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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「魔女の体に星の印を」F6F-ヘルキャット-5 ハセガワ1/72

全体塗装が終われば今回のハイライトが待っている。

 

褪色表現

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綿棒はたっぷり水を染み込ませる。

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パネルの継ぎ目などは先を切ったツマヨウジでキシキシとこすってやる。

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当時の動画を見ると着艦直後、まだエンジンが回っている内に主翼を折り畳んでしまい、甲板の端の方に寄せて係留している。おそらくその状態のまま駐機され、照りつける陽光と潮風に晒され褪色していくのだろう。時に波濤をかぶることだってあるかもしれない。そういった状況に思いを馳せ、イメージしながら作業する。これもWWII大戦機模型の醍醐味だ。

褪色させては極薄ガッシュを流して落ち着かせる。これを幾度か繰りかえす。

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コルセアと違ってヘルキャットの登場時期は米軍は既に攻勢に回っており、日本軍を圧倒していた頃だ。なのでおなじ褪色でも”一敗地にまみれた疲弊感”ではなく”連戦に明け暮れるベテランの凄み”みたいなものを心がけた。

ステンシル

前回のコルセアでは国籍マークは筆塗りとデカールのハイブリッド技法とした。
今回は満を持して

「ようしこうなったら全部手描きでやってやらあ!」

随分と威勢がいいが、零戦やコルセアに比べるとヘルキャット胴体はフラット。加えて機番も直線的なステンシル字体。部隊マークはこの時期の米海軍に特有の単純な幾何学模様、などなど手描きし易い条件が揃っていると計算高く見越してのこと。弱い相手にしか喧嘩をふっかけないヤンキーみたいなもんである。

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 デカールをコピーしたものに透明のテープを貼って強化し、切り抜いてステンシルにする。世傑の写真から空母ホーネットのVF-2の26番機、トライカラーでそこそこ褪色もあって部隊マークは白の円、個人マーキングなし、という御誂え向きの機体だ。

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位置決めして両面テープで貼って鉛筆で下書き

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ケガキ

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だ、大丈夫か?…

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な、なんとかならあ…

胴体

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思ったより星のマークがデカイ。胴体下部はかなり曲率が大きくなっている。結局、コンパスやサークルプレートは使えなかっただろう。

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なんとかケガキ針で写し取る。

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主翼上面はやり方を変えてみる。

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ケガキ針で中心や要所をマークし…

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それをガイドに鉛筆で下書き…

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その後ケガく。間違ったりしてあちこち傷だらけ。やれやれ。この作業はやはり下地の段階あるいはパーツの段階でやっておいた方が楽そうだ。精度の高いタミヤ零戦などであればパーツ段階で塗装、国籍マークまで手描きしてから組立てる、というやり方も不可能ではないかもしれない。

主翼下面マーキング

星を塗っていく。

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使うのは画材屋で買った面相筆。高いものではないが扱い易い。

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汚ったなッ…と先行きが不安になるが、構わずフリーハンドで塗っていく。

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概ね出来上がり。星の右下がヒョロっている…

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何度もタッチアップして直線を出していく。

胴体のマーキング

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この時点で既にケガイた星がえらく歪んで見える。修正していく。

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少しづつフリーハンドで修正しつつ…

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星の歪みを取っていく。

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筆の動かしやすい方向に機体を回転させて塗っていく。歪みが見えてくる。あるいは歪みが消える。

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そうか、歪んでいるのと、歪んで見えるのは別のことなのだ…直線と直線に見えることも別のことなのだ。

主翼上面マーキング

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塗料の濃度の加減や筆の動かし方など、だんだんと慣れてくるもので…

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ムラムラだが気にしない。そんな風に度胸もすわってくるもので…

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平滑さ、精密さを求めるならマスキング+エアブラシが一番いいのは分かりきっている。

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拡大すればヨレヨレだけど…

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ちょいと離れればピシッと見えてくる。むしろ他の筆塗り部分とバランスが取れていてこのくらいの"粗さ"があって良いとさえ思えてくる。

