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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

SEIKO 5_その9「星の真の実力」

SEIKO 5 「星の2号」のデータを月曜から土曜まで6日間連続でとってみた。

貧相な腕で申し訳ない

月曜朝に2分(150回くらい)振ってゼンマイを巻いて、あとは日中12時間着用、夜12時間は机の上に平置き。これを毎日繰り返す。自分は事務作業中などは時計を外す方だが、データの均一性のために我慢してずっと腕につけいていた。

これでどこまで持つか?そして精度は?

結果、このSEIKO 5「星の2号」は途中で一切ゼンマイを巻くことなく一週間を乗り切った。連続稼働時間160時間を越える。(腕につけてる限りは延々動くんじゃないだろうか、と思う)

土曜の夜8時頃に外してそのまま日曜はお休み、ということで丸一日平置きで放置。

そうするとその夜中午前4時に停止していた。腕から外してからはだいたい30時間後だから実際のパワーリザーブはもっとあるはずだ。稼働時間はまずまず実用範囲と言える(オイラみたいな週休6日のいたって昭和な稼業なら・・・だけど)

さらに精度は6日後の土曜までの週間累計誤差が+47秒・・・つまり・・・

平均日差8秒弱、という望外な数字だ。

一週間使って土曜の夜の時点で47秒、それはつまり分針で見て「ああ遅れているナ」と認識できるかどうか、といった程度である。少なくとも自分の実生活ではほぼ無視できる誤差だと思う。現在でも毎週月曜の朝に時間を合わせて2分ほど振っておけば何の問題もなく使い続けられるだろう。冠婚葬祭専用だけではなく、愛用のハミルトンのスーパーサブとしても十分使えそうだ。

こちらは愛用のハミルトンオート(自分の個体は精度は良くて日差3秒くらい、パワーリザーブはおおむね40時間)

ただし今回SEIKO 5 「星の2号」の日差は最大+19秒、最小-3秒と結構バラ付きがあった。零細自営であるところのブログ主の日中の活動量は日によって大きく違う。柴犬のごとく走り回る時もあればコアラの様にグダグダ過ごす日もあるからそれが原因かもしれぬ。しかしまあmaxの20秒プラスと考えても新品時のカタログデータ内には収まっている。

50年の時を経た機械が、である。大したものだと言っていいだろう。これが1,800円、もう誰がなんと言おうが掘り出し物に間違いない。

「最初にそっちを買っていレバ良かったんや」・・・ってな事は言っても無意味だ。同じタラレバを言うのならむしろ、「どーせ中古なんて似た様なもんや」なぞと諦めてタラ、こいつには巡り会えなかったんだ、と思いたい。

しかしこの精度、人為的に調整されている様な気もする。

現代の7s26キャリパーは完全に機械組み立てになっており無調整で出荷されるようになった、と聞く。逆に考えれば70年代当時は出荷前に人の手による簡単な調整があったのかもしれない。

いや、だとしても現在に至るまで50年間も工場出荷時の機械精度を保持出来るものなのか?

裏蓋を取った時の状況(1号ほどではないもののサビて固着していた)を見る限りでは近年はノータッチのはずだ。

あるいは新品購入後10~15年ほどで一旦オーバーホール&調整、その後ほどなく買換えたか何かで30年ほどお蔵入り、、、今回人手に渡った、という推理はどうか?

しかし、頑丈かつ安価な普及品であるSEIKO 5に高額な費用を掛けてまでオーバーホールする人はそんなにいないとも思われる。

いずれにせよこの「星の2号」は大事に扱われてきたことに違いなかろう。ケースも綺麗だし、持ち主のイメージは「真面目」「謹厳」といったところか。