愚痴ばかり言ってても仕方ない。
ともかくも働いて生活費の足しにしなければならぬ。還暦も越えたところだし、第二の人生の準備を始めること思いたったのは去年の正月頃。
家業ゆえあれこれのシガラミを捨て切るわけにもいかず、当面二足のワラジは仕方ない。だとしても、私利私欲にまみれたパワープレイと中間搾取に明け暮れるドケンギョーカイからは極力遠ざかった方面に行きたい。
むろん資格も経験も捨てこの年で再スタートとなれば現実的にラクな仕事はないだろう。しかし誰にも頼らずシンプルに一人の労働者に立ち帰り、ただ黙々と働きたい、なろう事なら世間の役に立つ仕事がしたい、という希求は以前より自分の中に強くあった。
そんな折、たまたま身内が世話になっている施設が人手不足に喘いでいると知った。
「ぜひお手伝いさせて頂きたい」
と申し出たところ、
「それは大変ありがたいのですが、、」
と申し訳なさそうな素振り・・・
・・・ああ、やっぱり還暦越えた土建業経営のオッサンなんか使いにくいんだろうなぁ、と思っていたら、
「さすがに身内同志ではやはり何かと気兼ねもあろうかと思います・・・
同業の他所に応募いただけたら、巡り巡ってこちらに人材も来ましょうし、お気持ちも無駄にはなりません」
と言われ、その視野の広さ寛容さに深く感じ入った。
以降、それなりに紆余曲折はあったが、ここで苦労話などするつもりはない。手短に言うと幸いにして別のところに雇って貰う事が出来た。
以上が去年の春頃の話。
さて実際に働いてみると・・・
やはり現業、肉体労働とは言わないまでも楽なものではない。初めての仕事で慣れぬのもあったろうが、最初の数ヶ月は正直言ってかなりキツかった。その後に網膜剥離を起こした時には「しまった無理し過ぎた」と唇を噛んだものだ(過労ではなく単に老化が原因と言われたのは以前に述べた通り)
ようやく一年が過ぎ、今では仕事にも慣れて随分落ち着いてはきた。それでも一日終われば身体はすっかり疲れ切っている。帰れば後はメシフロネルのみで21〜22時に寝て5時に起きる生活パターン。これが頑健とは言いがたい自分の身体に、この先どれだけダメージを与えるのだろう、と思わないでもない。
ともあれ夜の自由時間はほぼなくなり、休みや空いてる時間には工務店の仕事もある。模型を作ったりブログを書いたりなどは更に遠のいてしまった、という顛末だ。
まあ身体的にシンドイのは落差が大きく感じるのだろう。
考えてみれば通勤時間ゼロで移動は基本クルマ、安穏と事務作業をして合間に現場に行っては小一時間ほど立って見てるだけのグータラ自営業・・・今までが楽をし過ぎていたのだ。
今の仕事では一転した。「これが”働くということ”なんだなぁ」と我が身に沁みて感じる。もう少し早くから体を慣らしておけばよかったとも思うが、先延ばしして65や70になってイキナリだとそれこそ身体を壊して潰れていたかもしれない。
まだ体が動くうちに再始動出来て良かった。なまってた足腰も少しづつ活性化されてきて、身体全身が目覚めたような感じがする。
先日の健診では内臓脂肪などの数値が劇的に改善されていて驚いた。新しい仕事についてむしろ運動不足解消のメリットはあったということだ。(怪しげなサプリ飲むより身体動かして働けってことか)
そう、第二の人生の新しいお仕事、実はデメリットばかりでもない・・・
というお話は次回。