青畳色にもうぐいす色にも飴色にも見えるという伝説の塗料”ナゾの明灰白色”をガッシュで調合して下面に塗る。
箱絵は全面黄橙色だがファインモールドの塗装図には濃緑色の例がある。海軍領収前なので機番もナシとの御託宣でこれは目の状態が思わしくない当方にとっては好都合だ。
アクリルガッシュでの筆塗り塗装。今回は試作機、ということで褪色、外板のヨレ、汚れなどは(実際はあったとしても)イメージに合わないから省く。
カウリングは黒で日の丸のフチが黄橙色だった、という説もあったようだが…ここは素直にファインモールドの塗装図に従っておく。余談だがこのキットには組み立て説明書のほかに実に詳細な実機解説書が入っている。堀越技師による当時の文語体のままの回想などが引用され、なかなか読ませる内容だ。
さて次は日の丸だ。
赤はこの三色で調色した。
片目が歪んでるので日の丸のフリーハンド筆塗りは難儀だ。今回は文明の利器、カラスグチ(烏口)コンパスを使ってみようと思う。コイツは製図用品の中に紛れ込んでいた。
クルリ…ワオ!す、素晴らしい、す、ワンダフル、す、マーベラス…
喜んでないですかさず中を塗りつぶす。乾いて跡が残らないうちに。
タッチアップ不要、5分ほどで日の丸の出来上がり。簡単かつスピーディ。「いままでの苦労は何んだったんだぁ〜!」と頭をカキむしりたくなる。
”今までの苦労”…はコチラ
いやもう”カラスグチ”を使わない日の丸マークなど石槍でマンモスに立ち向かう様なものだ。これを文明の利器と言わずしてなんと言おう。コンパス自体は古代ローマ時代からあったはずだが、”カラスグチ”の方はいつ発明されたのだろうと思って調べると…
産業革命以前、18世紀初頭の欧州にはすでにあったらしい…ということはワットの蒸気機関の設計図あたりはこれで描かれたのかもしれない。モンテスキューやスウィフトも皆んなこいつを使ってプラモの日の丸を…なわけないか。