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こちらは前作コルセアの国籍マーク。白い部分は筆塗りでインシグニアブルーはデカールを切り抜いたもの。うん、並べても遜色はまあない。

 

 

 

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「魔性の猫娘に青いドレスを」F6Fヘルキャット-4 ハセガワ1/72

さてヘル猫の塗装である。
米海軍のトライカラーは前作のコルセアと同じだ。塗装手順も前回通りだから簡単ヘープー、と思っていたが……

Take-1

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 極薄ガッシュをパネルラインごとに塗っていく。

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ここまでは、問題なし。 

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新しい試みとしてインテーミディエイトブルーの塗り分けラインを塗り残してみた。何となく筆の感触に違和感が…

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ありゃりゃ、塗り重ねるうちになんだかテカテカになってきたぞう?!使った塗料はコルセアで調色したガッシュ絵具を瓶で保管しておいたもの。ただし少し水分が飛んでいたのでペインティングメディウムを追加した。その量がちっとばかり多すぎたのかもしれない。

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やりなおーし!マジックリン風呂で猫泡だらけ。

Take-2

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下地タミヤアクリルからリスタート。

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同じ塗料に水を加えて濃度を下げてみた。

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この辺からすでに悪戦苦闘。なんだか色が乗らない。

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テカりは相変わらず。 発色がいまいちなため、塗り重ねてボッテリになってしまう。

顔料が足りない感じ…

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やりなおーし!再度マジックリン風呂でネコ泡だらけ。

Take-3

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新しい水性ホビーカラーを入手したので使ってみたくなり下地に。

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インターミディエイトブルーを先塗りしてみたらどうなるだろうと思いつき…

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シーブルーを重ねる。今度は絵具を多目に入れてみたら……

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…彩度が上がってしまって…暗雲がたれ込める。

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外翼部分のみやり直してみるも……

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う、うまくいかん……色を重ねると下の絵の具が泣く(溶け出す)ぬう今度はペインティングメディウムが足りないのか。

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やりなおーし!三度び泡風呂ニャ!?

このドラ猫野郎めはなかなか一筋縄ではいかん。仏の顔も三度まで、「次失敗してみぃワレ大阪湾に沈めてもたンど」と怒ったところで仕方ない。単に自分がヘボピーなだけだ。

冷静になって原因を探る。

下地のせいか、それとも塗料か塗り方か?次々新しいことにトライするので失敗の原因が切り分けれない。悪いパターンだ。迷走している。

Take-4

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少し嫌気が差したのでハンプ嬢ちゃんに手を出すなどして気分転換をはかる。現実逃避、とも言うね。…いいんだよ何でも…

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気を取り直して再びヘルキャット姐さんに。前の塗料は捨ててもう一度イチから作りなおすガッシュで調色し、適度な塗膜になるようにペインティングメディウムを控えめに加え、塗る段になってから水で薄める。新たな事にはトライせず、うまくいった時のやり方を踏襲する。時には謙虚に愚直なまでに堅実なやり方に立ち返ることも必要だ。

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インターミディエイトブルーの部分は二回位でやめておく。

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全体のバランスを考えて少しづつ極薄ガッシュを重ね、薄く薄くを繰り返す。

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コルセア同様、面相筆のムラは加えない。

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インターミディエイトブルーを重ねる。境界部分が難しいのは同じ。

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今回は主翼や機首周りなどのグラデーションにうまく深みが出てくれた。前3回の失敗では色を重ねすぎ平板になってしまっていた事がよくわかる。

ガッシュは結構デリケートなのだな。まあ、基本的に不透明画材のガッシュを水で薄めて下地を透過させているのだからどうしたって無理がある。(んじゃ今度はリキテックス使ってみようか、とまた要らぬチャレンジ精神が出てくる)

零戦とコルセアがうまくいったのは、ガッシュの濃度が丁度いい感じだったという多分にラッキーな面もあった、ということだ。今回はダメなパターンがわかったのでこれはこれで良い経験だ。…豊満な年増女で経験を積む…というのもいやはや何とも…
 
 

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「化け猫の皮に下ごしらえを」F6Fヘルキャット-3 ハセガワ1/72

赤ーコーナー、2350パウンドー46リッター、18気筒2000馬力〜、プラット&ホイットニー、ダブルワースプ!!!

