すればこの形になる。

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F6F-3,F6F-5と改良されたがほとんど見分けがつかない程度の変更に留まっている。多少の性能向上のために生産ラインを乱すよりも数で押し切る方が有利と判断したのだろう。
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艦上戦闘機として要求される離着艦時の良好な視界、扱いやすさが窺われる。さらにこの大面積の主翼は高い操縦性能と航続距離をもたらした。

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翼面荷重も他の連合軍機ほどは高くなく、旋回性能もそこそこ優れていた。一方、速度性能は600km/h程度と2000馬力クラスとしては物足りないが、それでも零戦52型などに対して30km/h以上優速であり、日本機キラーとしては必要十分な戦闘機であった。

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さらに生産性、整備性、耐久性にも配慮し、航空機としてよりも”兵器”として優秀であろうとした。言い換えれば合理主義の権化、それがヘルキャットのイメージだ。
 

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「性悪女に軍馬の手綱を」F6Fヘルキャット-7 ハセガワ1/72

筆使いと固定

細かいところを面相筆で描くにあたっては、飛行機模型では馬鹿でかい主翼や尾翼が邪魔になって仕方がない。 機体と右の掌のどちらかがグラつくと線がヨロヨロになる。…スイマセンねどうにも、鍛錬が足りないもので…対象物と自分の手指をしっかり固定することが大事。

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そこで当"1畳半工房"特製の「九九式三号仮置台横型」(発泡スチロールブロック)に機体を固定し、右掌の支えには「マ式加工台座一型改」(米栂二寸角+カッターマット)を縦にして使った。また面相筆も描く面に対し鉛直でありたいので発泡ブロックにツマヨウジを刺して角度調整するという、極めて原始的な方法が採用されている。単純明快というか低廉安直というか当"1畳半工房主人”の特性を如実に表していると言えよう。

さらに筆の穂先の延長線上に自分の目がくるようにした方がよさそうだ、とも気づく。この辺の筆の持ち方や固定方法などはNHK美の壷」の螺鈿職人か何かの回で見たのをマネている。この番組は草刈正雄木村多江のコメディ的かけあいが好きでよく視聴している。メーカー名や商品価格が一切出ないところも宣伝くさくなくていい。

凸凹 

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機番や国籍マークなどタッチアップを繰り返した部分の塗膜表面のデコボコはどうしても残る。コルセアの時は全体にマットバーニッシュを筆で塗ることでうまくゴマかせたのだが、今回のヘルキャットでは胴体後部に凸モールドを残したため、そこに塗料がたまってしまっていかにもペンキ塗り立てっぽくなってしまった。製作者の軽率な思いつきが後になって祟るという好例だ。

 

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…んッふふ〜ア〜ニキぃ〜、これガタガタのコッテコテじゃないの〜。どーすんのさ〜、ねえったらアーニキぃ〜

…ウッセエ馬鹿野郎!しょうがねえだろ筆塗りなんだからよ!これがお前、あ,味ってもんだよ!綾部のババアにもそう言っとけ!

 

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手跡筆跡は「味」として残しつつ、軽くマットバーニッシュを重ね、ラプロスでサンディングしてならす。1/72の飛行機の模型として最低限見苦しくない程度を目指した。凸モールド部分がハゲたのをタッチアップするつもりだったが忘れた。

仕上げとウエザリング

そしてついにキャノピーのマスキングを剥がす時が来た。

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…思ったより苦労したね〜アニキィ、え〜ここにくるまでさぁ。俺もっと早く出来っかと思っちゃったよ〜…

…そりゃオマエ四回も塗装をやり直してんだから当たり前だろ。それよかアキラぁ!おマエ辰巳さんに前金もらってこいつっただろ!馬鹿野郎とっとと行ってこいよこの貧しいオカマ!

