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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

レール&レンタカー

レンタカーを借りたことはあるが自ら予約などをしたことはまだない。

レール&レンタカーというサービスがあることを知った。レンタカーをセットで申し込むと、旅程のJR運賃が2割引される。これはうってつけだわい、と思ったものの、何かとややこしかったのである。。。
 

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列車は乗換サイトのオススメルートを見る。

これは最短時間で乗り継ぐから、駅に不慣れで迷ったり、トイレに行ったり、
弁当を買ったりする時間はこちらで考慮しないといけない。
特に木曽へ向かう列車はそう沢山はないから乗り損なうと大きく旅程が狂う。
 
これをみどりの窓口のオネエサンに口頭で伝え、その場で比較または取捨選択する、というのは脳内の柔軟さに欠きつつある五十代自営男性にはイバラの道のりに思えた。そう思えた自分はエクセルで旅程表を組んだのである。
 
各駅間の所要時間を入力し、自動計算でそれぞれの行程で発着目安を出す。
それでいくつかパターンを組んで並べる。列車の予定はおおよそそれで決まった。
 
レール&レンタカーはレンタカーを先に予約する必要がある。
マーチクラスを頼んだらは当営業所は扱いがなく「軽」または一つ上のラティオになる、と返事があった。

ロッジまでは山坂道だから「軽」では心もとなく思ったが、セダンのラティオではブサイク、、いや大げさである。考えてみれば荷物はリュック一つきりだから原付でも十分な位である。駅レンの取り扱いにスーパーカブはあるはずもないから軽自動車でよしとした。1人旅にゼイタクは似合わんだろう。
 
レール&レンタカーは現在のところネットだけでは完結しない様で、みどりの窓口に並ぶ必要があるという。イマドキではないなと思ったが、仕方なく最寄りの駅に行ってみたら、窓口は列をなしていて待つこと数十分。
 
複雑な経路と依頼だと思ったが、準備していたエクセル表を渡すや、窓口の女性(やや英国ラファエロ前派風)は瞬時に当方の意図を理解し、テキパキとこなしてくれた。
この職業はそうとう聡明でないと務まらないだろう。


レール&レンタカーは全行程が一筆書きであるのが条件、というナゾの制約はあったが、元々すべてJRで東から西へ順番に動いて行く、という合理的ルートだったことが功を奏した。
 
とはいえ時間はかかる。
長蛇の列がさらに大蛇となって自分の後方にトグロを巻き出した。
 
窓口は全部で三つあるのだが、そのうち一つはクローズされているのが元凶だ。
残りの窓口にはオジイサンが一人、これまた複雑な案件を持ち込んでいる様で
JRの係員が二人掛かりで対応だ。研修中の若い女性に年かさの駅員が手助けしている。
 
すぐ後ろのオバサンが右から左からしきりにこちらの手元を覗き込んでくる。
後ろの方々には恐縮だが、自分はなにも無理難題を吹っ掛けてるわけではない。
事前にエクセル表を作ってそれを担当の女性に渡してあとはお任せします、だから、
むしろ極めてスムースに事が運んでいる方である。
ブリリアント」英国人ならそう表現するだろう。
  
ややあって列の中程から
「こんなに並んでるのになんだ!!」
という怒号が飛んだ。
 
年かさの駅員はモーシワケゴザイマセン、と通り一遍のご挨拶を返す。
 
気持ちはわからないでもない。

窓口が一つ塞がってるのはお互い遺憾なことだ。急いでいるのならお気の毒さまではある。そもそも単純な切符購入ではないからこそ、こうしてみんなみどりの窓口に並んでいるのである。時間がかかるのはお互い様とアキラメるよりほかはないだろう。

 

しかし怒号の主の心中に「俺の番が回ってこないのは前の客どもがややこしい事を言ってるからだ。怒鳴りつけておどしてやろう」なぞという様な気持ちがあるのなら、そいつはちょいと筋違いだろうぜ。。。


という様な意思を目線に込めつつ肩越しに見やると赤フチメガネを掛けたラサール石井みたいな白ジャケット姿の男が顔を赤くしている。ツンととんがったワインカラーの靴までじっくりと見たが、赤メガネは視線を合わそうとはしなかった。自慢ではないがこういう時の自分は、とっても目付きがよろしくないらしい。
 
ついでにさっきからわが旅程表を覗き込んでプレッシャーかけてくるオバさんもどんなお方なのかと拝見する。こちらも先からあらぬ方角を見て固まっておられる。
  
しばらくすると裏からJRの職員が出てきて列に近寄って数人を自動券売機に誘導し始めた。「新大阪発東京行きのぞみ指定席」程度なら券売機で買えると看板にもある。
 赤メガネもそっちへ向かった様だ。

 

ならば最初からそっちで買えば良かったろうに。
自分の無知を棚に上げてアホウドリみたいにガーガーわめいてはスマートさに欠ける。
いくらお洒落をしててもそんなにイキリ立ってちゃあダンディには程遠いだろう。


ようやく乗車券が出てきた。

割引額が事前に自分で計算したよりも大幅増加になっている。レンタカー代が24時間丸々浮くほどで、コレは望外の収穫である。

英国ラファエロ前派風な窓口女性はやはり有能だった。誠にウェルダンである。

見ると乗車券は妙な場所が折り返し地点になっている。実際の旅程には影響はない範囲で最大限の割引となる様、彼女がうまくルーティングし直してくれたらしい。
後列の馬鹿客の怒声にも臆せず、眼前の顧客に集中し最大の努力を払ってくれたのだ。
これを天晴れなプロ意識と呼ばずして何と言おう。

いやはや、エクセレント。実に、スプレンディッド
 
ともかくこれで予約すべきは全て予約し指定も取った。
あとは各列車に乗り遅れない様にすれば良いだけだ。
 
そこがまあ、緊張するところではあるのだが。