形になった烈風。見慣れないせいかそのプロポーションがいまひとつユルく感じる。
流麗と言われればそうかもしれないが、浜に打ち上げられた瀕死のゴンドウクジラと言われればむしろそっちの方がしっくりくる姿だ。
前方より40%の部分で胴体幅最大にする、という例の海軍航空廠の紡錘形理論による空力デザイン。コンパクトな誉エンジンのお陰かデカい火星エンジンに同じ空力理論を採った雷電、強風ほど極端なデブではないが…
日本の戦闘機らしい小股の切れ上がった緊迫感に欠けるような…横幅14m、面積31㎡になんなんとする主翼の大きさだろうか。自社エンジンが採用される様にワザとふやけた設計でデカい機体にし、さらにそのエンジンが実用化されるまで三味線弾いて開発を引き伸ばした…なんてうがった見方をされたりもする。
どことなくノベーっとしている。”身体はデカいが運動苦手な帰宅部のおさげのメガネ女子、趣味はケシゴム収集…”といった印象。
雷電や紫電の”チビでデブだが体つきに獰猛さのある男子柔道部員、部室はエロ本だらけ…”とは少し雰囲気が違う。
烈風を側面から
やたら背が高い垂直尾翼、間延びした胴体後部、垂れ下がっている様に見える胴体のラインなどなどがイマイチポイント。
垂直尾翼の背が高いのはこの機体が艦載機であることを如実に物語っている。大迎角でアプローチする着艦時に垂直尾翼が機体の影に入って方向舵が効かなくなる現象を避けるため。シーフューリー、ベアキャットも同様。
胴体が長く見えるのは妙に前の方にある小さなコクピット位置のためだろう。これも着艦時の視界を考えてのことだから仕方ない。
胴体の垂れ尻ラインだけがよく分からない…まさかファインモールドがチョンボした?
実機写真
…というわけでもなさそう。
堀越技師はなんでまたこんなデザインをしたのだろうか…については次回。