ツーリングカメラを探し求めてきた。
単焦点レンズ、というものに巡り合った。
しかし、バイクツーリングにはやや大仰という問題があった。
その問題に対する解、それはPanasonicの「GM5」
究極とも言えるほどの極小コンパクトミラーレスカメラ、いや決して誇張ではない。ボディだけでいえばタバコの箱ほどの大きさだ。
ここにマイクロフォーサーズのセンサーとEVFが仕込んであるのだから驚く。
Nikon V1などはまったくもって顔色を失ってしまうだろう。。。
EVF(電子ファインダー)を内蔵してこのサイズにまとめたミラーレスカメラ、それは今の所こいつが唯一にして無二だ。
”極小”といってもレンズを付ければその分が出っ張る。
レンズ沈胴式のGRDあたりと違ってシャツの胸ポケットに、という訳にはいかない。
そういうコンパクトさ"のみ"を求めるなら、ソニーRX100を選ぶのが利口だろう。
あれも1インチセンサーで3倍ズーム、EVF付きの驚異のコンパクトデジカメだ。
同じセンサーサイズのNikonV1は顔色どころか意識さえ失いかねない。
しかしいくら合理的でもRX100では自分の「嗜好」としては後退になる。
"手軽、便利、性能価格比”などという「数」を基とし「理」を礎とする物差しと、
”風情、趣き、愛着”といった「情」を根とし「心」を源とする気持ちは、
たやすく同じ器には収まらぬようだ。
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さて、、、着荷したGM5を開封する。
「小さっ」とおもわず感嘆の第一声。
慎んで「豆助」の称号を進呈する。
思えばNikon1V1の渾名は「デク」だった。
Pen Lite2は「小料理屋の女将」というところ。
Stylus1はつけてないが「万能メイドロボ」あたりだろうか。
しかしこのGM5、小っちゃくて可愛いだけの愛玩犬とはちと違う。
持った瞬間「ガシ」と異様なまで高い剛性感にすぐ気づき、掌には「ズトッ」とした重みを伝わる。
いずれもコンパクトな見た目を心地よく裏切ってくれて、コイツ意外と「骨太」だ。
この点ではStylus1と好対照。
あちらは見た目より軽く、持つと「フナフナ」とプラボディの薄さを如実に感じる。
人間の手指の感覚は実に鋭敏なもので、プラの何分の1mmかのわずかな「シナリ」や「タワミ」までを感知して、「やわさ」として認識するのだ。
調べるとなんとこのGM5、本体、軍艦部共にマグネシウム合金ボディ。
爪が削れるほど角の立ったダイアル類はアルミの削り出しだ。
お気に入りの単焦点20mmをつけてみる。
レンズの下側がボディより出っ張ってしまっていささかアンバランスだ。
手指が節くれだってLLサイズの自分にはボディが小さすぎる。
ルパンが目玉オヤジを鷲掴みしているような雰囲気になってしまう。
なに、これも最初から分っていたこと、ホールドの件も店頭でチェック済みだ。
ちゃあんと考えが自分にはある。
実はコイツにはオプションで純正のグリップが存在する。
装着するとホールド感は向上し、いくらか背も高くなる。
単焦点20mmとのバランスもとれるはず、と見込んでいたのだ。
このグリップ、アルミの丸棒でしかもローレットが刻んである。
底部は5mm厚のアルミ無垢、どころか装着ネジにいたるまで総アルミ。
なかなかハードな逸品だ。
カメラ本体の底部は樹脂製なのだが、それを一体型のアルミ厚板でカバーするから、
剛性感はさらにアップする。
装着する時のコン、キンとした音や、ヒンヤリとした感触がたまらない。
バイクだのミリタリーだのを好む昭和のオヤジとしてはそういう所にグっときてしまうのである。
ホットシューに取付けるサムグリップを入手した。
アルミの鋳物でブラックでこれなど見た目もう完全にGUNのハンマーである。
この二つの、至ってハードメタルなアタッチメントでGM5は化ける。
金属の塊の様な重量感、いや増す剛性、微塵も動かぬカメラホールド。
これはもう「豆助」なんて可愛いらしいもんじゃない。
「佇まい」は相当なものだ。
凄みのあるハードボイルドさまで醸し出している。
小なりといえども「ウェポン」の面構え。
「ワルサーPPKスペシャル」にサイレンサーとスコープを付けた様な感じだ。
バイクだのミリタリーだのを好む昭和のオヤジとしてはそういう所にグっときてしまうのである。
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ここで余談
もう80を越える齢のお茶と生花の師匠がいる。
自分が撮った画像を見せようとこのGM5を手渡した時のことだ。
師匠、手にした瞬間
「おっ、ええカメラやな」とほくそ笑んだ。
むろんこのお方はデジカメの事など何もご存じない。
Lumixのロゴすら読めない人である。
「エエもんはな、手に持ったらわかんねんで」
その人生において数知れない茶道具を手にしてきたであろうから、言葉通り、素直に受け取っておいた。
長くなった。
続きはまた次回。