sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

D510-18「時こそ今は、デボワチーヌ」エレール1/72製作記

花は香炉に打ち薫じ、最後の仕上げの小物類。

まずは主脚。

脚の取付けはそう簡単にはいかんだろうと覚悟していた。ステーの端部が主輪の軸を兼ねてたり、脚柱のダボとホゾが頼りなかったり、とかなり適当というか楽観的というか、甘甘なパーツ構成なのだ。そこは古い海外キットの事だから目くじらを立てるつもりはない。おおかた設計部のニコラあたりが経理のアンリエットにフラれた翌朝、二日酔いで物憂げに引いたやっつけ図面に違いない。

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デッ歯でツリ目の東洋人としては、ともかくも辻褄を合わせようとコマネズミの様に動かざるをえない。脚柱を作り直し真鍮線を埋め込む。ステー端部の主輪軸を少しだけ残して切りとばす。軸には伸ばしランナーを打ち込む。もう一度軽く取付穴を掘っておく。そうして各接合部の自由度を上げておいて、強度は瞬間パテと硬化スプレーと真鍮線に頼って一気に組み立てた。なもんで微妙に歪んでいる気もする。ま、許容範囲、許容範囲。

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固定脚のD510の主輪は薄いスパッツで覆われ、脚柱もステーも細長く華奢と、風を切って空を飛ぶヒコーキのプロポーションの一部となっている。粋で洒脱で美しい。フランス語でなら“エスプリ”という一語がふさわしい。

一方、引込脚の機体は地上姿勢では脚の内部構造が丸見えである。同時代のI-16やHe70などはデボワチーヌに比べると"無粋"かつ"野暮"という他ない。まあロシア人といえば"無粋"の代名詞みたいなものだし、ドイツ人の方は世界に冠たる"野暮"民族なのだから無理もあるまい。

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一旦取れてしまった水平尾翼を取り付ける。この時点でのパテ埋め、サンドペーパーはやはり気を遣う。とはいえ筆塗りなんだから大げさなマスキングなど不要。多少の凹凸は厚化粧と汚しで誤魔化せばいいんじゃないかなあ…とまたも精密模型から離れていく。

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水平尾翼の支持ステーの方はかなりボッテリしてたので真鍮パイプを軽く潰して平らにしたものに置き換えた。これも几帳面に測って4本作るなんてのは面倒だ。長いのを一本作っておいて現物あわせで切り出し、瞬間パテ+硬化スプレーでイモ付けしていこうよ、もう。…いつのまにかパリのアンニュイな空気に脳が馴染んできたようだ。

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尾輪ではなく尾ソリなのが時代を感じさせる。舗装の滑走路などほとんどなかったのだろう。

お次は風防…ん?…アレ?…あらら?風防ないぞおお!

今頃になって気づくのもよほど呑気だが、そう言えば風防パーツは今回の製作中は見かけなかったと思う。ひょっとするとこれが若い頃の自分が途中で挫折した原因かもしれない。

いや、しかし、弱ったなあ…今回で完成と意気込んでいたが、やはりそう上手くはいかなかったねえ。なあに、人生ってのはそういうもんさ…セ・ラ・ヴィ…

 

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