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排気汚れはタミヤのウエザリングマスター。ススで真っ黒になった部分と高温にさらされ白っぽくなった部分が混在している表現。これが一度やってみたかった。明るい色から順に擦り付けていくと良いようだ。

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…あら、いい感じに仕上がったじゃないのオサムちゃん…

小物

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プロペラは薄く整形した。製造メーカー(ハミルトン)マークも手描き。形を三つ揃えるのに難儀する。デカールはあるのだからおとなしくそいつを貼っておけばいいんだが…もはや意地になって手描きにこだわっている感がある。

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主脚カバーにも機番が必要…当然フリーハンドで手描きするほかない。左右の見た目がなかなか揃わず何回書き直したか。2mmx3mmくらいの小さなパーツに1時間以上かかった…ナナニイのお気楽筆塗りがいつの間にか筆塗り苦行になってしまっている。もう機番の手描きは二度と御免だと思った。

機体各部の細々した注意書きも省略だ省略。こんなの実機写真でもほとんど見えないし、第一ゴチャゴチャしていて好みじゃない。1/48でもあまり貼らない自分である。ナナニイ筆塗りではなおさらだ。

 

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脚と脚カバーを取り付ける。途端に農耕馬みたいに鈍重かつ頑健なイメージとなる。脚柱がズ太くカバーがブ厚いだけかも知れないが、この骨太さが軍馬として米海軍を支えたんだぜコンニャロー!と思えばむしろ雰囲気だ。

 

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真鍮管で機銃を作って…

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一本一本植えてやる。よく見るとアチコチそっぽを向いている…よく見ないとわからない、よく見ないようにしよう。

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実機写真では増槽まで迷彩塗装されているようだ。ハセガワのこの増槽は少し細過ぎると思う。機体に装着すると太いヘルキャットがさらに太く見える。もはやデブキャット。正確を期するなら流用又は自作が望ましいが、太猫の方がイメージ通りなのでスルー。

増槽の取付バンドもキットのものを切り飛ばして整形、プラペーパーで再現してみた。実機はもっと薄くて細いが、薄過ぎるとヨレるのでこのあたりが限界。"真鍮板"という手があったと気づくが、もはややり直すほどヘルキャットに対して「愛」は残っていない俺だった。

完成

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ともかくも完成。

グラマンF6Fヘルキャットの出来上がり。ふてぶてしい面構えだな〜と思ってもらえれば製作者の狙い通り、ということになる。

次回は完成画像。

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「妖かし猫に涙の機番を」F6Fヘルキャット-6 ハセガワ1/72

国籍マークの次は機番を手描き。

デカールのコピーから機番26を下書きする。

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はなっから歪んでるぜアニキぃ。

いいんだよ目安だから大体で。

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その裏側を4Bの鉛筆で塗りつぶす。周囲に両面テープを貼って…

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所定の位置に貼り付ける。

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その上からなぞる…

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転写される…小学生の時こうやって「月刊冒険王」の「変身忍者嵐」だの「快傑ライオン丸」だのの写真かなんかをノートに写し取っていたのを思い出す。あの頃とやってる事はあまり変わらない…オツムの中身も10歳程度ということか…

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位置とバランスを検討しOKなら鉛筆書きを目安に筆を入れる…

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フリーハンドで手描き…ステンシル字体だから簡単だと思っていたが、直線、直角を求められるのでそれなりに難しい…

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な、なんとかこれで勘弁してくだせえ…

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直線直角に苦労したのとサイズを揃えるため胴体側面は外縁部分のみマスキングしてみた。

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タッチアップを繰り返すので結局フリーハンドと変わらない。セロテープをはがすと機番の下のガッシュが剥がれてしまったからちくしょうめかえって藪蛇だ。しかし、それはそれでいい感じの剥がれだったのでそのままにしておいた。怪我の巧妙というか転んでもただは起きないというかヤケのヤンパチというか…

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反対側も同様に…

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右側面尾翼はもうマスキングなしで…

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だんだん手慣れてきた。空母ホーネットのGシンボルは白の円。これまた真円を描くのではなく、真円に見えるように描く。あなたが真円を描く時、真円もまたあなたを描いているのだ。

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胴体と尾翼で字体の雰囲気が違ってしまってらあ。泣けるぜえ…

