sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

模型道具のお話

少し脱線する。

紫電を作りながら考えた。下面がうまく塗れたのはファレホのメタリックカラーのお陰である。上面がヘタくそなのは賞味期限の切れたガッシュのせいだ。結局ウデではなく材料や道具に頼りきりのブログ主である。

筆塗りモデリングで道具と言えば筆だ。エアブラシがメインだった今までは筆で塗るといってもタイヤか機体内部だったから大差はないと安物筆を使い捨ててきた。

さすがに面相筆だけは多少は良いものを持っていたから、筆の良し悪しが結構仕上がりを左右することも少しはわかっている積りだ。

高けりゃイイとも思わないが、お気楽ナナニイとはいえ筆で大きな面積を塗るようになったのだから、今までのものより少し位は上等な筆を使ってもバチは当たるまい。弘法筆を選ばず。と言うが、sig工房は筆を選ぶのである。

そんな思いもあって今年に入ってお気楽ナナニイ筆塗りシリーズを作り進むにつれ、折をみては平筆をあれこれ試してきていたのである。

GSIクレオス Gツール MB07 Mr.ブラシ 平筆6号

GSIクレオス Gツール MB07 Mr.ブラシ 平筆6号

  • メディア: おもちゃ&ホビー
 
タミヤ メイクアップ材シリーズ No.158 モデリングブラシ HG 平筆 小 87158
 

色々買ってみた結果、ムチの様に硬いナイロン筆でビシーッとしばき上げられるよりも、コシが柔らかい筆で優しくナ〜デナデされる方が自分は好みだということがわかった。いやそれくらいしかわからなかった。

画材屋で買うと色々選べて面白いのだが、中には柄が長すぎて我が工房の狭い机の上では不便なものもある。柄の後ろをカットしてみたが、今度は軽くなりすぎる。やはり模型用のものはその点も考えてある。

そこでこのほど、なんと贅沢にもタミヤのHGシリーズをまとめ買いした。ゼータクといってもネットで買えば1本500円くらいだ。いつもの平筆と差額が300円ちょいだから、ラーメン屋でギョーザを頼むのを何度か我慢すればよい。ちなみに筆毛は馬毛らしい。これで俺のも馬並みだ、ヒヒ〜ン。

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余談だが絵筆の"セーブル"や"コリンスキー"などの名称が実は筆毛の"イタチ"の意味だとは知らなかった。それぞれバルビゾン派の画家かロシアの画商か何かにちなんだ名前をつけて売ってるんだと思っていたから相変わらず馬鹿である。

ちなみにタミヤでコリンスキーといえばHGの上のProシリーズがそうだ。面相筆に限られるが千円オーバー。うぬイタチは高いぞ。タヌキはもっと高くて2千円。日本画用になる。仙人みたいな爺様が使っておられるイメージだ。あれなら俺のもタンタンタヌキ並みになるのか。ぽんぽこ

無論、そのクラスの面相筆を使うモデラーも大勢いらっしゃる。9千円のニッパーでパーツを切り取り、4千円のピンセットでおつまみになるのであろう。さふいふやんごとなき模型貴族は雲の上、われは平民モデラーなりけり。

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ウチの面相筆たち。どれも500円くらいで(面相筆としては)さほど高価なものではない。上から二番目と三番目は穂先が柔らかくてお気に入りだ。何の毛なのかはトンと知らぬ。

柔らかな穂先は絵具の含みが良いので薄い塗膜でスーッと長く塗れる。さらに柔らかさを活かして曲線などの微妙なコントロールが効く。国籍マークをマスキング無しで塗るとこの柔らかさがとても扱い良い。ごくわずかな毛先の加減で歪んだ円が少しづつ真円に近づいていく。そんな時、おお、ワシは筆で模型を塗っとるんじゃのう、という仙人の境地が味わえて愉しい。ぱふぱふ

無論その分巧拙の差がはっきりと出てしまう。下手だろうがなんだろうが、”自分の模型”が出来あがる。そこには今の自分の技術やら集中力やら意気込みやらがまこと正直に映しだされている。それが嬉しいのだ。それが悔しい時も、まあ多いのだけれど…ね。

 

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紫電-9「わが上面色は緑なりき」アオシマ1/72製作記

下面の銀塗装がことのほかうまくいったのでご満悦のブログ主である。この勢いをかってスカッと上面色を塗って一気に完成ダー!と鼻息も荒く臨んだのだが…

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いつものように薄く溶いたガッシュを乗せていく、、、アレ?うまく塗れん? 

