sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

モンスターのしっぺがえし

しばらく自転車の話ばかりだった。

実際、この秋冬は、やってきたミニベロをいじったり近所を乗り回したりしていたのである。当初の目論見通り、災害復旧工事に忙しく腰の方も一進一退だった自分にとっては丁度いい短時間の外遊びとなった。それはまた追い追いの話にするとして、時間を一旦「今」に戻そう。

 「明日は晴れ、気温も上がって四月並みのポカポカ陽気でしょう」

お天気キャスターが嬉しそうに言う。こんな日にエンジンに火を入れないのならバイクを持っている甲斐がない(自分のブログでは「バイク」といえば「オートバイ」のことであって、「自転車」のことではない。為念)、とばかりに実に5ヶ月ぶりにモンスターに乗ることにした。まだまだ「単車乗り」から引退する気は無いのだ。

エアを入れ、シートの埃を払ってバイクを引き出す。完治したとはいえない足腰はやや心もとないが、無理せずほんのすこしそこいらを回って帰るだけ、、、
のつもりだった。

ところが、またがってしまえばこっちのものである。徐々に筋肉や神経が目覚めてゆくのがわかる。身体がバイクを覚えているのだ。

やはりバイクは自転車とはまた違った楽しみがある。自分はとしてはそう思う。加速の痛快さ、コーナーをトラクションを掛けてクリアする愉快さ、頭の中に一斉にファンファーレが鳴るような多幸感はバイクならではだ。

テッテレテー、ヒャッハー!

あまりに気持ちがいいので止せばいいのに欲を出して少し足を伸ばした、、、
のが余計だった。

河川敷の公園の駐車場でバイクから降りたら掛けたつもりのサイドスタンドが浮き砂利でも噛んでいたのかカックンと外れた。(バイクあるある)一瞬支えようとしたものの自分の足腰は地球大王様の絶大なる引力にあえなく屈服、すなわちモンスターはゴロンと横倒しになった。いわゆる立ちごけである。

心配して近寄ってきてくれたオジサンを大丈夫大丈夫と片手で制する。腐っても限定解除、何のツインの800ccごとき起こせぬことなどあるものか、と引き起こすも、途中で腰痛を思い出し「あこらアカン」と力が抜けかける。しかし、ここで止めたら金輪際起こせないのは分かってる。「ふんぬう」と忿怒の形相で押し上げきる。

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引き起こしたモンスターを平静を装って点検する。クラッチレバーの先端が折れ、シフトステーがひん曲がっているが、幸いタンクは無事の様である。やれやれ。
こんなこともあろうかとクラッチレバーはスペアをバイクに常備しているんだよ、古代クン。帰ってすぐに修理をしようじゃないか。
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このスペアパーツを過去に探した時にはその型番がわからず苦労をした。
実はこのクラッチレバーはモンスターM800の純正ではない。友人から貰った初代モンスターM400改M520からの遺品で、今のM800に乗換えた時にブレーキ共々マスターごと移植したのだ。初代からのパーツを可能な限り装着したかったのだ。サイドカバーやフロントカウルもかなり無理をして取り付けた。今考えるとアホなことをしたものである。

この調整ダイヤル付きのブレンボ、ようやく突き止めた正体は同じドカティのスーパースポーツ"916"のものであった。つまりそもそも初代モンスターの時からしてすでに純正ではなく移植モノだったということだ。これはつまり先代オーナーである友人Mの仕業に違いない。すでにその時点であまり賢明とは言い難いが、Mとは同じ高校なのでオツムの残念具合も同程度なのは致し方ない。(しかも毎度補習仲間である)

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今回、初めて自分でレバーを交換してみて、クラッチレバーの基部の下にマイクロスイッチが潜んでいたことに気づいた。これは推測だがクラッチを握らないとセルが回らない、等のフェイルセーフ機能が純正状態では備わっているのだろう。"916"のレバー基部にはマイクロスイッチを作動させる部分は当然ない。これでは常時フェイルセーフ機能が働いていることになって永遠にエンジンは掛からないはずだ。おそらくレバー移植時に配線元で機能を殺してくれていたのだろう。

自分がこれらを移植した時には購入店に「レバー類は納車整備のついでに付け替えといてね〜」なんて軽く言ったのだ。たしか追加料金も請求されなかった様に思う。だが、裏ではこういった苦労や面倒があったのだ。
シロート客というものはえてしてそうしたものである。なんでも簡単に考えていて、いたって馬鹿で呑気の極みだ。何万キロも走ってようやく気付いた次第だ。ここに当時のメカニックやお店にお詫びと感謝の言葉を捧げたい。平井店長その節は迷惑かけて済みませんでした。ありがとうございます。

というわけでクラッチレバーは無事に交換終了、やや曲がったシフトステーはメガネレンチを差し込んで曲げる。5秒で直した。

 

モンスターめ、こちらが自転車ばかりにウツツをぬかしているからヘソを曲げやがったのだろうか。こんなことでくじける「単車乗り」ではないぞ、と腰をさすっている自分である。。。

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「ふん、そっちが悪いのサ」