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気なりだしたら止まらない、尾翼の機番を修正。

実際のところ修正後の方が数字単体ではイビツになってるのだが、パッと見はバランスよく見える。人間が抱く違和感というものは実に微妙なものだ。

 

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ま、このくらい離れればそれなりに見える、、、だろ。

 

さて今回はいろいろな発見があった。

求めているのは完璧な真円、直線を描くことではない。
人の目に真円に見えるように、直線に見えるように
描くこと。

実機通りの完全精密写実主義から解き放たれた心境が今、している。

小磯美術館のあの"荷馬車の絵"を思いだす。近くで見ると車輪はねじれ、木のフレームはよれている。それでも少し離れればそれはまごうことなき車輪であり、フレームはしっかり荷台を支えている。

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”技量”においては画伯にはるか何光年も遅れをとっていようが、少なくとも”心境”においては同じベクトルにあるのではないか。つまりあの荷馬車の絵と我がヘルキャットは、”絵を描く志し”においては同じ平面に立っている、そのくらいまで自惚れてしまった自分がいて苦笑する。なんだか「草枕」の一文のようだ。この心境にいたったものはすべて名作をものするとは言えないが…というくだりである。

…どうも真っ当なスケールモデラーからだんだん離れていく気がする。

 

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「魔女の体に星の印を」F6F-ヘルキャット-5 ハセガワ1/72

全体塗装が終われば今回のハイライトが待っている。

 

褪色表現

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綿棒はたっぷり水を染み込ませる。

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パネルの継ぎ目などは先を切ったツマヨウジでキシキシとこすってやる。

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当時の動画を見ると着艦直後、まだエンジンが回っている内に主翼を折り畳んでしまい、甲板の端の方に寄せて係留している。おそらくその状態のまま駐機され、照りつける陽光と潮風に晒され褪色していくのだろう。時に波濤をかぶることだってあるかもしれない。そういった状況に思いを馳せ、イメージしながら作業する。これもWWII大戦機模型の醍醐味だ。

褪色させては極薄ガッシュを流して落ち着かせる。これを幾度か繰りかえす。

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コルセアと違ってヘルキャットの登場時期は米軍は既に攻勢に回っており、日本軍を圧倒していた頃だ。なのでおなじ褪色でも”一敗地にまみれた疲弊感”ではなく”連戦に明け暮れるベテランの凄み”みたいなものを心がけた。

ステンシル

前回のコルセアでは国籍マークは筆塗りとデカールのハイブリッド技法とした。
今回は満を持して

「ようしこうなったら全部手描きでやってやらあ!」

随分と威勢がいいが、零戦やコルセアに比べるとヘルキャット胴体はフラット。加えて機番も直線的なステンシル字体。部隊マークはこの時期の米海軍に特有の単純な幾何学模様、などなど手描きし易い条件が揃っていると計算高く見越してのこと。弱い相手にしか喧嘩しないヤンキーみたいなもんである。

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 デカールをコピーしたものに透明のテープを貼って強化し、切り抜いてステンシルにする。世傑の写真から空母ホーネットのVF-2の26番機、トライカラーでそこそこ褪色もあって部隊マークは白の円、個人マーキングなし、という御誂え向きの機体だ。

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位置決めして両面テープで貼って鉛筆で下書き

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ケガキ

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だ、大丈夫か?…

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な、なんとかならあ…

胴体

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思ったより星のマークがデカイ。胴体下部はかなり曲率が大きくなっている。結局、コンパスやサークルプレートは使えなかっただろう。

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なんとかケガキ針で写し取る。

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主翼上面はやり方を変えてみる。

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ケガキ針で中心や要所をマークし…

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それをガイドに鉛筆で下書き…

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その後ケガく。間違ったりしてあちこち傷だらけ。やれやれ。この作業はやはり下地の段階あるいはパーツの段階でやっておいた方が楽そうだ。精度の高いタミヤ零戦などであればパーツ段階で塗装、国籍マークまで手描きしてから組立てる、というやり方も不可能ではないかもしれない。

主翼下面マーキング

星を塗っていく。

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使うのは画材屋で買った面相筆。高いものではないが扱い易い。