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……と威勢良く紹介されたわりには素っ気ないエンジン。後列が半分埋まっているのは、どうせ見えなくなるからまあいいとして、目立つ減速機周りが丸坊主なのはちょっと寂しい。

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こちらがタミヤ72のコルセアのダブルワスプ。同エンジンのヨシミで並べたいわけだから…

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それらしくデッチあげ、、、

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それらしく塗る……と、それらしく見える……カナ?

次に風防をマスキングして取り付ける。

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そのままではチト合わない。この時代のキットならまあこんなもんです。
接合部をスリ合わせて…

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…パテがわりのブラックジェッソ+モデリング・ペーストを「ニャロメ!」とばかりに隙間に詰め込む。ジェッソだけだと脆いのでモデリング・ペーストを加えている。これでなんとかペーパーがけが可能となるが、ジェッソの粒状感はやや残る。マ、筆塗りだと分からなくなるからこれでいいのだ。

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視界向上のため上に持ち上げられた操縦席、機軸より垂れ下がったカウリング、途中で上反角が増す主翼、意外に尖った背中、などなど。ヘルキャットの特徴がよく出ていると思う。細かいことを言い出せば欠点はあるのだろうが、贅沢は申しませぬ。

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大昔に作ったマッチボックスのキットなどに比べると断然素晴らしい。思えばあれが我プラモ人生における輸入キット初体験だった。でっぷり太った性悪女で筆下ろし、とは何ともはや。

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全体的なハメ合わせは悪くないが、下面の主翼と胴体の接合部は多少の修正は必要。まあ騒ぐほどのことでもない。

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 先代のF4Fワイルドキャットが中翼で主脚のレイアウトに難があった為、このヘルキャットでは低翼化した、というのが通説だが、このアングルから見ればほとんど中翼に見える。主翼のフィレットがないかわりに脚柱が若干長くなっている。

 

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キャノピー周りを埋めて、、、

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タミヤアクリルにて下塗り。ここまでは何事もなく順調。

さて塗装マーキングの選択。

ヘルキャットはピカピカのグロスシーブルー1色というのがふてぶてしくて宿敵グラマンのイメージに合うのだがグロスは"極薄ガッシュ"と技法的に相性が悪い。そもそも増槽から脚柱に至るまで青一色というのは愛想もクソもない。なんでまたこんな塗装が採用されたのだろう。

へい、ビリー三色迷彩なんて面倒くさいこともうやめにしないか?

オーライ、ジョー。日本機なんてもう飛んでないからな。全面青一色にしちまおう。

おいおいビリー、脚柱まで青に塗るのかい?

ああ、将来ヘルキャットのプラモデル作る奴がいたら、楽できるだろうさ。

 

ありがたくって涙がでらあ。自分はしかし天邪鬼なのでトライカラーの機体を選択した。すまんビリー。

ところがこのあと性悪猫女の本領が遺憾なく発揮され、地獄を見ることになろうとはブログ主はまだ知らない…

 

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「悪女の情けに深スジボリを」F6Fヘルキャット-2 ハセガワ1/72

ヘルキャット、というのはそういう種類のネコ科の動物がいるわけでなく、直訳すれば"地獄猫"だが、スラングで”性悪女”などの意味もある。スピットファイア同様、こういった悪いイメージのネーミングセンスが欧米人のよくわからないところである。日本で言えば陸軍三式偵察機「般若」だとか海軍夜間戦闘機「夜叉」だとか命名するようなものだろう。ヤンキーじゃあるまいし。あ、本場のヤンキーか。

