sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「DB601の眷属たち-3」

 

 

キャノピー

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フォルゴーレのキャノピーは横開き。後端が素通しの半密閉式が600km/hクラスとしてはやや残念。空気抵抗は大きかったろうがMC200の後期生産型で開放風防に後退したからこれでもまだ取り戻した方だ。

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飛燕は風防の前方下部の三角窓なども「Bf109からとった」土井武夫技師自らが語っているほどだから、日本機には珍しいファストバックスタイルも同様だろう。視界にうるさい日本人パイロットが何も言わなかったのが不思議だ。当代随一の欧州第一線機メッサーシュミットのご威光か。どうも舶来一流ブランドに弱いのだ我々は。

中央キャノピーは一般的なスライド式だが、これも当初はメッサー流の横開きだった。試験飛行中に強度不足でひしゃげてやむなく変更したというから彼我の技術レベル差を痛感する。

別に同じエンジンだからといってキャノピーの開き方まで統一しないといけないはずはないわけで、やはりこの辺は一族郎党、族長のメッサー様の影響力は強かったということか。。。


飛燕はII型改になって三角窓も廃し、後期型では水滴風防と、ようやくジャパンオリジナルになる。MC205ヴェルトロは最後まで密閉風防にすらしていない。イタリア流を通したと言えばそうなのだが、、、

ドイツ機以外でDB600系エンジン搭載機ばかり作る、というのも面白そうだ。

マウザー砲

軍部は飛燕にも20mm機関砲をゼヒ!と強力なゴリ押しをしてきた。そこでとりあえずドイツから輸入したMG151/20mmマウザー砲主翼に積んだのが丙型だ。マウザーというのはモーゼルのことで不二子ちゃんがガーターベルトにはさんでいる銃がモーゼルHSC。深夜プラスワンで主人公が振り回すのがどでかいモーゼルミリタリーモデル。。。

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飛燕 丙型

このマウザー砲は潜水艦で輸送されたと言われてきたが、機関砲800門、銃弾40万発といえば相当の積荷のはずだ。狭い潜水艦に押し込むにはどう考えても無理がある。何隻かあるいは何回かに分けたのか?と長年首をひねってきたが、どうやらフランスのサンナゼール港からの封鎖突破船による海上輸送というのが実話らしい。それにしても危険な計画には違いない。

一方マッキもMC205ヴェルトロでMG151を主翼搭載している。こちらは地続きなので輸入に関して日本の様な離れ業までは必要ない。

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飛燕の丙型はそれなりに戦果をあげたようだ。しかし銃弾を使い果たしてしまえばいかに高性能なマウザー砲といえどもただの鉄の棒と化してしまう。タマ作ったら?と簡単に言うが「薄殻榴弾といういかにもSF未来戦記モノの漫画家が好んで使いそうなネーミングのMG151専用銃弾は、工作精度が高過ぎて日本では生産出来なかったらしい。もちろんMG151本体も同様の超絶精度で、アメリカでさえコピー生産に失敗したというからジャーマンテクノロジーここに極まれりである。

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そこで日本陸軍はブローニングM2をベースとした"ホー103"12.7mmの大口径版、新開発の"ホ-5"20mm機関砲"ホ-5"を飛燕に搭載した。ところがMG151/20より機関部が少し大きく飛燕の主翼には収まらず、機首に搭載することに。幸い倒立V型はエンジン上部スペースに余裕がある。同じく"ホ-5"を機首に積もうとして断念した隼とは違うのだよ。隼とは。

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とはいえ20mm位の口径になると機首搭載は問題が多く、発射時の信管暴発対策には銃口カバーの鉄板を分厚くする、という力技で乗り切ったという。この話をすると「カワサキだなあ」となぜか嬉しそうな顔をする人が一部のバイク乗りの中にいる。

作例はその武装が強化された1型丁。機首が延長され全備で340kg増加し、その分、飛行性能は落ちている(最高速590km/h→560km/h 5,000mまで5'30→7'00) 


  

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