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先行きが不安になるが、構わずフリーハンドで塗っていく。

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概ね出来上がり。星がヒョロっている…

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何度もタッチアップして直線を出していく。

胴体のマーキング

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この時点で既にケガイた星がえらく歪んで見えるのに気づき、修正していく。

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少しづつフリーハンドで修正しつつ…

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星の歪みを取っていく。

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筆の動かしやすい方向に機体を回転させて塗っていく。歪みが見えてくる。あるいは歪みが消える。

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そうか、歪んでいるのと、歪んで見えるのは別のことなのだ…直線と直線に見えることも別のことなのだ。

主翼上面マーキング

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塗料の濃度の加減や筆の動かし方など、だんだんと慣れてくるもので…

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ムラムラだが気にしない。度胸もすわってくるもので…

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平滑さ、精密さを求めるならマスキング+エアブラシが一番いいのは分かりきっている。

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拡大すればヨレヨレだけど…

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ちょいと離れればピシッと見えてくる。むしろ他の筆塗り部分とバランスが取れていてこのくらいの"粗さ"があって良いとさえ思えてくる。

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こちらは前作コルセアの国籍マーク。白い部分は筆塗りでインシグニアブルーはデカールを切り抜いたもの。

 

 

 

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「魔性の猫娘に青いドレスを」F6Fヘルキャット-4 ハセガワ1/72

さてヘル猫の塗装である。
米海軍のトライカラーは前作のコルセアと同じだ。塗装手順も前回通りだから簡単ヘープー、と思っていたが……

Take-1

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 極薄ガッシュをパネルラインごとに塗っていく。

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ここまでは、問題なし。 

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新しい試みとしてインテーミディエイトブルーの塗り分けラインを塗り残してみた。何となく筆の感触に違和感が…

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ありゃりゃ、塗り重ねるうちになんだかテカテカになってきたぞう?!使った塗料はコルセアで調色したガッシュ絵具を瓶で保管しておいたもの。ただし少し水分が飛んでいたのでペインティングメディウムを追加した。その量がちっとばかり多すぎたのかもしれない。

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やりなおーし!マジックリンで猫泡だらけ。

Take-2

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下地タミヤアクリルからリスタート。

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同じ塗料に水を加えて濃度を下げてみた。

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この辺からすでに悪戦苦闘。なんだか色が乗らない。

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テカりは相変わらず。 発色がいまいちなため、塗り重ねてボッテリになってしまう。

顔料が足りない感じ…

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やりなおーし!再度ネコ泡だらけ。

Take-3

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新しい水性ホビーカラーを入手したので使ってみたくなり下地に。

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インターミディエイトブルーを先塗りしてみたらどうなるだろうと思いつき…

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シーブルーを重ねる。今度は絵具を多目に入れてみたら……

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…彩度が上がってしまって…暗雲がたれ込める。

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外翼部分のみやり直してみるも……

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う、うまくいかん……色を重ねると下の絵の具が泣く(溶け出す)ぬう今度はペインティングメディウムが足りないのか。

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やりなおーし!三度び泡風呂ニャ!?

このドラ猫野郎めはなかなか一筋縄ではいかん。仏の顔も三度まで、次に失敗してみいワレ大阪湾に沈めてもたるど!と怒ったところで仕方ない。単に自分がヘボピーなだけだ。

冷静になって原因を探る。

下地のせいか、それとも塗料か塗り方か?次々新しいことにトライするので失敗の原因が切り分けれない。悪いパターンだ。迷走している。

Take-4

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少し嫌気が差したのでハンプ嬢ちゃんに手を出すなどして気分転換をはかる。現実逃避、とも言うね。…いいんだよ何でも…

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気を取り直して再びヘルキャット姐さんに。前の塗料は捨ててもう一度イチから作りなおす。ガッシュで調色し、適度な塗膜になるようにペインティングメディウムを控えめに加え、塗る段になってから水で薄める。新たな事にはトライせず、うまくいった時のやり方を踏襲する。時には謙虚に愚直なまでに堅実なやり方に立ち返ることも必要だ。