グラマンは伝統的に艦上戦闘機に猫がらみの名前をつける。F4Fのワイルドキャット(山猫)に始まり、F6F"ヘルキャット"(性悪女)F7F"タイガーキャット"(トラ猫?) F8F"ベアキャット"(熊猫)とcatつながりが続き、ジェットの時代になるとパンサー/クーガー、タイガー、とややありがちなネーミングに陥るもF-14"トムキャット"(雄猫)ではcatが復活。、、、と今更書くのもはずかしいくらい飛行機モデラーの常識だが、同社がCATにこだわるのは社長のルロイ・グラマンが飼ってた子猫の"ディーノ"が病気で亡くなったのを偲んで、、、というのは大嘘。

あばずれ娘の凸モールド

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翼面や胴体前部は凸モールドをペーパーで削り落としスジボリを掘ってメリハリをつけてやる。

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スジボリは"運河"とは言わぬまでも"用水路"程度には太く掘っておく。細いと筆塗りなので埋まってしまう、、、とは繊細なスジボリが出来ぬへたっぴの言い訳である。実のところ、筆をこの筋彫りで止めて溜まった絵具を流し込む、という変な目的もあったりする。

特に翼の折りたたみ部分はPカッター(通称キョロちゃん)を斜めに入れてケズるなどするとモデラーの自己満足に大変効き目がある。「ここでパッタァーン主翼たためますんやー」と見えたら幸い。この折りたたみ方にヒントを得た社長のルロイ・グラマンがクリップとケシゴムで廊下にネズミの絵を描いて和尚さんを驚かした、というのは大嘘。

全身リベットの妖しき毒婦 

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スポット溶接を多用したコルセアと違ってヘルキャットは実機写真でも結構リベットが見える。結構毛だらけネコリベットだらけ。胴体後半は沈頭鋲ではなく、外板もタケノコの皮状になっていて”スティングレイ”に出てくる”ギントト=メカニカルフィッシュ”みたいである。

さすがグラマン鉄工所”と言われただけあって必要最低限の仕上げに留めて生産性を上げる合理的な考え方だ。その点でもコルセアとは対極をなす。 ヒコーキ大好きモデラーとしてはそういう所こそ表現したくなるってぇもんでやしょう。

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リベット はいつもお世話になっておりますお手軽リベット ローラーでコロコロコロー。“いつも”と入力すると続いて“お世話になっております”が変換される悲しき零細自営業。

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え?ちょっといがんでやすかい?これくれえぁ味ってもんでがしょう。まったく陽気のせいだね。

爆裂ボディの性悪女

リベットを打ってるとどこからともなくニンジャファイターが現れる。

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むむ、面妖なるその水太り、何奴じゃ!?

オー、ジャッパニーズニンジャゼロ!リトルリトル蚊トンボネー

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うぬ、与作の赤ベコかと思うたわ。さぞ身が重かろう。

ハッハー、2000馬力アルカラネ、ノープロブレーム。

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というわけで早くも士の字に。

 遣り手婆あのカウリング周り

あっさり出来すぎたのでやや拍子抜け。要らぬディティールアップをしようと思いつくブログ主。小人閑居して不善を為す。排気管に伸ばしランナーをドリルで掘ったものを3本まとめてくっつける。

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なんでそんな面倒なことをするかと言うと丁度良い太さの真鍮管が手持ちに見当たらなかったから。買いに出るのもチト憚られるStay Home. オヤジの趣味の買い物など要でも急でもないのが通例だが、なかでも「ナナニイのヘルキャットの排気管」ほど不要不急なものはちょっとほかに思いつかない。

