てなわけでチープカシオがやってきた、ヤアヤアヤア。
薄い、そして軽い。
測ってみるとたったの20g。
普段愛用のハミルトンの自動巻きは革ベルトで70gほど、その1/3もないのだから、いかに軽いかがわかる。
実際、これだけ薄くて軽いと大袈裟ではなく着けているのを忘れる。着替えてメシ食ってそのまま風呂に入る時にようやく腕に巻いたっきりだった!と気づいた程だ。
しかしペラペラのヘナヘナである。相方のチプカシはレディスサイズなので薄くてもそれなりにバランスが取れていたが、コイツはちょっと・・・
あまりにヒョロヒョロ過ぎてブルーワーカーで鍛える前の貧弱な僕、といった趣である。
右上のコマが貧弱な僕
まあ作業用だから誰に見せる訳でもない。オモチャだろうが高級感に溢れていようが関係ない。とはいえ、どうも心理的な頼りなさを感じてしまう。無理な力が掛かると見るからにパキッといきそうだ。プラ風防もケースより出っ張っていて引っ掻きには見るからに弱い。車いじりや大工仕事など荒っぽい作業にはちょっと気がひける。
むろん、ブツけた時にチプカシ君の方が弱ければバイクのタンクなどを傷付けにくい。お客さんのバイクを扱うプロのメカニックならそういう考え方もアリだろう。
しかし、どうせ安いんだから、と割り切れないのが自分の貧乏性なところである。車の下に潜るときなど気が気でない。結局、作業用としては不採用となった。別にチプカシは悪くない、自分のミスチョイスである。
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というわけで、現在の作業用時計は以前使っていたシチズンのダイバーズ風。G-SHOCKの前に使っていたものだが、いつ買ったのか、いくらしたのか定かではない。ウレタンベルトが切れて工具箱に入れたままになっていた。試しに電池を入れ替えてみたら何食わぬ顔でコチコチ動き出したので使い古しのNATOベルトを付けて復活させた。
ゴジゴジに傷だらけだったベゼルは安手の柔らかいプラ素材、それがかえってガラス面やバイクのタンクなどを傷めずに済んだようだ。そう思えばメタルベゼルの本式のダイバーズよりも作業用には好適なのかもしれぬ。
ベゼルの傷は一旦削り落としてサンドブラスト風に仕上げてみた。文字盤の安っぽいマークもブラックアウト。ケースも既にハゲチョロけだからもはや何の気兼ねもない。傷だらけの補修跡だらけ、かえってプロの道具っぽい。
薄さ軽さはチプカシに及ばないが、38mm径だから大騒ぎするほどの事でもない。G-SHOCK よりも袖への収まりは良く、時刻は格段に見やすい。(その点では数あるウチの腕時計の中でも傑出している)防水もバケツで雑巾洗う程度なら10気圧もあれば充分すぎる。
軍装オタクと自衛官の差・・・みたいな風情
ケース本体は真鍮メッキの安物。とはいえ金属には変わりない。腕に巻いた時の適度な重みと剛性感はヘナちょこのチプカシ坊やとは段違いだ。G-SHOCKと比べてさえ心理的な頼もしさはコイツの方に軍配があがる。少々手荒に扱われてもビクともしまい。ブツけようが踏まれようが平気の平左。
「さあ、これからチョッくらハードな作業といくか」
「ああ、いいぜ」
と言葉少なに返してくれる、無骨な荒武者の平左衛門、そんな時計だ。
やはりハードな仕事にはタフな相棒が心強いと言うことが今更ながらわかった。例の災害出動の折にも見にくいGSHOCKでなくこっちを身につけていきたいと思っている。
夜の街でオネエちゃんに見せびらかせたい御仁の腕にはまるで向かないが、何度も言うが作業用である。ペンキの付いたGジャンやオイル染みだらけの分厚いコットンの作業着とベストマッチだ。昼になったら近所のパン屋でベーコンサンドとコーヒーを買って、地べたにへたり込んでお日様を浴びながら齧り付くのだ。
俺はそれで幸せだ。
別にそこまでして作業用の腕時計など要らんワイ、と言われそうだが、腕時計もせずにチンタラやっていて日没、真っ暗な中でキャンプの撤収せざるを得ず、周りに迷惑かけまくる、という憂き目は見たくない。君の事だよN君。