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乾燥が遅い、ムラになる、グラデーションが出ない。コテコテやってるうちに塗膜が厚く、妙にツヤが出る、、、

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ハッと思いつく。「これは前回ヘルキャットの時と同じデススパイラルではないか!」あの時は前々作のコルセアを塗って余ったのを保管しておいた絵の具が原因だった。塗った絵の具を落としては塗り直し、あげく絵の具を一から調色しなおす、というイバラの道を辿ったのだ。関西人の言う「エライ目に逢うたで、ホンマ」というやつである。ま、全部自分が悪いのだが…

sigdesig.hatenablog.com

今回の濃緑色は何かの余りという訳ではない。訳ではないが調色してからそういえばやや日数が経っている。指折り数えてみると数週間にはなる。ブログ主の生来の横着さに加え、やれ眼が悪くなっただの暑くなっただのと言い訳しては先送りにしていたのが祟ったわけだ。エラい目にあわしやがんのー。

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その間に、ガッシュが重合とは言わぬまでも成分が変化したことは十分考えられる。やはり元々アクリル絵具、作る直前に調色しなければ駄目なのだ。そいつはマア、分かっていた事だけれど…。塗料瓶をよく見るとなんだかモロモロがあるナ。これを紫電にナスりつけてたわけか、嗚呼…

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今回はしかしマット・メディウムを混入するなどして無理矢理押し通した。なのでムラ、ザラつき、ゴミ、傷、筆跡のオンパレードである。それもこれも筆塗りの"味"のウチじゃよフォッフォッフォッ…と開き直ってみても…心の中ではブースカが「シオシオのパー」と言っている。

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さらに塗り重ねていけばムラは消えるかもしれないが、ノッペリとしてしまうのでこれ以上は止めておく。幸い日本機、それも南方のフィリピンに展開した紫電だ。ムラムラは日本機特有の外板のウネリの表現でもある。前回の零戦52型ではお上品になりすぎて、わざわざ面相筆でムラを描き加えたくらいだ。それにヘルキャットやコルセアあたりの米軍機と並べた時に、ややクタビレた感じがあった方が往時の紫電のイメージに合っている、などと思い直した。

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水綿棒でこすって褪色表現、のつもりがうまく色落ちしてくれない。やはり特性がかなり変化している様だ。ペインティング・メディウムの効果が強く作用したのか?考えようによっては乾燥直後の塗膜強度が上がっているとも言える。これを上手く利用すれば迷彩塗装などには転用できるかもしれない。

ツマヨウジ&綿棒に魔法の液体”マジックリン”で塗装の剥がれを表現する。やり過ぎるとペロリと剥ける。そこは面相筆で濃緑色の縦線と横線を引いて誤魔化す。

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アップで光量が多ければこんな具合。クタびれてますなあ。

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引くとまあほぼ緑一色。

フィリピン、クラーク基地の紫電は世傑のカラー写真などではかなり塗装が劣化していてハゲチョロケのものもある。日の丸の退色具合からすると廃棄され野ざらしとなってかなり日数が経つのだろう。なんぼなんでもこんなハゲ日の丸で飛んでいたとは考え難い。実戦配備中はもう少し手入れされていたと推測する。

また、水上機が得意な川西機だけに塗装はしっかりしていた、などという談話も残っているようだ。それがいわゆる"青黒い川西色"を産んだのかもしれない。スレハゲは飛行士や整備兵などが触ったり歩いたりしただろう部分を重点的に、目立たち過ぎぬように節度をもって施した。この辺のサジ加減がいつも難しい。難しいが表現の手段と考えれば面白くやりがいもある。ガッシュ筆塗りの醍醐味か。

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フィリピンはソロモン諸島や南洋の空母上ほど陽光も強くないだろう(どちらも行ったことはない。どころか自分史上最南端の地は足摺岬である)コルセアみたいにカッスカスに褪色させるつもりはそもそもなかった。結果的にこれくらいで丁度良かったのかもしれない。なんだか後付けの言い訳ばかりしてる気がしてきたナ。我田引水、牽強付会の口八丁モデラーとは俺のことよ。