それにしてもアッサリ味のカウリング。これじゃまるで京都アヤの小路フヤ町の昆布屋「仙波」のオボロ昆布である。

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ゴリゴリと用水路スジボリを施し、、、

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カウルフラップ周りを削り込んでメリハリをつけてやる。

ここガッバー開きまっせぇ〜、というふうに見えたら幸い。

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用水路掘りしてリベット打ってこんな具合。いかにもアメリカはペンシルバニアグラマン鉄工所製のカウリング!という感じ。

 

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カウリングをつけてみるとなかなか迫力の面構え。どうでえこれでこそ”宿敵グラマン!”って気がしてくるじゃあねえか。主翼の12.7mmx6門は切り飛ばして開口。あとで真鍮パイプを埋め込むつもり。

 

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「出現、地獄猫」 F6Fヘルキャット-1 ハセガワ1/72

零戦52型、コルセアときて、さて次に何を作ろうか?

ゼロの32型もいいが、同じ機体ばかりというのもつまらない。コルセアのライバルといえばやっぱりヘルキャットだろう。 コルセアと同じ2000馬力のダブルワスプエンジンを積んだ機体ながら、180度違う合理的な設計コンセプトを比較するのも面白い。 ガッシュで作ったシーブルーもインターミディエイトブルーも余ってることだしな。そうしようそうしよう。

 

ナナニイのF6Fは確かハセガワのが我が押入山のどこかにあったはずだ。

分け入っても分入っても深い我が押入れ、なかなか見つからない。初販は確か70年代ではなかったろうか。とすればご老体である。裏山にキノコ取りに出かけたきり行方知れずになっていてもおかしくないくらいにご老体である。

ようやく発見し、虫の息のキットの中身を確認するといたって無事でホッと胸をなでおろす。押入れに紛れ込んで久しいキットの箱を開くと、胴体や翼がむごたらしく切り刻まれ、変わり果てた姿になっている事がよくある。魔物の棲む"恐怖の押入山"なのだ。 

凸モールド 

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見てごらん全身凸モールドだよ…豪快だねえ…

今ならエデュアルドかどこかの良キットがあるようだが、そんな贅沢していてはいつまでたっても在庫が減らない。なにより無為自然のお気楽ナナニイ筆塗りには「ちょっと古いキット」くらいがお似合いだ。

それに、このヘルキャット、実機は胴体後部は沈頭鋲を使っていない。さらにその部分の外板の縁はタケノコ状に重ねてあり実機写真でも縦ラインはハッキリクッキリわかるほどだ。”グラマン鉄工所”と呼ばれる所以である。

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これを凸モールドをそのまま残すことで表現してやろう、と例によって良からぬことを思いついたブログ主はほくそ笑むのであった。ぬひひ。

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主翼や胴体前部は面倒だが掘り直すとするか。ねへ。

仮組

古いキットではあるがなんとなく基本形は悪くないように思って仮組みしてみるとどこからともなくR-2800の兄貴分がやってくる。

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おーぅ、ヘル公やんけ。
おっとこいつぁサンボルの叔父貴、相変わらずデカイ腹回りで。

かましわ。こん中はのう、排気タービンのパイプ様がびっち〜詰まっとんねや、お前みたい燃タンつんだだけのボテ腹とちゃうで!。

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フッ、そのお陰で航続距離が長げえんでね。大飯食らいのターボでB17に付いてけなくってP-51にいいとこさらわれるなんてヘマぁしねえ。

…なんやとぉ?おまえ1万メートルまで上がってこいや〜、700km/h出したらんかい。

ハッ、Japはそんな高いとこまで飛んでこねえさ、速度も武装もこれで充分。それ以上は無駄、ゼイ肉ってことよ。

…くっそ〜。いちいちムカつくガッキャのこいつ〜…… 

才能が終わると型式が始まる

さて、キャノピー後方はF6F-3にするなら開口してやる必要がある。

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後期型のF6F-5にこの窓はない。つまりこのキットはF6F-5の胴体にF6F-3の主翼というケッタイなことになっている。だから「間違い!これはウソ!」などと糾弾したくなる。ところが実機ではそういう組み合わせも存在したようだ。

