sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

いざ東京

天気は上々。最寄りの駅から新快速に乗って京都駅
 
リュック+ウエストバッグの旅装は実に軽快なフットワークをもたらしてくれる。靴も服も普段着でノンストレス。これなら今日のハードスケジュールも悠々こなせそうだ。
 
平日朝8時の東京行き「のぞみ」といえば列車はスーツ姿であふれている。
車内に漂う殺伐とした空気はジャパニーズビジネスマン達が戦場へ向かう上陸用舟艇がごときである。。。
 

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かのみどりの窓口が才媛 」オフェリアが練りし旅程、これをエクセル表にして列車名や発着時刻、指定席からホーム番号まで記しておいた。A5サイズでプリントしたものを二つ折りにして胸のポケットに入れてある。素早く片手で取り出して乗るべき列車、座るべき座席を確認できる。ブリリアント。

 
呑気に景色を楽しめる様にと窓側の席を予約しておいた。案の定、隣には「あばれる君」みたいな顔をした中年ビジネスマンがどっかと座ってきた。
 

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少しでも休息をとるべく険しい顔のまま目をつぶっているビジネス客の隣で、
自分はといえば車窓からの景色を楽しんだりして、段々と「旅気分」が乗ってくる。
富士山を眺めながら、サンドイッチを食す。周囲のサツバツをよそに、うまいうまいと平らげてやった。うははは。
少し早いがこの時点で軽食をとっておけば昼は遅くて済む、という算段だ。
新幹線といえばパサパサのサンドイッチという小さい頃からの刷り込みも、
もちろんあるのだが。 

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二時間以上を座りっぱなしだと流石に腰が辛い。
「中年あばれる君」が電話をしにデッキへ出たタイミングでこちらもトイレに行って屈伸運動をしてきた。
 
そして東京駅に到着。さすがに混み合っている。
無闇に動かず脇目も振らず一目散に中央線ホームへ向かい快速に乗る。
 
25年ぶりの東京、と言っても特段大阪と変ったところはない。
電車のつり革の色がブラックな程度だ。これは手垢が目立たぬ工夫だろうか。
目の前には日本全国どこでもいそうな、じいさんとばあさんが座ってる。
 
東京は綺麗な女性が多い、と以前は思ったものだが、今回、特段そうは感じない。
この数十年で美人が全国に蔓延したとも思えないから、
こちらがもはやそういうもの=「美人」にいちいち敏感に反応しない歳になってきたということだろうか。それはそれでやや寂しい気もする。
 
そうこうしている間に「吉祥寺」駅着。
少し緊張しながら有人改札口で駅員に切符を渡す。
以降はこのレール&レンタカーの切符で途中下車、途中乗車を繰り返すことになる。
 
降りて見ると駅のショッピングモールがなんだかえらくコ洒落ている。
おお、やはりお江戸は洒落ておるなあ、などと浮かれている場合ではない。
ここでは
  1. 「花屋を探す」
  2. 「コインロッカーでカバンを預ける」
  3. 「タクシーを拾う」
という「ミッション」がある。
 
「ほんなもんスマホで難なくクリアじゃ」
とタカをくくって挑んだのだが、平面地図だけでは花屋が何階にあるのかわからない。
「フラワーマーケット」だか何だかの店名も紛らわしい上に遠目にはどう見ても花屋みたいなグリーン溢れるオープンスタイルカフェのお陰で何往復したことか。
 
ようやく探したフランス語の店名のコ洒落た花屋でじじむさく「仏花」を買う。
関西人は臆面もなく花屋のオネエチャンにコインロッカーの場所を聞き出した。
行って見ると手持ちに百円玉があらへんがな。
 
先ほどの花屋まで戻ってスンマヘンスンマヘンと両替してもらう。
もう大阪のオッサン丸出しである。
だったらさっき千円札で支払えばいいじゃんかさあ、
なんて顔はオネエチャンさすがに東京人からしない。
 
百円玉を握りしめてコインロッカーに戻ると今度はバックパックを背負った若い西洋人男女に声をかけられた!ワオ。
「ワ、ワタシ吉祥寺シラナイネ」と後ずさるが聞けば彼らの質問はロッカーの使用期限のことであった。
拙い英語で注意書きを訳してあげたが「I got you」と言ってたのでまあ通じたんだろう。2020年のオモテナシを前に東京都はまだまだなすべきことがあるようだ。
「エエ旅シナハレヤ〜」と声をかける。
「Thank you〜」彼らはお礼に「ぎん の ゆみや」をsigにくれた。
テテレテッテテー、sigの「こうげきりょく」が500になった。んなこたあない。
 
と言う様なトラップ満載の吉祥寺ステージクリアに結局30分もかかる始末である。
 
次にタクシー。
駅から出て見回すと道路の向こう側にタクシーが並んでいる。
首尾よくやってきたハイブリッドなタクシーに乗り込んで運転手に寺の名前と住所を示すが、ドライバー氏はしきりに首を傾げるばかり。やおらナビを操作しだした。
はて、親戚の話では「有名な大きなお寺」ということであったが。。。
 
何分くらいかかるか?と聞いたらこれもナビを見て「15分と出てますね」
と河童に屁のコダマを抜かれたような返事だ。主体性もなければ威勢も良くない。
「へいッガッテン承知の助でぇ」くらい言って欲しいものだ。
 
走るうちに吉祥寺は「東京で住みたい町ランキングNo1なのだ」とのらりくらりと自慢された。確かに駅のショッピングモールも井之頭公園を抜ける街並みの雰囲気もコ洒落ている。
まあ死んでからコ洒落た街ランキングNo1に墓を建てられても仕方ない。
だいたいジイさんは山奥でイノシシやらキジやらを鉄砲で打っていた猟師である。
 縁側にタヌキの毛皮を敷いて干し柿を齧っていた姿を思い出す。
 
15分、と言ったタクシーはなかなか着かない。
なんだか住宅街の細い路地の様なところにドンドン入り込んでいく。
 
「目的地に到着しました!」
 
ナビが高らかに宣言するがあたりを見回しても寺なんぞ一軒もない。
「あれえ」とばかりに周辺を一回り、とある寺門らしきの前で停まった。
これ寺の名前が違うけど。。。
運転手はしかしナビを指して「ここで間違いないデス」と断固主張する。
・・・なんじゃい君はナビの子分かよ。
 
これ以上ウロウロされてメーターばかり上がってもかなわないので降りることにした。結局30分以上、料金も倍ほどかかっている。
 「クモスケ」という単語が脳内にちらつくかざるを得ない。
検索サイトがいい加減なのか東京のタクシーは総じてこんなものなのか、たまたまこの運転手がいささかブレインレスなのか、自分にはわからない。
 
降ろされた寺で呼び鈴を押して尋ねると「それは二軒先のお寺だよ、ガチャンツーツー」いやホントにRPGめいてきたな。