  

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紫電-8「筆塗り銀,怖るるに足らず」アオシマ1/72製作記

南蛮渡来の絵具、ファレホなる、ライトのスチールを紫電に塗るめり。いざ参る。

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されば例によって馬手の平らかなる尾翼で様子を見てのち、ゆるりと筆を進めゆく所存なり。

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まずは一太刀、筆塗りの段。何やら面妖なる筆ムラが残りありしかども、焦りていたずらに筆返しなどは禁物との心得あり、しからば今ひとたびの乾燥待たなむ。

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ふたたびめの筆は初太刀に矩ね手に交わりたる如くいたす。柔らかき筆の穂先を絵具にて存分に潤わせ、かつまた瓶口にてよくしごきて余分の滴りをしっかと落とさば過ち少なからん。

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三度び目の段。さらにこたびは大空を飛翔せる益荒男の心意気を伝えむとて機軸に平行に筆を運ぶべし。これなむ裏技とやよぶべき。三度び目で充分隠れ蔽したりと了見いたせばこれにて止む。

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二夜ほど水干ませてから糊付き黄巻紙にて覆い貼りをなす。ただちに貼り重ねれば運の悪きものは巻紙もろともに色こそ剥がれてなほ残りけれ。あるいはまた運の悪きものは風呂より出んとしてきんたまを詰め割りてしぬるものもあり。しかるのちに銀に白を混ぜて塗り、動翼の羽布張りを現し表わさむ。

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さらにてはめりと張りを与えんがため一筋の黒を垂らしたる銀を塗り重ねけり。

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かく相成る。下面にてはあまり目立たぬが、それが吉。和をもって貴しと為す。

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しかれども、さやかに日の光を受けたればその差、明明白白たり。仔細に眺むれば多少のアラはありしも、筆塗りと知ろしめさばいささかも文句のでるらむ。

 

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紫電-7「カゲロウお銀を味見する」アオシマ1/72製作記

さて紫電の下面はカゲロウお銀、いや無塗装銀だとして、問題はどうやって塗るか。

”ノンスメル・モデリング”でいきたいから使うのは水性塗料だ。しかるに水性のメタリックは総じて粒子が粗い。無塗装というよりは銀ラメ、塗るとキャバ嬢のネイルみたいになる。

"お気楽ナナニイ筆塗り"でいきたいから筆塗りだ。メタリック塗料を筆で広範囲に塗るのは水性に限らず難易度が高い。金属粉が揃わずどうもムラになりやすい。中学生の少ない小遣いで初めてピースコン・ヤングを買ったのは飛燕の銀塗装の為だった、と太古の昔を思い出す。

さらにこの夏の猛暑ときた。連日体温越えではたまらない。塗ってる尻から筆が乾いていきやがる。その都度薄め液を足すもんだから塗料の濃度がまちまちになってさらにムラになる。「銀・筆・暑」の三重苦だ。製作の手も止まろうというものではないか…(イイワケ)

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試しに塗ってみたタミヤアクリルの銀。右フラットアルミ、左クロームシルバー。思っていたよりはマシに塗れたが、どうもボッテリして、”無塗装銀”という感じには遠い。(フラットアルミは鋳造品のエンジンブロックや減速機などにはいい雰囲気になるだろう)

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増槽ラックより左側がガッシュのシルバー+ペインティング・メディウム

シルバーはガッシュには珍しく隠蔽力が弱い。光沢はテラテラで素晴らしいのだがどうにも軽薄だ。機体に婦女子の裸体を描いて喜んでいるようなお調子者の米軍機ならともかく、敗戦間際の日本軍の機体には似合わない。特にどてらを着込んだ"荒井注"みたいな風貌の”紫電”にはなおさらだ。

ちなみにここまでのテストピースは生前のサンボルのおっちゃん1号。そしてサンボルのおっちゃん2号が満を持して登場する。

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「い〜よいよオレの番っすねえー。待ちかねましたでェ〜」すでにアクリジョンのベースカラーのサフを身にまとい、実験台になる気満々。ややフテブテしい表情にも見える。

