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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「零戦筆塗り隊」その七 ”風雨と灼熱の南方焼け"

 零戦筆塗りの二回目である。

筆目を入れる

この日は細筆に持ち替え、あえてムラを加えていく。筆塗りを選択した時点で精密でキレイで平滑な模型作りは目指していない。迫力、実感、雰囲気重視なのはもとからだが、そこに凄み、深み、味わい、といったものを付け加えたいと思う。せっかく筆塗りするのだからエアブラシ  では出来ない表現にトライする方が面白いのではないだろうか。

 

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絵の具の濃度は筆目が残る様にその都度その都度調整している。というか決め手がいまいちよくわかっていない。筆塗りは塗料の濃度筆さばきのコントロールが肝要なのだろう、ということだけはわかる。なんにせよ集中力が必要だ。

といってもエアブラシの様に塗装の日は朝から晩までかかっての天下分け目の一大決戦!みたいなことにはならないから楽だ。一日1時間づつでもマア構わない。疲れたら筆をチャプチャプっと水で洗ってパレットに蓋をすればハイおしまい、である。30分で腰のカラータイマーが点滅するギックリマンの自分にはうってつけかもしれない。

 

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タテタテ。

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半乾きを見計らってヨコヨコ、で塗りつぶす。この状態でドライヤーをあてる。

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これを続けていく。そこはかとなく筆目を残しつつ、なので場所によってはムラも出来るが、そこはそれ「味」なのである。

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むう、点々が残ってしまった。(胴体日の丸の上)。。。

ドライヤーでの強制乾燥を焦ると塗料溜まりが出来、この様に濃い染みになる。薄いガッシュを重ねていくのでこの痕跡は残ってしまう。むろん実際の機体にこんな模様は生まれない。だからこれは「味」ではなく「不自然な手跡」だ。何でもかんでも「味」と言えば免罪符になると思ったら大間違いでござる。。。うぬ、どうしてくれよう。

 

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ここは日本男児、潔くやり直します。水で溶いたマジックリンをつけた綿棒でしごいて落とす。タミヤアクリルの下地はまだ落ち切らず残っている。やはりガッシュに比べ塗膜が強いようだ。

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再度、薄溶きタミヤアクリルで下地を整え直す。 

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うまいこといきますやろか。

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なんとかリカバーできたか。。。

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作業途中。向かって左の主翼はムラムラ。右側、特に平筆で薄塗りを重ねた翼端は平滑に仕上がっている。この方がムラが消えて行ってキレイに仕上がるのだろう。今回は南方の零戦52型特有のヤレ感と褪色感を出したいのであえてムラと筆目を入れる。ムッシュムラムラでございます。

 

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筆目を残すのが目的だから斜めラインは入れない。この時点ではなんだか汚くて不安にかられるが、この段階で止めてまた一晩おく。気になって寝られず夜中に何度も、というほどではない。

全体カバー塗り

さて翌日。

平筆に持ち直し、さらに水で薄めたガッシュをより全体的な濃緑色の発色を求めて数回重ねる。パネルごとでなくやや大きなブロックごとに(例えば主翼なら内翼、外翼など)塗る。塗る、というか色付き水で撫でる感じ。今回は塗膜の均一さを狙うためグラデーションメディウムを加えたのでドライヤーでの強制乾燥は控え目。

 

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褪色が激しそうな部分とそうでもない部分で多少の差はつけるが自分は影の強調まではしない。

AFVやフィギュアでよく見るシェーディングは飛行機模型には合わない気がする。あの技法に従えば下面は真っ黒けにしないといけないが、大方の軍用機は上面に比べ下面色の方が明るい。(ランカスターなど一部例外を除く)工場で製造されてからP-47にペシャンコにされるまで一生下面を人目にさらすことなどない慎ましやかなタイガー戦車などとは違って、飛行機はバンクもすれば宙返りもする、パンツ下面丸見えなのだ。

全体の調子は良くなってきた。せっかくチマチマとつけた筆目やムラを覆い隠してしまうようだが、筆目はこの後、掘り起こす算段だ。

 

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何度も極薄ガッシュを重ねたので自然なグラデーションが付き、筋彫りやパネルにも立体感が出ている。リベットの存在感もクド過ぎずにいい塩梅。ただまあ全面リベットにフラットブラックで墨入れ、バフでドライブラシ、ってな方が模型としてはメリハリがあって目立つだろう。しやかてウチはこういう薄口なほうが好みなんどす、という人向けの「極薄ガッシュ重ね」。

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機銃のアクセスパネルや点検孔などは塗り残して調子をつけてみた。補助翼は羽布張りなので褪色しないだろうから逆に塗り重ねておく。全体色はこの辺でいいだろう、と見極め。

ただ日の丸の周りの筆さばき具合がよろしくない。ここはサンボルのオッチャンで試した様に全塗装してから日の丸部分をマジックリンで抜いた方が良かったかも、、、とこの辺で気づくがもう遅い。。。次は日の丸や味方識別帯、赤ラインなどなど。果たしてうまく塗れるだろうか。

 

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