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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「斑点迷彩の頂きに挑む」レベル1/72 ファルコ-13

そしてついに斑点迷彩

実のところ飛行機模型製作上の最難関はこの迷彩塗装にこそある。考えようによっては前回までが下ごしらえと言ってもいい。つまり今回がクライマックス中のクライマックス中のクライマックスなのだ。

迷彩にも雲形、直線など色々あるが、中でもぼやけたマダラ斑点模様というのはマスキング手法が使えない。その技術的難易度の高さでもって、さながら天高くそびえ立つキリマンジャロの如く我々ヘタレモデラーたちの行く手をはばんでいる。

なかでも「ゲルマンのカタクチイワシ」ことBf109などはごく小さい機体の胴体だけに繊細なインクスポットが要求され、1/72ともなるとその難しさはアイガー北壁並。

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Bf-109
それに比べれば「太平洋の足軽」こと零戦21型などは全面グレイ1色で安逸なことこの上ない。ひねもすのたりの春の海と言えよう。

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零戦21型 タミヤ1/72 拙作

真の飛行機モデラーはその聖域に立ちいる為に0.2mmのダブルアクションエアブラシを手に入れ、急峻に備えて空気圧を入念に調整し、その頂点を極めんと塗料とシンナーの調合比に心血を注ぐのだ。

では「地中海の陽気な二枚羽根」こと我らがファルコはどうなのか?

製作予定の実機写真を見る限り、斑点模様はあまりはっきりしておらず細かいメロメロ系と思われる。これをいかにして塗装で再現するかはローテクモデラーな自分にとっては大問題で、このファルコ製作中はずっとそのことで迷いに迷っていた。難易度としてはタクラマカン砂漠のさまよえるロプノール湖探しといったところか。1/72だとこのメロメロはダブルアクションのエアブラシでも難しい、、、

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”贅沢だな!こっちはシングルアクションのエアブラシすら持ってないのに!”、、、と40年前の自分からのご意見をいただく。

それでは「若き日のオレ」くんはこのファルコの斑点模様をどうやって塗ったのかね?

”簡単だよ、ダークグリーンを全体に吹いておいて、乾いたら小さくちぎった脱脂綿を木工ボンドでチマチマと機体に貼りつけるんだ。
そうしたらその上からサンドイエローをグンゼプロスプレーでシュコーと吹いてやる。最後に脱脂綿をピンセットで一つ一つ取ってやるだろ。するとこれがビックリ!斑点模様になっている、という寸法さ!”

なるほどいかにもプラモ大好き少年向きのテクニックだな。秋田書店刊「プラモデル教室」あたりで読んだのかね。ところでその出来上がりはどうだった?

”それがそのう、、、斑点の境い目は荒いし、綿ぼこりが一杯へばりついて、、、"

なるほど、もちろんオジサンもそれはよく覚えているよ。それに満足しなかった若き日の自分のキミは、その後お年玉貯金を取崩してピースコン「ヤング88」を買うことになる。大人の階段を一段登るわけだ。。。

さて、思い出にひたってばかりいないでサンボルのバカでかい翼でエアブラシの練習と色味の確認をしよう。

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「バカでかい翼でエラい悪かったのう」

メロメロ斑点はアトランダムで連続的だからダブルアクションで丹念に吹くよりも、接近してパラパラパラっと吹いてさっと離す、を繰り返す方が良さそうだ。エアブラシの一撃離脱戦法だ。誰が格闘性能の良い日本機と取っ組み合いなんかするものか。くたばれJAP! 

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さあ、いよいよ迷彩本番、死にたくないけどもうエアブラシが止まらんぜ!

換気扇と空気清浄機が回りだすと狭い工房は轟々たるファンの音に包まれる。有機溶剤用マスクとハズキルーペ(のパチモン)を装着し、コンプレッサーのスイッチを入れる。Bzzzzzzという音と共にエアブラシを握れば気分はもう戦闘機パイロット

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パチモンハズキはレンズが跳ね上げられるので便利、安いし。3Mのマスクは少し息苦しいが必需品。

ファルコの胴体に肉迫しエアブラシのボタンを押してダークグリーンをプシプシーッと吹き付けては離脱、を繰り返す。
「クソっ駄目だ!もっともっと近づいて撃つんだ!」
プシプシーッ プシプシシーッ

ふと気づいて見回すとあたりには緑色の煙がもうもうと立ち込め、味方機の姿はどこにも見えない。乗機のグラディエーターの機銃は撃ち尽くして弾切れ、、、
「黄の2番、黄の2番、後方にフィアット!回避せよ!」
「Bloody hell !!」

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"Brilliant, well done mate !  "

まあ、という訳でファルコはこんな具合になりました。

ギリギリまで接近し思い切りよく吹き付けた上翼はまずまずの出来。それに比べ、ビビッてしまった胴体、下翼は斑点模様が大きく、青ノリをかけすぎたタコヤキみたいになってしまったファルコである。いつもならシャーナイシャーナイでここで止めておくのだが、今回はもう少し攻めてみる。

斑点周辺部分をイエローオーカーでタッチアップ吹付け。それでまたボヤケた斑点中央部をダークグリーンでタッチアップ吹付け。この修正作業を繰り返す。

こういう場合、色を変えるたびにエアブラシの洗浄がとても面倒ではありませんか?そこでエアブラシ二刀流&ワンタッチコネクタが実に便利!

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いや別にアフィリエイトはこのブログではやっていないのですが。。。

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以前エアブラシを新調した時に古い方を捨てずに取って置いたのだパッキンが くたびれていて少々動作がぎこちないものの、手直し程度ならまだまだ充分使える、ということで登場させた次第。言わば対地攻撃任務に転用されたタイフーン。当然新しい方のエアブラシは"テンペスト"と呼んで、、、んなこたーない。 

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これでめでたく上翼と下翼の斑点模様の大きさ、ボケ具合が揃った。

それはいいが、対地攻撃、じゃなかったタッチアップを交互に繰り返すうちに胴体と下翼だけ全体に緑がかってしまっている。イエローオーカーの方が塗料としての隠蔽力が低いということだろうか。

ううむ、どないしよ〜と一旦頭を抱え込む。
まあ上出来な上翼が一番目立つので、影になる下翼は下手にいじらないでおこう。胴体の方の色調はあとからどうにでもなるのだから。。。

 

  

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