そこらへんは実戦配備された昔の軍用機なのだからして実際どんな機体があったか知れたものではないのだ。型式ごとの細かい差異や変遷にこだわるのもいいが、他人のキットをうかつに批判するもんじゃない、ということでもある。

 

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ところでこんな便所の小窓みたいなのが役に立つのかい?スミス
ああ下手くそJAPのドン亀ゼロなんかに後ろを取られることもないしなァ、オーライ、ジョー、こいつは取っちまおう…

などと腹立つ会話がグラマン社で交わされたかどうかは知らない。第二次大戦も後期になるとP-51、P-47、スピットファイアや飛燕に至るまで、胴体を大改造してまで水滴風防にして後方視界を確保するのが潮流となってくるのだが、ヘルキャットはそんな時代に逆行する。確かにふてぶてしいドラ猫である。

素組のススメ

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古いキットなのでコクピットはアッサリ塩味だ。こういうところには凝らないのもいつも通り。シートベルトはテープで自作し鉛筆で金具を書き込む。側面の操作盤などは少し立体化する程度でお茶を濁す。ビール瓶みたいな操縦桿も微笑みつつスルー。

古いキットを作る時には三蔵法師様のような寛容さでありたい。

「これゴクウ、そんなにいきり立つことはない。コクピットなど椅子さえあれば良いのです…」

 

 

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ロールアウト ミュージック

模型が完成したら部屋を片付けてテーブルの上に飾り、祝杯をあげることにしている。燻製をする時にもBGMが必要なくらいな自分だから、かける音楽はその機体にふさわしいものを選ぶ。そうして完成品をためつすがめつ愛でてはグラスを傾ける。これがこの趣味における悦楽の頂点だと思う。


ちなみに昨年の完成品、隼一型二型が揃い踏みした時は、当然"加藤隼戦闘隊"

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Fiat CR42ファルコの時は

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バッハの"イタリア協奏曲"

発想がやや貧困か。


サエッタとフォルゴーレの時はイタリアものに困って、、、

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フィリッパ ジョルダーノの"Casta Diva"

www.youtube.com

ならば今年の零戦は「ラバウル小唄」……

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ではなくてリンダ・ロンシュタット"Love has no pride"

何で何で何で〜?

と各方面から問い質されてしまいそうだが、これは学生の頃、NHK零戦の特集番組かなにかのラストで零戦と隼の空撮(米軍による捕獲機のもの)のバックになぜかこの曲が流れていたのが由来。

www.youtube.com

リンダの哀愁溢れる歌声とラストシーンでバンクして飛び去っていく零戦の姿があまりにも美しくハマってしまって自分は感極まった。

www.youtube.com

この番組を制作した人が何で零戦にこの曲を選んだのかはわからない。

ただ、"But I 'd give anything to see you again. "
「もう一度あなたに会えるなら何だってするわ」

ウロンな自分でもこのくらいは、、、まあ完璧には聴き取れなくとも、、大意は掴めた。

何となくその「想い」=「空を飛ぶ零戦の勇姿を再び見ることが出来るなら…」に自分の気持ちを重ね合わす事ができたのだろう。ひょっとすると復元零戦が初の里帰りした時かもしれない。

以来、零戦といえばこの曲が刷り込まれてしまったのである。米国人歌手の曲なぞライトウイングな皆様方からは非難轟々だろう、逆にリンダのファンは妙な物のBGMに使うなと口を尖らすかもしれない。なんと言われようが自分の脳内だけは誰にも不可侵である。


さてコルセアの完成に何をかけるか、3秒悩んだ自分は星条旗よ永遠なれ”を選んだ。

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ただしジミ、ヘンドリックスのアレ。

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……エキセントリックなところがコルセアらしくていいやね。

祝杯の方も日本機なら日本酒、スピットファイアならスコッチで、などと凝っていた時期もあったが、フランス機やイタリア機になると揃えるのが大変だ。最近ではたいていいつもの安バーボンかコーヒーを淹れる程度で済ましている。

