モンスター始動不良の原因究明。
メカニック氏が少なくともこれくらいはかかる、といった期間がそろそろ終わる。なれどお沙汰はない。急かすつもりは全くないのだが、長く掛かるのはあまり良い兆候とはいえない。少なくとも「○○替えたら一発で治ったー!」ってな訳にはいかなかったということだ…
簡単なところから手を付けるはずだから、そろそろラスボスのECU(コンピューター)にたどり着いてしまったかもしれない…ひょっとしてマズいことになっているのか…マズイを通り越してヤバい事か…ヤバイ事になっちまった。トニーのやつがしくじった。いや誰もしくじってはいないのだけれど…不安はドンドンと悪い方向にふくらんで第三埠頭に八時半。
そんなある日、
ダークな作業着に着替えて安全帽を粋に決めイカす地下足袋を履いた時に、電話が俺を呼び止めた。スマホの向こう側にメカニック、声を震わせながらメカニック…いやいやメカニック氏の声はしかし震えてなどいなかった。
朗報である。
モンスターが治った。
なんと費用はあまり掛からなかった。ブルブル震える手で額縁の裏の金庫に隠したコルト、イヤイヤ札束を取り出さずに済んだのだから、これはもう最良といっていい結果だ。
「原因は納車の時に詳しく」との事だったが、まずは良かった。本当に良かった。「良かった」はヒラギノゴシック18ポイントかつボールド体でお伝えしたい。メカニック氏には感謝の言葉しかない。あんまり工賃が安過ぎて申し訳なかったので後で思い直してついでにオイル交換をお願いしておいた。
数日後、モンスターが帰ってきた。
タダイマ-ッ!
メカニック氏による原因究明の過程説明はさながら推理ドラマの名探偵の謎解きの様だった。
捜査上に浮かび上がった容疑者は三人。回路の断線、イグニッションリレー、そしてECU。しかし取り調べが進むうちに三人とも問題無しのシロと判明する。
いちばん怪しいとされたECUはログを取って診断機にまでかけたものの、完全潔白が証明され前科すらあがらない。迷宮入りもささやかれるなか、メカ氏はテスターによる地道な究明を続け、とうとう最後にリレーカプラーにたどり着いた。
果たしてカプラーの中に焼けていた端子が発見される。コイツが今回の「モンスター・エンジン不動事件」の真犯人だった。
自分も一応こういうものはガレージに備えている。しかしまあチンプンカンブンである。
端子を接点グリスで磨いただけで治ったらしい。つまり部品交換すら必要なかったのだ。後から考えれば原因は実に小さなものだ。ただしそこを探り当てるまでが大変なのである。メカニック氏の腕と経験と粘り強いプロ根性があってこそだ、誠にありがたい。
いかに振動の大きいドカとはいえ、こんなトラブルは通常では考えられないそうだ。カプラーの上のターミナルパーツで振動が増幅され端子が半抜け状態となり、スパークが走って焼けてしまったのではないか?というのが名探偵メカノ・メカニック氏の推理である。
カプラーの上のターミナルパーツ?そう、そんなものは純正ではない。他ならぬこのブログ主が後付けした電装品である。そんな大事なカプラーとは知らず、てっぺんに「エーモン増設ターミナル438円」を両面テープでペチャコとくっつけてしまったのだよ。
アホなユーザーの改悪でゴチャゴチャと訳がわからなくなってしまったモンスターのバッテリー周り…
つまり原因は、この私だったのです…
みんなオイラが悪かったんです…
トホホ…