sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

白い鈴木

いつもの山道をのんびり二人で下っていた。

前を行くのはでかいニンジャ。
 
ミラーにバイクのライトが二つ映ったな、と思ったら、あれよあれよで車間がつまる。
信号待ちでその二台は左手を上げ会釈しながら我々の前に出た。
男女はどちらも白いスズキのバイクだった・・・



 

 

詳しい車種は、よくわからない。
スズキの車名はたいがいGで始まってあとはSとXとRの順列組み合わせで、
物覚えの悪い自分には覚えられない。
唯一の例外は「隼」、、、アレは形がアレなのですぐわかる。
女性の方は小柄でバイクはなんだか「キャシャーン」みたいだった。

あの二台。。。
たしか山道に入る手前の道に面したコンビニの駐車場で止まっていたな、と気づいた。
だとすれば、相当の差を詰めてきたという事だ。
どえらいペースの違いである、、、我々とは。
 
信号が変わると、それは明白になった。
ヒラリヒラリと鮮やかにコーナーをクリアして行くその二台。
まるで糸で繋がったように一定の車間を保ったままだ。
フィギュアスケートのペアの見事な演技を見ているようだった。
「ロドニナ・ザイツェフ組」などという太古の名前が思い浮かんだ。
 
コーナーの度に引き離される我々。
つられてニンジャのペースがやにわに上がる。
ヘルメットの中で苦笑、

「止せ止せ、俺たちがついていける相手じゃない」

あんまり無理をして転倒されて巻き込まれてはたまらない。
アクセルを抜いて不参戦の意思表示。
 
やがて白いスズキの二台は見えなくなった。