 

 さて次は何を作ろうか…

 

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"Smoke in the 坪庭"

Smoke in the 坪庭

べっべっべ〜ん

べっべっべべ〜ん

べっべっべ〜ん、べっべ〜ん

70年代を高校で過ごした人なら放課後の軽音楽部の部室から繰り返し聞こえるエレキギターのリフ、といえば誰もがわかる、あのアレ。

そうDeep Purple"Smoke on the water"である。

今回の「どこにも出れんウィーク」で暇を持て余したブログ主が坪庭で燻製をすることを思いついた顛末に、”Smoke in the 坪庭"という相変わらず馬鹿なお題をつけたのだ。

 

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スモーク(燻製)は何度か経験はある。いずれも大型のスモーカーやダンボールなどを使ってアウトドアのはなしだから煙が長時間にわたって出てもお構いなしだった。自分のようなせせこましい街中の狭小な家に住む人間がやるとなると「ご近所さん」の問題が出てくる。

ベランダや庭でBBQやサンマを焼くなら食材の臭いで何をやってるかはそれと知れるから「BBQか、近所迷惑だなあ」程度で済む。しかし燻製はそうはいかない。「桜チップの華やかな香り」などと思っているのは当人だけで、その実ただの”木の燃えた臭い”に他ならない。何も知らない隣人にしてみれば漂うキナ臭い煙に「スワ近所で火事か?!」となるのは必定である。良識のある市民ならそんな世間騒がせな真似はしない。

別に燻製くらい大げさな仕掛けでなくとも中華鍋と焼き網と蓋があれば台所でだって出来るのだが、気をつけないと”木の燃えた臭い”が鍋にも蓋にも台所にも染み付いてしまう。良識のある家庭人ならそんな軽挙妄動はしない。

なんとかして誰にも迷惑を掛けずに家で手軽に燻製ができる手立てはないものか……と探せば家庭用のスモーカーはあるにはあるようで…… 

しかしこんなのわざわざ高い金を出して買ってひけらかすのは自分の美学と財布の両者が厳として許さない。はて困った。

メスティン

「自宅 燻製」というワードでネット検索の旅に出る。するとその最果ての地で「メスティン」というクッカーに行き当たる。メスティンとは四角いアルミのコッヘル(クッカー)の一種でスウェーデン軍御用達の飯盒だ(…しかしスウェーデン人はコメを炊くのだろうか?)

trangia(トランギア) メスティン TR-210 【日本正規品】

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  • 発売日: 2012/04/17
  • メディア: スポーツ用品
 

実は自分も一つ持っている。

別段取り立ててスゴイものというわけでもなく、まあ取手がついたアルミの弁当箱程度のシロモノだ。むろん値段の高いオリジナルではなく中華製で、たしか1,000円もしなかった様に思う。四角いのでパッキングし易いというメリットはある。そういえば以前オプティマスの8Rを持っていたがあれも箱状になっていた。瑞典人はなにかパッキングに特別のこだわりでもあるのだろうか。

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コヤツはしかしなかなかに火力が安定せず、取り扱いが難儀な曲者ストーブであった。
赤ガスも使えるので阪神大震災の時に世話になったが、それが最後のご奉公となった。

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それはともかく、メスティン(ぱちもん)を引っ張り出してくる。これも古くから持っているエスビットのポケットストーブと組み合わせて避難袋に忍ばせてあった。

蓋ができるのであまり煙が出ない、小さいので短時間の燻煙ですみ、出来上がる具材も少量、というからオヤジの"坪庭燻製"にはもってこいである。蓋のあるクッカーなら別になんでもいいようなものだが、ちょうどぴったりサイズの網が燻煙する食材を浮かすのに好都合、というわけだ。

