sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

サイクリングが好きだった

話は少々脱線する。

自分が中高生の頃は世の中はちょっとした「サイクリングブーム」。ドロップハンドル10段変速のサイクリング車なんかが大いに流行した。ブリジストンの「ロードマン」と聞くと覚えのある人もいるかもしれない。自分もメタリックイエローのミヤタ「ル・マン」であちこち走ったものだ。友人たちと琵琶湖の近江舞子まで一週間ほどのサイクリングキャンプ旅行を敢行したのが14才の夏休みだった。

それは、今思えばいささか無謀な企てだったのかもしれない。

何しろ友達だけで旅行に行くのも自転車で夜通し走るのもキャンプで自炊するのも初めての経験だった。母親は心配してずいぶんと反対したが、父親は何も言わなかった。何も言わずに、出発の夜遅くに荷物を自転車にくくりつける自分を手伝ってくれた。

夜半に家を出ると午前4時頃に琵琶湖の手前の峠に差し掛かる。ここは長い登り坂だ。軟弱な自分にはキツかった。(ブルーワーカーの広告に出てくる「運動が苦手でひよわなボク」そのものだった) ヒョロい脚で一心にペダルを踏みつづけるが、キャンプ道具満載の自転車は重い。何時間も漕いできて疲れきり、脚や膝はすでに悲鳴を上げている。

今にも止まりそうなスピードでよろよろと登るそのすぐ横をダンプカーの大きなタイヤと排ガスが通り過ぎる。途中で何度も投げ出したくなった。友人たちは先に行ってしまって後ろ姿もとおに見えない。テニス部やワンゲルの連中だったから体力差は大きい。こうなる事は最初からわかっていた。「大丈夫大丈夫ゆっくり行くから」なんてチョーシのいい言葉を信じた自分が情けない。

くそう、もう二度と来るもんか、と思った。

 それでも喘ぎ喘ぎ、その峠をようよう漕ぎ登った。

目指す空の端が白んできた。
朝焼けの琵琶湖が眼前に広がる。
薄紫色のグラデーションの空の下、キラキラと輝く湖面を目指して坂を下る。
「ペダルよ、あれが琵琶湖の陽だ!」
そのスピード!爽快感!達成感!
自分で漕いでここまで来たんだ。

いいいいいやっっほーう、、、また来年も来よう、、、、

 

そうして琵琶湖サイクリングキャンプは自分の夏休みの恒例となった。

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