ここで水性塗料界の情熱のマタドール、ファレホを投入する。メカカラーのメタリックが評判良いとのことでわ〜ざわざ某ボークスまでえっちらほっちら買いに出かけた。スペインまで行くのに比べりゃ何ほどの事もあるまい、アリガタく思え…ってか?…まったく嬉しくって涙が出らあ…

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”メカカラー”というのはガンプラ用らしい。パッケージの絵がなんだかアレだが…メタリック系は少しだけお高くてお値段380円…ウヘェ〜。何ってったって舶来だよ、おっかさん。

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しかし 塗ると驚くのは隠蔽力、塗料のノビの良さ。ムラにならない平滑さは素晴らしく、澄みきったアンダルシアの青い空。いや大したもんだよカエルのションベン。

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部分的に黒を混ぜて変化をつけてみた。すぐに塗り重ねても泣かない塗膜の強さはピレネー山脈。見上げたもんだよ屋根屋のふんどし。

この後アクリジョンと新水性ホビーカラーのシルバーなども試すつもりだったが、ファレホでこれだけ塗れればもう結構だ。けっこう毛だらけ猫灰だらけ、おケツの周りはファレホだらけ、ときたもんだ。

 

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半年振りのモンスター

Stay Homeと長梅雨と猛暑でこの半年は自分の中でバイクの存在が消えかけている。最近中免を取得した甥っ子にメッシュジャケットと夏用ブーツを譲ろうかなどと思うほどに。(愛車はカブ90で趣味が違うから有難迷惑だろう)

そうこうしているうちに目も頭も眩むような熱波も少し和らぎ、すがすがしい天気となってきた。そこへもってきて昼からの予定がすぽりと空く。よし、モンスターに乗ろう!と半年振りにバイク上の人となったのである。

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ところがラジオは「この後は不安定な天候で雨にご注意」などと不穏なことを口走る。おいおいおい。ただでさえ久しぶりで色々覚束ない上に雨が降ってはたまらない。滑るコケる怪我をする、いやマア、ちょっと町内を一周してくるだけならどうって事はないだろう、そうかなあ、そうだよ大丈夫だよ。

なぞと臆病と呑気を一人二役で演じながらモンスターの埃を払って、タイヤの空気圧を上げる。前2.3 後ろ2.7。シュカズドンとセル一発でエンジンが目覚める。古いバイクだがインジェクションの恩恵だ。先代のモンスターだと夏でもヘヤドライヤーでキャブを温めないと始動しなかった。今ならその時点で諦めてるだろう。


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走り出せばやはりドカ。ドカドカドカーッツとすっ飛んでいって何度か加速にのけぞってしまった。10年乗ってこれだ。散歩を待ちきれなかった大型犬に引っ張られる飼い主、といった有様でみっともない。そこら辺を一周の積りが気付いたら男山を眺めている。これもまあいつものことだ。スマホの雨レーダーを確認すると迫っていた雨雲は姿を消している。それみろ雲散霧消だ。ついでに臆病風も吹き飛ばしてしまおう。ようしズドンと走り出す。

後はいつもの能天気、このルートのゴール地点はいつものカフェで決まり…だったのだが経営者が変わってしまっている。オーナーの奥さんがわざわざ自分の席までやって来てくれて「長い間ありがとうございました、実は…」と切り出された時には胸が詰まった。同時に個体として認識されてたんだと気付いて嬉しくもあり、それがかえって切なくも感じたのだが、あれはずいぶん昔に思えるが昨年のことだった。

旧友のKが愛したコーヒーの味はどうなったんだろう、と店の前にバイクを止めたものの、やっぱり気が向かない。今の店は同じ名で同じ店構えだがあの素敵な奥さんはもういないと知っている。Kもあの人のファンだったに違いない。

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これは5年前の画像、よく見ると今の外装は少し違っている。

 

それよりもっと走ろう。このカフェの前の道はどこに行くのだろうといつも思っていた。いやどこに行くかは地図を見ればわかるが、どんな道かは走ってみなければわからない。いや今時はどんな道かもGoogle先生のお陰でツブサに分かってしまうのだったね。でも、眼前に広がる景色や空気や匂いまではわからない。それこそがバイクには大事なことなのだよ。またズドンとエンジンをかけ目的地も定めずフラリと走り出した。

