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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

烈風-6「キライはスキの始まりか」ファインモールド1/72製作記

烈風のタレ尻の謎を紐とくべく画像に補助線を入れてみた。f:id:sigdesig:20201210175739j:plain赤が基準線。尻も垂れてはいるが胴体後半がカーブして盛り上がっているのがわかる。

同じ堀越技師の設計になる零戦はどうだろう。f:id:sigdesig:20201210173240j:plain
同様の傾向ではあるが、盛り上がりはない。

同じ誉搭載機で比較。こちらは疾風。f:id:sigdesig:20201210175813j:plain
ほぼ直線。やや後方に位置するコクピットは微妙に持ち上げられ、視界も多少考慮されている。

紫電&紫電改
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このカワニシ兄弟はまったくの直線。紫電改ではコクピット位置がやや前進している。

以上を踏まえ、さてここからは工房主の勝手な推量。

肥大化した烈風の馬力不足は明白。堀越技師は軽量化と空力的洗練でそれを補おうとした筈だ。零戦の時と同じだが、過度の軽量化が剛性不良をもたらした反省もあり、空力により重点を置いた、と仮定してみる。

速度性能向上に空力的に望ましいのは風防後方に乱流が発生しない雷電の様なファストバック。しかし爆撃機相手の迎撃機とちがって烈風は対戦闘機戦が主だ。そこで後方視界を確保した上で、胴体後半を盛り上げ、風防後半のラインと巧みに馴染ませて気流を整えたのではないか…

f:id:sigdesig:20201211103138j:plain3次元で模型をあちこちから眺めていると、そんな堀越技師の狙いが伝わってくる角度が確かにある。ヌボーっとした印象だった烈風もそれなりに精悍に見えてくるから不思議だ。

となると…アオシマの烈風もそこまでトンデモなくもなかったわけか…f:id:sigdesig:20201207142625j:plain

「うーわカッコワルッ、烈風屁ぇぷう〜」などと笑ったのは単にブログ主がクソガキだったからだ。
「天狗になってた零戦の設計者がワガママ通しただけのデクノボー飛行機だ」なんて斜に構えたのは単にブログ主が了見の狭い中二病だったからだ。

齢を重ねた今ではたとえ一見ブサイクな機体であっても、その背景に当時の状況、設計者の考え、人間模様などに思いを馳せるようになった。少しは大人の階段を上がったのだろうか。

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これなんかも見た目はそうとうアレだが…800馬力で500km/h出せ、前方視界も良くしろ、なんて言われて苦労したんだろうなぁ、と思う…

模型を作ると今まで良い印象がなかった機体でもなぜか好きになってくることはよくある。単に愛着の問題だけではなく、その飛行機についての知識、理解が深まるのだろう。

…嫌いな上司やいけ好かない客のプラモデルを作れば少しは精神的に楽になるかもしれないヨ…

 

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