sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

中心性漿液性網膜脈絡症

ちゅーしんせーしょーえきせーもーまくみゃくらくしょー

こんな早口言葉かお経かわからないような単語がすらすらと出てくるのだからお医者さまとは全く頭のいい人なのだと感服した。自分よりも少し年上の優しそうな目をした眼科医師は、検査結果を見て冒頭の病名を言い放つや、間抜け面を下げている自分にスラスラとメモに書いて渡してくれた。漢字を見たところでよく分からないのは同じだ。眼球の中の網膜と脈絡膜の間に水が溜まる病気だという。

水が溜まっていることで網膜の一点が押し上げられる。カメラのレンズでいえば焦点距離が狂っているので必然的に片方の目の視力だけが落ちる。フィルム面に凸凹があるから、方眼状のものを片目で見るとグニュグニョに歪んで見える。さらに黒いもやもやが浮かんでいる。白いバックになるとそれがハッキリとした黒い円形に識別できる。

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気づいてからもう数週間も続いている。なんだか右目の調子が悪いなと感じたのは半年くらい前だったと思う。めがねが合わなくなってきたんだと思って作り直すつもりが例のコロナ騒ぎで伸び伸びになっていた。 

「ここんとこ異常に目を酷使したからです、ブログネタでプラモデルを作ったりして、それも筆塗りで4mm角の機番を描いて、性悪女のヘルキャット姐さんに毎晩のように…」

などとカミングアウトしかけたが、女医さん(でした)はそれを優しく制して「目の酷使は関係ありません。この病気はワーカホリックと呼ばれる人に多く見られるもので、主に過労からくるものです」

はてね。自分は首をひねった。この数ヶ月はコロナ自粛でむしろ暇である。そもそも自分はワーカホリックにはほど遠い人間だ。むしろ穀潰しなんじゃないかと内心ビクビクしながらひっそり生息している方だ。そう言うと「そーれはまあ誰しも精神的ストレスはありますから」と苦笑しつつ諭された。

ほっておけば勝手に治るものであるとのことで少し安心した。ただし非常に再発しやすいという。右目の違和感は結構前からだからことによると再発しているのかもしれない。確かにここ数年からちょうど半年くらい前にかけては、ヒヒみたいな小役人やサルみたいなエゴ客やらに追いまくられていた時期だからそのせいにしておく。

再発の場合の治療方法としてはレーザー照射が一般的だが自分の場合はちょうど視点の中央に発生しているので使えないのだそうだ。光反応性の溶剤を点滴で流し込み目に光を当てて治療する方法もあると言う。ただしこれは入院が必要で費用もかなりかかるらしい。せっかくもらった特別給付金が泡と消えてもまだ足らぬかもしれない。あまり嬉しくない話だ。

お薬をもらって数カ月から半年様子を見る。長丁場になる。最後に「肉体的精神的疲労がよくないのです、十分休養をとってリラックスしてくださいネ」と泣けることを言ってくれる。「そいつが出来りゃあ苦労はねえさ」と心中で呟いて眼科を後にする。

さてそういった目玉状態だが日常生活で困る事はあまりない。

遠近感が狂うので食べ物を箸からとり落す、麦茶のコップをなぎ倒す、くらいのことはある。もとから乱雑でウロンな人間なので誰も気にしない。ただし急にめまいに似た感覚を覚えフラつくことが増えた。階段を下りる時などは気をつけている。車の運転は思ったよりも支障はない。ただし長時間になると目が疲れて肩が凝る。自転車もバカみたいなスピードさえ出さなければ平気だ。

問題はバイクである。右コーナーそれも深いヘアピンなどはほとんど当てずっぽうで回っている気がする。高速道路のインターのランプでは回り込んでいる内に平衡感覚を失う。単車は繊細な乗り物だと身にしみた。これでは危なっかしいのでしばらくバイクはお預けだ。

造りものやプラモデルなどは倍率の高い拡大鏡でなんとかなっている。ただし精密な作業は辛いし、スジボリやリベットやマーキングがどうしても歪んでしまう。まあ、もともとその程度の腕ではあるのだが。筆塗りに移行したのはいいタイミングだったかもしれない。もう一線級の精密な作品など無理だ。まあ、もともとその程度のモデラーだが。

ディスプレイ画面の特に高精細の動きの激しい動画は見ていてクラクラする。ひどく疲れて1時間が限界、これは腰痛の限界と同じ。眼と腰でぴったり息があってやがって最強最悪のタッグ。なので映画はお預け。わんわん。テレビはほとんど見ないのであまり痛痒を感じない。

パソコン作業も苦手だ。画面の設定をNight shiftにすると多少良いことがわかった。ただしほとんどセピア色なのでデジカメの画像の補正などは全く出来ない。カメラもフルオートのAFに頼りきり。それじゃつまらんわけでカメラもお預けだ。わんわん。

あとはスマホが見辛い。コロナ関連でケンケンガクガクと批判の応酬しているようなTwitterはまず開かなくなった。毎日のように仕事の愚痴や買い物自慢などをつらつら連ねるブログなどウンザリだ。昭和のオヤジギャグに溢れた長いプラモ記事も嫌になる。無論これらは正常な眼をもってしても尻尾を巻いて逃げ出したい類かもしれん。きゃんきゃん。

じゃあこんな下らない文など書かないで目薬でもさして寝ておれば良いではないかと言われそうだが実はこれ、音声入力なんです。

実用的なレベルには達していて、ここまでこの音声入力に夜5時脱字または誤変換の類は0と、褒めた途端に誤変換してくれているのだからまぁiPhoneの音声変換はややお茶目なところがあるのかもしれない。とは言え文章を検討したり推敲したりするのには読み直さないといけないので短くて良い文章は望むべくもない。

総じて趣味の大半はしばらくお預けとなったわけだ。わんわん。片目で出来ることなんて今の所ウインクくらいしか思いつかない。今さらそっち方面に趣味の方向を変えられないので、坪庭で燻製などしている今日この頃である。

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