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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「はてなの翼」1/48サエッタとフォルゴーレ-12

前回短い文章にしたらどうも読み応えがないようだ。一つでは散漫だし通して読むと余計グダグダである。なのでやはり書きたい分だけ書くことにする。読みやすさも考慮して目次と見出しを入れるようにしてみた。

「サフ吹き」

忘れられかけて体育館倉庫の跳び箱の影で泣いていた優等生のフォルゴーレ君である。なだめすかして二機まとめてのサーフェイサー塗りに持ち込む。 

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下面のオイルクーラーやラジエーターも取り付ける。忘れてたワリイワリイ。

 

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サーフェイサー吹き付け アレま、リベットが目立たなくなった。。

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風防前部は溶きパテで隙間を埋める。後部は合いがいいので塗装後接着で。ハイッ終了。

次は可愛い可愛いサエッタちゃん。

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おいで〜。サーフェイサーを吹いてあげようね。

 

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しかしこうして見るとサエッタちゃん、なんだか上反角がずいぶん弱い様だね。

そうかしら、でも実機もそうなのよ。フォルゴーレくんも同じ翼を使っているわ。

へー、しかしそれで横安定なんかに問題は出なかったのかい。

あら知らないわそんな事、マスオ兄さんの意地悪。

 
「上反角」

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上反角が弱い。これはマッキだけでなくイタリア機共通の特徴のようだ。

 

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Fiat G50

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レジアーネ Re2001 もはや上反角ゼロちゃうんコレ。

航空機の上反角はマスオさんの言う通り横安定のためにつけていて、これが少ないと直進性が悪くなる。戦闘機だと射撃の際に横滑りする、などの弊害が考えられる。逆にロール率は高くなるのだろう。イタリアのパイロットが運動性重視だったのでこうなったのか、あるいはイタリア空軍の統一指針かどうかはよくわからない。

同じように運動性大好きパイロット達が乗った日本の九七戦は逆に上反角が強い。運動性といってもかたやロール率かたや旋回半径などと求めるものが違うのかもしれない。

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九七戦 上反角7度 「空の狙撃兵」と言われたほど射撃時の座りが良かった。

 

「翼端失速問題」

例のイタリア空軍新戦闘機刷新競争試作コンペ「R計画」に参加した機体はMC200もG50もRe2000も軒並み失速特性が悪く、錐揉みに入りやすい危険な傾向があったが、この上反角が弱いことも少なからず影響している可能性はあるように思う。以前に書いた通りサエッタは1940年に入ってようやくこの不意自転、翼端失速問題を解消している。

sigdesig.hatenablog.com

「MC200は全機飛行停止。設計者は市中引き回しの上、百叩きの刑」とのイタリア空軍のお達しに「こらエラいこっちゃ」とばかりにマリオ・カストルディはやおら新しい翼型をテストしだした、が当然これは時間がかかる。ドイツは既に欧州を席巻すべくその鎌首をもたげている。
結局、当座の解決策はアンブロシーニ社のセルジオ・ステファヌッティ技師によってもたらされた。アメリカ航空局(NACA)とウィリー・メッサーシュミット博士の研究を応用した、というからまったく他力本願の三段重ねだ。テストで隣の席の子に鉛筆とケシゴムを借りた上に答案まで写させて貰うようなものだ。

そのセルジオの応急対策は「必殺ねじり下げ!」ではなく「単に主翼の一部をバルサ材の合板パーツで覆い、翼断面を可変形状にした」、、、とこれだけではなんだかよくわからない。料理レシピの「最後に味を整えて出来上がりです」と同じだ。具体的に何をどうしたのかが知りたいのだが。。。

メッサーシュミットの可変式翼端失速回避方法といえば前縁スラットが思い浮かぶ。

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Bf109の前縁スラット Bf110もMe262もこれだ。まったくウィリーの一つ覚えだが戦後もひろく採用されF-86どころかファントムやトムキャット、各種エアライナーまで多岐にわたる。やはりこれまた最適解だったのだ。ただし元々は英国のハンドレイ・ペイジ技師のアイデアなのでドイツ機ファンはそない大きい顔せんでよろし。


しかし前縁にベニヤが貼られたサエッタの写真は寡聞にして見たことがない。今度イタリアに行ったら空軍歴史博物館のサエッタによじ登って主翼をつぶさに調べてこようかと思うが、いったいいつの日になるか、今世紀中にはなんとかしたいとは思う。。。

 

はてなの翼」

サエッタの主翼。測ると4mmほど左翼が長い、、、「はてな?」京の五条の清水寺茶店でこれを見た茶きんさんがそない言わはった、、、というのはまた別のお話。。。

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これはイタレリのチョンボでもスーパー馬鹿マリオの悪ふざけでもなんでもない。プロペラトルクや後流で機体が傾くのを防ぐ方策。普通は垂直尾翼の取付け角(彩雲、コルセア)や断面形状(零戦)などで調整する機体が多いようだが、マリオは左翼の揚力を上げる方法を採ったわけだ。左右非対称になるから空気抵抗などはどうだったのだろう?

 

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こちらは随分以前に作ったMC205ベルトロ(基本的にサエッタ、フォルゴーレと同じ主翼)フォルゴーレやベルトロにはお蔵入りしたマリオの新しい翼型が採用されたのでベニヤ板は貼られていない、、、はずだ。イタリア機に関する資料が誰かの借りパチで散逸してしまって調べる事ができない。今度イタリアに行ったら空軍歴史博物館のフォルゴーレによじ登って、、、

 

「塗装前夜」

最後に塗装前の下準備としてフォルゴーレとサエッタを洗ってやる。

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ゴシゴシ

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サエッタちゃんもお風呂入ろうね。

これで塗装の準備万端あい整った、、、あ、サエッタの風防忘れてた。

 

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二機並行製作だとどうも集中力が散漫になるようで。。。

 

 

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