気付くと前回の更新より半年経っている。ブログや模型などはどうしても後回しになり誠に申し訳ない。 目の病気で眼精疲労が出やすいのもあるが、新しい仕事を初めてさらに忙しくなったのが大きい。
新しい仕事の前に自分のもともとの職業の話を少ししておかねばならないだろう。
自分の生業は建築関係、零細自営の工務店だ。といっても自ら汗水垂らして現場で働いていた訳ではない(街の小規模な工務店の多くは第一線の現場を引いた叩き上げの大工の棟梁などが経営している)ウチはただ職人さんを差配してマージンを取る。
それが父親から引き継いだ家業だ。友人に「手配師」なぞというひどい呼び方をされたことまである。実際、職人から搾り取り、客からかすめとって飯を食っている。「そんなこと、いちいち気に病んでたら商売にならん」とは父親の口癖だった。
職人だって当方がカナヅチと釘袋持って現場を踏んだ経験がないくらいはすぐ察知する。少しでも弱気を見せればたちまちナメてくる。そして財力権力最後には腕力が物言う我がドケン業界である。そこにダニみたいなフドーサンヤだの策略家の図面屋だのエゴ丸出しの地主だのが絡んでくる。自分のような何ほどの力も持たぬ押し出しの弱い男は、よほど抜け目なく才気走って立ち回らねばならない。
さすがに自分はそこまでは徹し切れない。
物を作ることは好きだから現場にいると楽しくはあるが、仕上がりにこだわるからか経費は嵩みがちだ。かといって懸命に働く気のいい職人さんを見ていると値段交渉を切り出せず、「一円でも安く」とうるさく言う客に追加請求するのも腰が引ける。すぐに大声で恫喝してくるコワモテ連中には歯が立たない。そうして釘一本打たぬ自分を恥じてついつい自らの利潤を削ってしまう。
気が弱いのか、バカなのか、たぶんどっちもなのだろう。
そもそも向いてない、とよく言われるが、家業なのだから選択の余地はないし、本人の向き不向きや好き嫌いなどはさらさら通じない。儲けは薄く、蓄えは減る一方、騙した騙されたの嫌な記憶だけが心の底に澱の様に溜まっていく。
さてはて、どうしたものか・・・