sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「DB601の眷属たち-4」

ラジエータ

ラジエーターの配置が胴体下、これはレシプロ最強戦闘機P-51Dムスタングと同じレイアウトだ、と土井武夫先生は自慢げだ。フォルゴーレもYakシリーズも同じなのだが、、、どちらも半埋め込み式の拡散型で、キャノピーは"真似しん"した両機が何故かここにはBf109の影は見られない。

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そもそも主翼下のラジエーターて、Bf109、スピットの他は見いひんやんなあ。。。
見いひん見いひん。。。て、オマエのツレのRe2001て主翼の下なんちゃうん?
あーせやせや、アリエテな。そういや忘れとったしぃ。

 

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忘れたんないな、控えやからゆうたかて。
せやかてアラ550km/hくらいしか出えへんねんけ。もっさいねん。

 

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フォルゴーレのラジエータ配置

 

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飛燕のラジエータ配置。

整流板でわかるようにラジエーター自体は半分胴体に埋め込まれている「拡散式」

スケスケ好きなので構造がよくわかるようにブログ主はキットのラジエーター側板を透明プラに置き換えている。

 

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縦長の黒いパーツがラジエーター。半埋め込み式とよくわかる。

 

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飛燕のラジエーター実物。これはII型のもの。明石に復元飛燕を見に行った時の画像。

 

P-51Dムスタングラジエーターは、、、

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大戦機ファンなら誰でも知っている、境界層を吸い込まないように胴体から浮かせたインテイク。土井武夫技師も述解しているとおり「あちらの方が一歩進んでいた」


オイルクーラー

フォルゴーレは機首下にオイルクーラーがあってBf109Eと同じ配置。

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一方、飛燕のラジエーターの前には何もない。

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地上タキシング時でもタイヤカバーはラジエーター冷却の邪魔にならない位置。飛燕は主翼が長いので脚の間を広くとっていた。小さい円形の突起は燃料冷却器。

飛燕の直前作、"キー60"ではオイルクーラーはフォルゴーレやBf109E同様、機首下に位置していた。

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オイルクーラーの排出するホットエアがラジエーターの効率を下げていることがわかり、次作の"キー61"(=飛燕)でオイルクーラーをラジエーターと一体化した。これが速度性能向上の要因の一つでは、、、と土井技師の手記にある。なるほどそんなものなのか、とシロートは思うしかない。

長大な航続力と20m^2という大きな主翼を持ちながら、飛燕は最高速でも590km/hとMC202フォルゴーレ(600km/h)と遜色ない。エンジンは同一だから飛燕はフォルゴーレに比べよりクリーンな空力設計だった、と言ってもいいと思う。

クリーンと言えばP-51Dもそうだ。飛燕と同じ様にオイルクーラーをラジエーターと一体化していて機首下には何もない。こちらも同一エンジンのSpitfireMk.IXよりも高性能だったのは空力設計の差だろう。

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機首の小さなインテイクは過給器用。油圧ON時にはタイヤカバーは畳まれるスマートな構造。

 

一方、MC205ヴェルトロ

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マリオ・カストルディ技師はMC205ヴェルトロでオイルクーラーを左右に振り分けている。これが空気抵抗軽減なのかラジエーターへの空気の通り道をあけて冷却効率アップを狙ってのことか、はたまた単なる格好つけなのかどうかはわからない。(こんなにカッコ良いオイルクーラー拡大はまずないと思う)

むしろヴェルトロはオーバーヒートの傾向があったらしい。(外観上インテイクカバーは同一の様だがラジエーター容量を増やしたとの資料もある)いずれにせよマッキシリーズは最小限の改良で早期の戦力投入を企図していた節があるので大改造は避けたかっただろう。

オイルクーラーがエンジン直下にあれば配管を長々と引回す必要がない。そのぶんジョイントも減る。被弾性、信頼性、整備性でのメリットはある。

 

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中央部分がオイルクーラー 左右がラジエーターだ。

実際、飛燕はオイル漏れが激しくラジエーターと一体化されたオイルクーラーは冷却調整や整備上の大きな問題となっていたようだ。修理のたびにラジエーターごと下ろす必要があるから整備兵は泣いたろう。性能の為に信頼性、整備性をやや犠牲にしたことになる。カワサキだもの、くくく」と一部バイク乗りのむせび泣く声が聞こえるような。。。

P-51ムスタングの場合、A型(アリソンエンジン搭載)ではオイルクーラーはラジエーターと一体だったが、B/C型(マーリン搭載)以降からインテイク内部でオイルクーラーが前方に独立している。排出口も別々で冷却温度をそれぞれ調節出来た。

ラジエータ配置は同じでも、やはりエドガー・シュミードのムスタングは一枚も二枚も上手だったようだ。

 

 

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