まあ、そんなこんなで今の趣味はカラオケアプリである。
おっさんくさい、暗い、ひきこもり、なんと言われても本人いたってご満悦だ。
第一に、大きな声を出して唄うと気持ちいい。ストレス解消になる。
ブログ主の住処はやや猥雑な地域に位置する。繁華街とまでいかないが、前の道には店舗が軒を連ねていて隣がカラオケスナックだ。住環境としては理想的とはいえないかもしれない。ただし自分が部屋で大声出すとなれば好都合である。閑静な住宅街やマンションではそうはいかないから、むしろ恵まれているとさえ思い始めている。家人の手前、和室の引き戸に遮音シートと吸音パネルを貼って簡易防音を施し、思う存分歌っている。
第二に、
背景画像を選べる機能が実に楽しい。唄ってからその曲に合う画像を自分で撮った写真ストックの中から探してスライドショーを楽しむ。
ほとんどの人はネットで画像を入手しているようだが、プロの画像は綺麗に整いすぎていてピンとこない。さして上手くもない写真だが拙い自分の唄にはお似合いだ。わざと自分のバイクが映ったものを入れておくのも「自分」にこだわっているからだ。
もともとツーリング中には頭に音楽が流れてたりするタイプである。
撮った写真はみなそれなりに旅情と言うのかどこかPoeticな要素を備えていると文字通り自画自賛しているのだが、いかがだろうか。
これらを見て、「ヤラセ」だの「撮ってるの想像すると笑える」だのと嘲笑する輩もいた。
「詩心」というものを持ち合わせていないとみえる。全員チョキを出した記念写真以外は理解できないのだろう。やれやれだ。まあそういう連中は自分の写真を見なくても別に何も困らず生きていけるだろう。自分もまた、そういう人達と付き合わなくても何も困らず生きていける。お互い快適だ。
バイクを離れても「詩心」は常に持つようにしている。これは電車で旅行した先での一葉。見ず知らずの女性だが佇まいが良かったので遠くからフレームに納めさせていただいた。
仕事からの帰り道。別に一眼レフ抱えて北海道に行かねばならんというわけでもない。
なんてことのない近場の風景でもこちらに「詩心」さえあれば良いと思っている。
空を見上げる気持ち、道端の草花に向ける目があればいい。
しかし、限られたストックの中からでは歌詞の内容に合ったものを探しきれない時もある。これは近くのJRの踏切で撮ってきた。
先日は桜の歌を歌った。歌詞の内容に合うような都合のいい場所があるかなぁ、と思ってたらそれがあった。
移転して廃校になった学校の正門の前が堤防に上がる坂道になっていて、そこに大きな桜の木がある。去年までは卒業生や新入生たちがその桜の木の下にたくさん集まっただろう。今はもう誰もいない。今年この桜を見上げたのはたぶん自分一人だ。
学校はいつか取り壊されるだろう。桜の木も切り倒されるかもしれない。何処にでもある人間の身勝手というやつだ。少なくともそれまでは俺が見にきてやろうと思う。そんな思いでこの画像を背景にした。
今までにない経験だった。実に面白かった。
カラオケで自分の好きな曲を唄う。
頭の中でその曲を流しながら、雰囲気に合う風景を探して歩く、自転車やバイクで走る。「おっ」と思ったら小さなカメラを向ける。
そうして撮った画像でMVを作ってアップロードする。
むろん自己満足だ、もはや自己陶酔か。ま、嗤いたい奴がいれば嗤えばよい。(しかし、ここだけの話だが、評判は悪くない)クリエイティブと言っていいと思う。何より楽しい。
右目の問題でやや終局に差しかかりつつあったバイクやカメラといった今までの趣味が、カラオケのMV探しという新たな軸が絡まることで、さらに複層的に楽しめるようになった。
なんだか心が豊かになった気がする。
そうだ車のグローブボックスに一軍落ちしたミラーレスカメラを入れておこう。なんてウキウキしている自分がいる。