フラリと出かける、などとそれは単にカッコつけてるだけで、現実にはそんなことあり得ない」なんて言う人もいるようだ。何を妬んでいるのか普段電車で移動する人は気付かないかもしれない。誰だってフラリと出かけることは出来るんです。バイクはそういう気になりやすいだけ。

車だと駐車場やUターンの事を考えてしまう。自転車はもっと気楽、なはずだが帰り道の体力が気になって意外と豪胆は出来ない。あてなき散歩も良いけれどあんまりキョロキョロしててはただの不審者だ。

その点バイクは幅の広さが魅力だ。市内をウロつくもよし、高速に乗れば100km先は昼飯前だ。その辺を一周のつもりが行く野の道もあっちゅう間、気づいてみれば天橋立、なんて事もよくあった。

カフェの前の道は走ってみるとなかなか気持ちのいい快走roadだった。ワインディングこそないが、目や腰が悪い今の自分にはちょうどいい程度のカーブとアップダウンがある。道幅も広く景色も開けている。方角がわからない程度に自分の住まいから離れた土地、というのもワクワクしていい。

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で、行き着いた先はお馴染みのこの川だった。(まあ途中で大体のところは推測できていたけれど)

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駅にはネイルカフェ、今風だ。

カヌーを楽しんでた独身時代にはよく来た場所だ。古い温泉旅館はとうの昔に廃業していたが風情のあった建物は残っている。会社の連中とカヌースクールの後に日帰り入浴したものだ。主催は販売促進課で美人揃いだった。そう言えば年代物の脱衣場の仕切りの引き戸は立て付けが悪く、いつも隙間があいていたナ…言わんとすることはわかるだろう男性諸君!…などと懐かしんでいたら路駐のスポーツカーの傍で腹の出たメガネのオッサンがしきりにこちらを見ている。

今にも「俺も若い頃はバイクに乗ってたんだよねー」と言いそうだ。「NSRってバイクでさー、ロッコーでガンマとバトルしてえー」なぞと続くのか。近付いてこないのはメットとサングラス姿の当方の年齢を判じかねているからに相違ない。自慢話をしたがる連中というのは歳上には決して話しかけてこないものだ。ただの腰抜けなのだ…と決めつけるのも良くないか。ひょっとすると騒々しい単車だな、と疎んでいただけかもしれないな。いずれにせよ用はない、これまたズドンで走り出す。


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少しクタびれたから一服しよう。この近くにライダースカフェがある。何度か訪れた店だが、ここ数年はハーレー軍団が駐車場を埋めている事が多く、敬遠していた。今日はバイクも車も一台も見当たらない。よし入ってみよう。あれ、こんなだったかいな?と思うと奥から出てきたマスターは別人だった。二年ほど前に移転してきたそうでバイクや車が好きな店主というスタイルは受け継がれている。

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ただし、へんぽんと翻っていた星条旗は今はない。特定の方向性には限定していないらしい雰囲気は好ましい。開け放たれたドアや窓からはまことに良い風がふんだんに入ってくる。都会のコロナ対策とは違うのだ。その後駐車場にシトロエンが入ってきてびっくりした。「俺も昔はBXに乗っててさ〜ハイドロは3台乗り継いだんだよねー」なんてクダ巻くところをまあ思い止まった。頃合いを見て店を出る。後は来た道を帰るだけ。

 

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なんとC6!これは自分にとって理想の絵面かもしれない。(シトロエンとドカ、整備士にとっては地獄絵図か…)

 

思いがけなく半日ソロツーとなってしまったが、やはり乗ればこれほど楽しいものは無い!と思うのがバイクである。肩や腰は痛むが無理さえしなけりゃまだまだ楽しめる。

そんな晴れ晴れしい気分で家に帰った。
部屋で着替えているとBGMのピアノトリオが耳障りでしょうがない。どうも音がスカスカだ。さては中華デジタルアンプがついにイカレたか?と思って音楽を止めてみてはじめて自分の激しい耳鳴りに気づいた。

これはいかん早く寝ようとシャワーを浴びて洗面所の鏡を見たら目の下のクマがものすごいことになっている。やはり相当疲労しているのだ。まじまじ鏡を見ると「初老」という単語が頭を駆け巡ってしまう。やれやれ。

