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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

甘酸っぱい青島の思い出

青春ではなく青島です。都知事のじゃなくて事件は現場で起きてんだの刑事でもなくてプラモデルのアオシマ、です。

自分がプラモデルを作り始めた1960~70年代前半は電動可動全盛期であった。戦車も車もモーターかゼンマイでビューンと走ってはタンスに激突し、戦艦は艦底に”マブチ水中モーター”を抱えて池の真ん中であえなく転覆し、飛行機はブンブン空を飛び回る…のは無理なので脚が引き込んだりモーターでプロペラが回ったりする、そんなキットが当たり前だった。

プラモデルというのは動かして遊べることに重きを置いた”自分で組み立てるオモチャ”的な存在であったのだ。

そこに実機実車の”正確な縮尺模型”という精密スケールモデルの時代がやってきた。タミヤの1/35”ミリタリーミニチュアシリーズ”が幕開けだったと思う。宇宙戦車ビーグルだのキングアトラスだのを作って喜んでた自分はこのシリーズの”シュビムワーゲン”か何かを模型屋のオッチャンに勧められて買って「で〜っ、これ動かへんやつや〜ん!!」と地団駄を踏んだのを覚えている。

しかしこの”動かへんプラモ”がやがて模型界の主流になる。飛行機モデルもハセガワやタミヤグンゼレベルなどのリアルなスケールモデルが大勢を占めた。脚は引き込まないし風防もスライドしない。フラップもエルロンも固定され、動くのはプロペラくらいのものだった。

”お子ちゃま”だった自分もプラモを組み立てても、もう走り回らせたり爆竹で吹き飛ばしたりせずに、そうっと本棚などに飾ってシュッとしていたものだ。(シュッとする=関西弁で「垢抜けている」などの意味)

そんな中で、アオシマ社だけは60年代の”子供達のための楽しいオモチャ”的路線を守った。他社(イマイやバンダイなど)が版権を取ってテレビのヒーローなどをモデル化したのと違って、アオシマはどっかで見たような合体ロボットや怪しげなSFメカなどをせっせと出していたのである。

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こーいうのとか…デンジンザボーガーやん

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こーいうのとか…キャプテンスカーレットやん

悪く言えば子供だましだが、好意的に見れば価格を抑えて子供に買いやすくしたとも言える。また可動パーツ盛り沢山の飛行機模型なども60年代当時のまま販売し続けていた。1/72の”烈風”や”五式戦”、”紫雲”など他では見られない機種があり、自分は心踊らせて作ってはみたものの、間延びしたフォルムやガタガタ動く可動部の大きな隙間に物足りなさを感じた。

自分で作った烈風を見ながら「ほんまにこんな形しとったんやろか〜」と不満げに口を尖らせた記憶がある。いつのまにか”ただのガキ”から”マセガキ”になっていたのだろう。

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アオシマ1/72 烈風 この頃は”烈風”は戦争に間に合えばヘルキャットもP-51も屁のカッパ、だと信じていた。

さて当時、級友の間では静岡の模型メーカー四社の共同企画である”ウォーターラインシリーズ”という艦船模型がブームになっていた。これはクラスに「利根さん」という瞳の可愛い女の子がいたから、という訳ではない(僕はどちらかというと「竹谷さん」の方が好みだった)

ある時、友達のY君と一緒に近所のプラモ屋でウォーターラインの駆逐艦を買った。マセガキな自分はちゃっかりタミヤの”吹雪”あたりを選んだが、Y君は「名前がかっこエエし!」とアオシマ製を買った(おそらく”ユキカゼ”か何か)

そしてY君の部屋で一緒に作り始めたわけである。ファンタ・グレープとサッポロポテトなんかを食べながらワイワイと。しかし1/700の駆逐艦というのは船体もパーツも小さく、初心者の小学生には実はハードルが高いシロモノである。 かえって重巡あたりの方が作りやすいのだが、月に150円ほどの小遣いでは駆逐艦買うのがやっとなんだから仕方ない。

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と言っても自分はほどなく完成した。だってタミヤだから。畳の目を波に見立てて「魚雷発射ー!」なんてやって遊んでいる。その横でY君のユキカゼは全然進んでいない。やたらバリがあったり、砲塔のパーツ穴が小さすぎてうまくはまらなかったりするわけですな。

イライラがつのっていたのだろう。しまい目にはY君カンシャク起こして「もーっ!でけへーん!!」と叫ぶやユキカゼの船体を両手で握ってペキーッとへし折ってしまったのだ…

……なんも折らんでもええやんか〜とは言ったものの、まあ気持ちはわからんでもない。

数年ののち、自分もつい買ってしまったウォーターラインのアオシマビスマルクを製作していたところ、友人がタミヤシャルンホルストを先に完成させてしまい、共通なはずの副砲の精度の差を見た自分は製作意欲をあとかたもなく粉砕され、Y君と同じ悔しさを味わうことになる。さすがにビスマルクの船体はヘシ折るには大きすぎたので思いとどまったが……

…そしてそれ以降の模型人生において注意深く”Aのマーク”を敬遠してきた自分だったが…

[この項つづく]

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