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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「コクピットがなければ始まらない」レベル1/72 ファルコ -2

どんな飛行機もコクピット(=操縦席)がなければパイロットが操縦できない。
パイロットが操縦しなければ飛行機は空を飛ぶことが出来ない(一部例外を除く)つまり、コクピットはなにより大切だ。

一部例外 f:id:sigdesig:20190805145249p:plain

 

 ファルコのキットのコックピットはただのL字形をした椅子だけ。その他はスッカラカーンの遊園地の遊覧飛行機状態。大切なコクピットがさすがにこれではちょっと寂しい。

なのでイチから作ってやる。
計器盤、床板とシート操縦桿などをプラ板や伸ばしランナーでそれらしく。実機は鋼管羽布張りなのでフレームを適当に張り巡らせる。胴体が筒抜けになってはカッコ悪いのでパイロット後方に防弾板。資料では未装備となっているが、実機写真では装甲プレートらしきものも見えるから後付けされた可能性もないではない。デフォルメ、デタラメ、デッチアゲ、先述の「3デ」がフル回転。楽しい楽しい。

コクピットは1/48位だと精密に作る楽しみも出てくるが、1/72なら完成してチラっと見えた時に「お、なんかコチャコチャっと見えるナ」程度で充分と割り切っている。「実機通り」でなくても「実感」が出てれば自分としてはOK。これもまあ人それぞれだろう。誰だい、デジカメで撮って拡大してケチ付けようなんて言ってるのは。。

 

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ともかくもコクピットを終えないことには胴体を張り合わせることが出来ないのだから、ここであまり根をつめてしまっては先に進めない。前回は下ごしらえが大事、などと偉そうなことを言っておいてナンだが、人間あまり単調な作業が続くと飽きがきてしまう。

自分の模型作りにおいてはまず最初に何らかの「動機」(モチベーション)によって「情熱」が創生される。その「情熱」はおそらく「総量」が決まっていて、製作段階でそれを少しづつ消費カロリー的に失っていく。
「情熱」が枯渇すると製作意欲をなくして模型作りはストップしまう。そんな理由からだろう、自分の作りかけのキット(沢山ある)を後から見ると、難関難所ではなく、妙な段階で中断しているものが多い。だから戦車や船など大量の細かいパーツの製作が延々と続くジャンルの模型作りは自分は大の苦手。T-34のキャタピラを一個一個作った時は途中で幽体離脱しそうになった。

なので、「初期段階で力を注ぎすぎない」これが自分にとって完成に至るコツだ。また、要所要所で「形にする」「実機開発史などを読む」などして精神的な栄養源を随時補給し、情熱を保ち続けていくのもいい。形にしようと焦ってパーツを組み込み忘れたり、資料の新事実に気づいたりして、一瞬で情熱の炎が燃え尽きてしまうことがある、よくある。

 

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ところでイタリア機の機体内部塗装色は何色だろうか。手元の資料ではピーグリーン(豆緑色?)とある。タミヤイタレリMC200インストではスカイ+グリーン、ハセガワのMC202の指定色はクレオスの312グリーンFS34227(イスラエル機用カラー)今回は安易に312を選択。

フタを開けて見ると、おお確かに豆緑色だ。色目としても英米機や三菱機などと同じ、ジンクロメート系の範疇だ。英国のファルコ復元機ではブルーグレーにも見える。変色?退色?したか、そもそもオリジナルかどうか。この辺りになると「何が真実か」よりも「何を信じるか」になってくる。

よく他人の完成品を見て「こんな色じゃなかった」「これはウソ」などと言ってくるオッチャンがいる。当時の生き残りパイロットというなら別だが、大方は「ワシが一番正しい」とマウントしたいだけのオッチャンで、自分は彼らを「マウントヒヒ爺い」と称して知らん顔をきめこんでいる。

どんな最新の考証もその時点での一説に過ぎず、それが定説になった頃にはまた次の最新説で塗り替えられることもある。だいたい塗装色の真実の探求に何年もかけていては模型が進まない。その時点で見切りを付けた結果が完成品だ。気楽にいこうよ。

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ともかくも胴体を張り合わせる。

前述した通り、1960年代のキットとしてはこのレベル社のファイターシリーズは「はめ合わせ」自体は良好で助かる。これが同年代のエアフィックス社やフロッグ社あたりになると大違いで、左右の胴体に盛大な隙間が開いたりして、組み上げるだけでどえらい手間が掛かる。その都度「情熱」が削り取られる。そういう古いキットは完成したというだけで実に尊い。自分などは手を合わせて拝んでしまう。もはやご神体レベルだ。正視できない、という意味ではないよ。

形になった胴体を四方からしげしげ眺め回す。なんだか機銃口あたりが少しノッペリしてるのが気になる。側面を軽く彫り込んでそれらしく整形してやろうとデザインナイフの刃をあてた。

形状修正など普段は絶対に手を出さないのだが、今回自分が保有していた「情熱総カロリー」「カツ丼レベル」だった様だ。やはりノルマとかではなく、自分の心の中からフツフツ湧いてきたモチベーションというのは強かった。

とはいえ、うかつにパテなどで盛り上げてしまうと翼の支柱取付部との辻褄が合わなくなってしまうからそこまでは追い込まない。それくらいの女ギツネ的用心深さもあわせ持っている。

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削っているうちになんだかカッコよくなりすぎたような。。。

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なので、あえてダルにして雰囲気を出す。この辺はまあセンスというか、感性というか。デタラメながらも「いかにもイモ、、、イタリア機っぽい」感を表現する。

実機はどうなのか?それがこの辺は上翼が被っているので実機写真を見ても形がよく分からない。つまりそれは模型でもよく見えないということだから適当なところですましちまおう。。。 とタヌキ親父的横着さも見せつつ夜は更ける。

 

といったところで今回はこの辺で。