いざ燻す

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さてジェリーマウスとなってトム猫の目をかいくぐり冷蔵庫からチーズとソーセージをせしめてきた。スモークチップは事前にホームセンターで購入してある。仕事で材料を買いに行ったついで、なので不要不急の外出ではありませんよ。こういう言い訳をいちいちしなければならないのだから面倒なご時勢である。

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チップは適当にばらまく。アルミホイルは焦げつき防止。そこらへんにあったナットを下にかまして網とチップの間隔をかせぐ。

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チーズは溶けるので後で投入することに。おつまみ用に秘蔵しているカルパスと素焼きミックスナッツも追加してみる。

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火をつけてしばらくするとイイ匂いが漂ってくる。燻煙は5分から10分、ということでコレを聴きつつ待つ。

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べっべっべ〜ん、べっべっべべ〜ん、べっべっべ〜んべっべ〜ん

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一曲聴き終わってご開帳。本当は途中で蓋を開けないほうがいいそうだが、、、まあいいんだよ、細けえこたあ。。ソーセージから油が落ちている。切り込みは入れなくてもいいだろう。

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カルパスはこの段階ですでにカリカリだったので取り出し、チーズを投入してもう一回Smoke on the water。一曲5分半ほどだからちょうど目安にもなる。

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写っていないが多少煙は上がる。上がる煙がシャクのたね。隣は何をする人ぞ。
「雅び」なはずのお茶室の坪庭でワイルドなスモーク。流れる曲は70年代ハードロック。おっさん菜箸でドラム代わりにジーンズのフトモモを叩く。。。なんたる違和感。

燻製出来上がり

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べっべっべ〜ん、べっべっべべ〜ん、べっべっべ〜んべっべ〜ん、でけたでけたでけた。おー美味そーう。fire in the sky~

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しばらくさましておいて煙臭さを飛ばす。

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とりあえず試食してみよう、いただきまあす……うほほほ、ウマ〜イ。

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ソーセージも……おう、いけるやん。コレはバーボンが欲しいぞう。バーボンないのかバーボン、バーボンを携えし者に余は一国を与えん。

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試食のつもりがペロッと完食……今晩の酒のアテはどうすんだ。

ところかまわず燻製

なあに"どこにも出れん"は継続中だ。時間はたっぷりある。
……てなわけで再度、"Smoke in the 坪庭"第二弾。

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今日も冷蔵庫を物色するジェリーマウス、するとチクワを発見!すかさず1本ちょろまかし、さらにゆで卵もちゃっかり用意する。

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相変わらずの違和感。

日本庭園に紛れ込んだフロウシャといった趣きも否定しきれない。BGMは高田渡「生活の柄」の方があってるかも。蓋の汚れ防止アルミホイルはメンドくさいので省略。いいんだよ洗えば。草に埋もれて寝たのです、ところかまわず寝たのです〜

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チクワだ!

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タマゴだ!ソーセージだ!ナッツは焦げちまったゼ。Fire in the sky~

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チーズは食べ易い大きさに切り、かさ上げと断熱用にブリキの小箱をかますという小技を繰り出す。

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む、ややハードなスモークとなった。ガスバーナーではちょっと火力が強すぎるのかも。次はアルコールストーブでいいか。

スモーキン バーボン

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調子に乗って作ったはいいがこんなに沢山食べきれない。夕食時に家人らにお裾分け。無理やり「おいしい」と言わせて悦に入る困った道楽オヤジ、というよくある家庭風景を展開してしまう。

ネット情報では「一晩おいた方が味が馴染んでよい」ということであったが、時間が経つと酸味が勝つような気もする。理屈はともあれ、やはりその場で食った方が旨い、外で食った方が旨い。自身の体に煙の匂いが移っていてキャンプで焚き火した気分になっているのも大きい。食べ物の「味」なんて気分が半分だと思っている。なんたらグルメだの星がいくつだのという世界はどうか知らないが……

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そして当然こうなる。

旨い旨い自分で作ったもんはみな旨い。ガハハハ、大満足。 

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