浦島太郎がおじいさんになったのは竜宮城で夜ごと乙姫様に精魂吸い付くされたから、という大人向けのお伽話を思い出した。恐るべきはモンスター姫、ということか・・・

 

実験体 P47号”D”

世界制覇をたくらむ悪の秘密結社「工房s.i.g」のシリガミ博士による水性塗料地下実験は失敗に終わった。しかしそこで生贄となった被験体「P47号D 」ことリパブリック・フォン・サンダーボルト、通称”サンボルのおっちゃん”のその後が今回の話である。

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「あ〜こらアカン、さっすがのワシもも〜お仕舞いや…まぁエエわい。思い残すこともあれへんワ…せやけどブログ主さんこれから試し塗りどないしやはんねやろ・・・」

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「ブーン、ただいま到着〜ぅ。兄貴ぃ!その心配はありませんでぇ!」

「だっ誰や?なんやお前、ワシそっくりやんけ!」

「ど〜も〜、私、”サンボルのおっちゃん2号”ですゥ」

「に、2号?どゆこっちゃ?!」

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「実っつは〜我々サンボルの在庫て最初から3コあったんですワ!ほら見て見て」

「うーわ、何やこれ。ドイツ陸軍が見たらチビってまう絵ヅラやナ。しかし何でまた3つも」

「さ〜なんか良からぬジオラマでも考えとったんちゃいますか〜?ブログ主のこっちゃから」

「そういやなんやハセガワのGMCタンクローリーも持っとったような・・・」

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「まっ、というわけで3号もスタンバってますんで、安心して成仏しはったらエエですわ」

「さよか、ほんだら心残りもあれへんわ。ホナなぁ〜後は頼んだでェ〜」

 …ナマンダブナマンダブ…ふ〜逝ったか…

 

「あ、せやせや忘れとった!」

「ワーびっくりした!まだ生きとったんか⁈」

「最後にこれだけ言うとこ思てナ…お前、キャノビーだけは付けて貰ろとけよ」

「ほ?キャノピー?」

「いやキャノピーだけやない、開口部は全部塞いで貰ろーとき言うてんねン」

「確かにボクら特にアウトレット多いですわな、排気タービンとかの」

「塗装の実験台っちゅんはな、何べんもシンナー風呂に入れられんねン」

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「確かに」

「ほんで穴ちゅう穴からシュみこんだシンナーがプラぁ内っかわから侵すねン…しまいめにゃ指でつまんだだけでパキゆうて羽根折れよんねン…」

「むう…それは悲惨…わかりました、ブログ主によ〜よ〜言うときます」

「おう、実験体てなあツライもんや。いろんな格好させられるしな」

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ボンジョールノ〜

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うーみーゆーかばー

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In the NAVY〜

「まさにサンダーボルト七変化ですやん…」

「そのくせ完成する日を夢に見ることは許されへんねや(涙)」

 「うう…お察ししますぅ」

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「…せやけどワシ幸せモンや思てんねん。考えてみ、ワシほどブログ主はんにいろんな色塗ってもろたキットはあれへんでェ」

「ホンマすねえ、仲間ゆうたら20年くらい箱も開けられへんかったり、胴体切り刻まれたりして押入れで泣いてる奴ばっかスもぉん」

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「せやけどブログ主さんは何べんも何べんもワシを筆で可愛がってくれはってん。そんなんプラモデル冥利に尽きるっちゅーこっちャで。ええ?ちゃうかおい?」

 「そらそうです、そらそうですて」

「な、人生悪いことばっかやあらへん、オマエもせいざい励むんやで」

「…あ、ありがとうございますゥ」

「ん…ん…ホナわし、ひと足先にいくわ、さいなら2号〜」

「お勤め、ご苦労様でした〜あ!」

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 まーという次第で次回から私が「サンボルのおっちゃん2号」として塗装の練習台を勤めさせてもらいますゥ。どちらさんも、よろしうおたのもうします。

 

 

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紫電-6「下面の謎」アオシマ1/72製作記

それにしても暑すぎる今日この頃、バイクはおろか自転車すら生命の危険を感じ(オオゲサ)、模型製作もブログ更新も滞りがちなブログ主である。

夏休みだというのにどこにもGo toせず、唯一出かけた本屋で目に飛び込んで来たのは「強風・紫電紫電改」というカワニシ三段活用。なんというグッドタイミングの「世界の傑作機

