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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「零戦筆塗り隊」その九  ”荒ぶる魂"

前回気になった日の丸問題だが、 あまり一箇所ばかり凝視すると全体像が見えなくなってもいけない。ここは少し目先を変えよう。(我々はそれを"現実逃避"と呼ぶ)

カウリング

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カウリング色を調色。青に黒を加えていって青みが残るか残らないかというところで止める。意外と青みが強くて中隊全機のカウリングを塗れるくらいの量が出来てしまった。愛用の100均で買った3個入りの密閉容器パレットに保存する。といっても製作中のタッチアップに備える為で完成すれば中身だけ捨ててしまう。臭くなったりカビが生えたりすると嫌なので長期保存はしない。まあつぎに零戦を作る頃には「アレは間違い、カウリングは本当は烏濡羽色」などと誰かが言い出していることだろう。

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シャブシャブの平筆1回目。薄すぎたかな。

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平筆2回目。ここで一晩おく、なんてやってられない。このまま次の工程へ。

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細筆でタテタテヨコヨコ。

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水墨画みたいでもあり、、、黙々とタテタテヨコヨコ。

このあたりからタテタテヨコヨコはどうもやりにくい、と感じてきた。

「プラモデル筆塗り講座」的なものにはかならず「タテタテヨコヨコで塗り重ねましょう」と書いてあるのだが・・・

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全体を平筆塗りした後、水メン棒でこする。時間差の乾燥工程を省いたので慎重にしないとズルりと剥けてしまう。ま、剥けたらマジックリンで落としてイチからやり直しせば良い。絵の具は腐るほどあるし胴体と別パーツなのでやり直しは簡単簡単、と口で言うのは簡単だけどね。

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おう、なんだか凄みが出てきたぜ。

エンジンの熱の影響もあるのか実機で褪色が最も激しかったのはカウリングだった、と当時の関係者の談にある。なのでバランスを考えて、全体にもう一度濃緑色の極薄ガッシュを掛けて褪色を落ち着かせる。 

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零戦だッ!」しばし感慨に浸る。

アクリル絵の具の恩恵 

すこし余談になるが、ニオイから解放された模型作りがこれほど快適とは思わなかった。ノースメル、ノーストレス。エアコンかけてコーヒー飲みながらフンフンフーンと鼻歌交じりで塗っている。これがラッカー&エアブラシだと窓全開で冬は防寒ジャンパー、夏は上半身裸のパンツ一丁姿。防毒マスクをしてそれでも頭クラックラになりながら鬼の形相で15時間。まるで1万メートル上空の与圧キャビン装備のB-29とそれを迎撃する日本機の搭乗員ほどの環境差である。

 

この際なので青竹色も自作する。(全部アクリルでやりたかったのでラッカーで塗っていた青竹色をわざわざ落とした)

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ガッシュのシルバーを塗った上に実機通りこいつを薄く塗り重ねる。 調色に3色くらいしか使わないのは色の方向性を見失って自分が混乱しないように。

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ガッシュガッシュと機関車のように押しているが、そうイイコトばかりでもない。

ガッシュのシルバーは濃度のスイートスポットが狭い感じで塗りにくい。奥まったところに平滑に塗るのに難儀してなんだかメロメロ。。。ここツッコまれるんだろうなあ。。。素直にシルバーを混ぜて青竹色を作れば良かったか。

ただし濃度さえうまくこなせれば1/72の日本機の下面くらいならガッシュで銀塗装も結構いけそうな手応えはある。一度トライしてみたい。失敗は成功の母、となれるかどうか。待っちょれ「金属色はラッカー塗料一択」神話に風穴開けちゃるけえ。…え?そんな神話とうに消滅してる?

ウェザリング

さて、ウェザリング。筆塗りの段階で既に実感、質感を念頭にしているので特段汚す必要は感じない。ただし地味好みの自分は緑と赤の彩度を殺したくなる。出す所に出すなら色調は華やかな方が目立ってよいのだが、どうしてもコロしたい。コロしたいという自分を抑えることができないッ、、、危ない奴だな。

いつものベネチアンレッドをお見舞いするか、いや弱虫ガッシュに油彩などでウォッシングすればシュコロイチコロで溶けてしまう。なので同じガッシュセピアをグラデーションメディウムで極々薄く溶いたもので代用してみた。

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明度が落ちてちょっと白茶けた。再考の余地あり。だがかえって殺気だった気配を漂わせる雰囲気となった。

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自分はミリタリーものは普段からあまりピカピカには仕上げられない。完成品を「カッコイイ」とか「カワイイ」とか言わるよりも、むしろ「ゾクッとする」くらい言ってもらった方が嬉しい、とは大袈裟だが。いくら美辞麗句を並べてみたところで戦闘機はしょせん戦争の為の兵器、つきつめれば暴力装置の一端なのだ。あるいは自販機泥棒の"バールのようなもの"とでも言おうか。。。

ロクデナシ

 ...劣等生で十分だ、はみ出しもので構わない...         by Blue Hearts

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画像ではわかりにくいが塗装面が荒れている

いつものエアブラシによる塗装は緻密で均質な工場生産品のイメージだが、今回はそれとは180度違う。大雑把で不揃いでむしろ手作り感にあふれる手工芸品のようだ。これはこれで自分は好むし「南方の零戦52型」という文脈を読み取れる飛行機モデラーなら分かってくれる。

だが俯瞰して「精密スケールモデル的な視点から見れば、、、及第点はもらえんかもしれん。。。やれやれ、またハミ出してしまうなあ…

 

 

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