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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

冠婚葬祭用メカニカル

自分の相方同様、腕時計はチプカシやG-SHOCKで押し通すという人も多かろう。時代はミニマル、ライト感覚である。因習や一時的なトレンドやらに踊らされる事なく、無理しない自然体なスタイルは好ましく思える。21世紀的人間合理主義とでもいうべきか。

しかるに・・・

世には冠婚葬祭というものがある。

こういう方面はまだまだ合理主義は未開化で、やれ焼香の順番がどうの献花の並べ方がどうのとおどろおどろしい八つ墓村的世界が残っている。最近では「平服でお越しください」なんて葬式案内状も多いが、うかつに黒のタートルネックにジャケットくらいで行ったら目も当てられないほど浮いてしまう。

なので相応の年齢でまっとうな社会人のクローゼットの片隅には黒の礼服が吊ってあるものだ。それに合わせる腕時計となるとやはり、嫌でも前世紀の価値観を引きずったものにならざるを得ない。

さて、軽快な普段用チプカシとは別にコンベンショナルな腕時計を冠婚葬祭専用で持っておくのであれば、ソーラーなら日照不足、クォーツなら電池切れが心配になるのは前回書いた通り。ならば機械式(メカニカル)腕時計はどうだろうか、と考えた。ゼンマイを巻けばいつだってチクタク動くのである。精度はクォーツに劣るものの、2、3日内であれば実用上差し支えがあるほど狂うわけでもない。

そこで今回買うことにしたのはコレ。

[セイコー] SEIKO 腕時計 自動巻き セイコー5 ファイブ SYMK13J1 レディース 海外モデル [逆輸入品]

SEIKO 5逆輸入版。

SEIKO 5なんて往年の70年代の自動巻き、まだ製造している事にも驚いたが、新品でも諭吉一人というから更に驚く。電波ソーラー修理代を越えないのなら、と相方も納得してくれた。国内販売はないので逆輸入。まあSEIKOのマークを付けている以上、機械は信頼してもいいだろう。

実物をみると、ケースや文字盤の質感は望外に良い。華やかさや高級感は微塵もないが、雑貨時計とは一線を画している。実にキチンと普通の腕時計である。これなら冠婚葬祭で口さがない親戚のオバチャン連中に見咎められる事もなかろう。同窓生で腕時計自慢になったりすれば別だが(男はよくある)

価格で数倍する停まった電波ソーラー時計の横に並べても特に差は感じない。文字盤は小振だがデザインがすっきりしていてむしろ時刻がよく分かる、と相方は気に入った様子だ。自分などは巻ベルトという点が気になる。チャラついてエッジもやや手触りが良くないのが値段相応か。その点電波ソーラーはムクの上質なものだった。交換しようと思っていたが、これでいい、むしろ軽いのでこっちの方がいい、と相方は言う。

ベルトのエッジは3Mのサンディングパッドで軽く当たっておいた

まあ少々放ったらかしでも振れば動き出す、というところが何と言っても安心な様だ。奥方様は今日もチプカシを巻いてお出かけである。