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そういえば数号前のスケールアビエーションでも紫電改が巻頭特集だった。

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これはタミヤから1/32の強風でも発売されたのか?それともどこかのイケメンの知事が「某ウイルスには「薬用・紫電改」が効能あるんです!」と言ったのか?あるいは世間がようやくsig工房を認知し、紫電製作を全面的に支援してくれるようになったのか?こりゃ追い風か?といぶかっていたが当然どれもハズレであった。

どうも昨年兵庫県紫電改記念館が出来、実物大レプリカが作成されたとか…

www.city.kasai.hyogo.jp

記念館落成に伴ってだろうか、それに関する画像、特に姫路工場内での組み立て中の紫電など結構な秘蔵写真が他にも掲載されていた。これについてはまたひとくさり、やや個人的な「お話」があるのだが、それはまた別の機会にしたいと思う。

それとは別に今回の世傑の目玉はフィリピンで鹵獲された紫電のカラー写真二枚だろう。これはやはり今まさに紫電に色を塗ろうとしているモデラーにとっては”袋とじ級”のお宝写真に他ならぬ。「ぬおおお」と食い入るように見入ってしまわざるを得ない。

その上面色は言われているほど青黒くもないように見受けられた。しかしマア70年も前のカラー写真である。一機は廃棄されてから月日がたっているのか日の丸も色あせている。これを見て紫電の色調や色味を口角泡飛ばしてウンヌンしても仕方ない。モデラー各自がただそれを己の脳裏にしっかり焼き付け、自らの完成品に反映すればそれでよいと思う。

自らは何も作りもしないくせに、このセッケツただ一冊を読んだのみで、あちこちの展示会で川西特色で塗った紫電の完成品を「これはウソ、間違い!」などと指弾して回るようなことは無粋の極みだろう。

問題は下面。

紫電改はともかく紫電の下面は明灰白色だろう、と漫然と考えていた。ところがこのカラー写真を眺めているうちにその気持ちが揺らいでくる。同じフィリピンで米軍に鹵獲された紫電の写真を思い出した。米兵が胴体に落書きしたアレである。

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落書きでなくて「近寄るな」的注意書きで現地の民間人向けのものらしく、タガログ語もあるようだ。それはともかく翼下面の反射の具合とか…

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このリベットの様子…う〜む、やはり無塗装銀の様な…。エルロン部のみ塗装されているのかも。別の写真では増槽は明らかに塗装っぽい艶が見えるが…これは増槽が紙製や木製だったりするからだろう。

紫電改の方なら終戦直前の生産である。その頃であれば塗料不足から下面は無塗装銀という説は五式戦などもしかりで説得力がある。しかし紫電がフィリピンに展開したのは19年末、生産となるとそれより以前だろう。日本は(無論、国民生活では何かと欠乏し始めていたとは思うが)第一線の戦闘機の迷彩塗料に事欠くほどの状況だったのだろうか…

だとすれば同時期の雷電あたりもみな下面は銀、になるはずだが…やはり中島、三菱といった一流メーカーには塗料が優先的に回され、そうではない川西は割当てが少なかったのか…

…などとアレコレ推測しながら作るのが「大戦機モデラー」である。アレコレ考えを巡らすのが面白いのだ。面白い、などといっては必死の思いをしていた当時の人たちに失礼だが、面白い=興味深い、という意味である。

ライトなモデラーにとってはこの辺が「堅苦しい」「メンドクサイ」「オタクっぽい」と感じられるのだろう。ミリタリー模型が遠ざけられる結果となっている。

ライトな人はライトに作れば良いのだし、突き詰めたければ好きにすれば良い。自分などは散々悩んだあげく結局適当に作る事が多い。他人がどのように作るかに対してとやかく言わないのが社会人としての常識だと思う。無論、一般常識が通用しないから「オタク」などと蔑まれたりするのだ。

これからは「オタク」の時代だ、などと言われもするが、マイナーな分野の知識が豊富な人も活用していこう、という意味ならともかく、自らの知識をひけらかすだけで、他人の気持ちを一切推し量ることができない連中を世にはびこらせよう、という意味であってほしくないと願うばかり。

 

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