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インターミディエイトブルーの部分は二回位でやめておく。

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全体のバランスを考えて少しづつ極薄ガッシュを重ね、薄く薄くを繰り返す。

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コルセア同様、面相筆のムラは加えない。

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インターミディエイトブルーを重ねる。境界部分が難しいのは同じ。

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今回は主翼や機首周りなどのグラデーションにうまく深みが出てくれた。前3回の失敗では色を重ねすぎ平板になってしまっていた事がよくわかる。

ガッシュは結構デリケートなのだな。まあ、基本的に不透明画材のガッシュを水で薄めて下地を透過させているのだからどうしたって無理がある。(んじゃ今度はリキテックス使ってみようか、とまた要らぬチャレンジ精神が出てくる)

零戦とコルセアがうまくいったのは、ガッシュの濃度が丁度いい感じだったという多分にラッキーな面もあった、ということだ。今回はダメなパターンがわかったのでこれはこれで良い経験だ。…豊満な年増女で経験を積む…というのもいやはや何とも…
 
 

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「化け猫の皮に下ごしらえを」F6Fヘルキャット-3 ハセガワ1/72

赤ーコーナー、2350パウンドー46リッター、18気筒2000馬力〜、プラット&ホイットニー、ダブルワースプ!!!

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……と威勢良く紹介されたわりには素っ気ないエンジン。後列が半分埋まっているのは、どうせ見えなくなるからまあいいとして、目立つ減速機周りが丸坊主なのはちょっと寂しい。

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こちらがタミヤ72のコルセアのダブルワスプ。同エンジンのヨシミで並べたいわけだから…

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それらしくデッチあげ、、、

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それらしく塗る……と、それらしく見える……カナ?

次に風防をマスキングして取り付ける。

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そのままではチト合わない。この時代のキットならまあこんなもんです。
接合部をスリ合わせて…

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…パテがわりのブラックジェッソ+モデリングペースを「ニャロメ!」とばかりに隙間に詰め込む。

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視界向上のため上に持ち上げられた操縦席、機軸より垂れ下がったカウリング、途中で上反角が増す主翼、意外に尖った背中、などなど。ヘルキャットの特徴がよく出ていると思う。細かいことを言い出せば欠点はあるのだろうが、贅沢は申しませぬ。

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大昔に作ったマッチボックスのキットなどに比べると断然素晴らしい。思えばあれが我プラモ人生における輸入キット初体験だった。でっぷり太った性悪女で筆下ろし、とは何ともはや。

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全体的なハメ合わせは悪くないが、下面の主翼と胴体の接合部は多少の修正は必要。まあ騒ぐほどのことでもない。

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 先代のF4Fワイルドキャットが中翼で主脚のレイアウトに難があった為、このヘルキャットでは低翼化した、というのが通説だが、このアングルから見ればほとんど中翼に見える。主翼のフィレットがないかわりに脚柱が若干長くなっている。

 

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キャノピー周りを埋めて、、、

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タミヤアクリルにて下塗り。ここまでは何事もなく順調。

さて塗装マーキングの選択。

ヘルキャットはピカピカのグロスシーブルー1色というのがふてぶてしくて宿敵グラマンのイメージに合うのだが"極薄ガッシュ"とは技法的に相性が悪い。そもそも増槽から脚柱に至るまで青一色というのは愛想もクソもない。なんでまたこんな塗装が採用されたのだろう。

へい、ビリー三色迷彩なんて面倒くさいことはやめないか、日本機なんてもう飛んでないぜ。オーライ、ジョー。全面青一色にしちまおう。おいおいビリー、脚柱まで青に塗るのかい?ああ、遠い未来にヘルキャットのプラモデル作る奴がいたら、楽できるだろうさ。

ありがたくって涙がでらあ。自分はしかし天邪鬼なのでトライカラーの機体を選択。

ところがこのあと性悪猫女の本領が遺憾なく発揮され、地獄を見ることになろうとはブログ主はまだ知らない…

 

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