自分は意気地なしだ。
怖がりで小心者だ。
そんな人種がバイクに乗っているのは自分でも不思議な気がする。。。
「俺だけは大丈夫」など根拠なく思い込んでいるわけでもない。
むろんコケるんじゃないか事故るんじゃないかといつも考えてる。
しかし、そうクヨクヨしていてはいつ迄たってもバイクに乗れない。
「怖れ」はぐいっと脇に押しよけ、尻を上げ身支度する。
プロテクター付きのウエアを着込み、革ジャンを羽織る。
バイク用の時計を腕にはめ、ブーツを履く。
段々と「気合」が入ってくる。
身が引き締まっていくと共に気も引き締まっていく。
その時間が好きだ。
ヘルメットのアゴ紐を締め、グローブの留め金をはめると、
心はもう鎮まっている。
心はもう鎮まっている。
バイクのエンジンに火を入れる。
排気音や電圧、タイヤの空気圧などをチェックする。
走り出すと恐怖にザワザワと浮ついていた自分自身が遠のく。
走っているうちに、やがてあらゆる瑣末な事柄が静かな意識の底に沈んで、
関心事はバイクと自分と見えるものしか無くなる。
危険を常に認識しつつも、自分の走りを客観視している。
関心事はバイクと自分と見えるものしか無くなる。
いつのまにか静かな水の様な心になっている自分がいる。
その状態になった時の自分に信頼を置いているから、
今日も安心してバイクに乗れるのだ。