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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

ラッカー廃止令

歳も歳なので模型関係も断捨離を進めていこうと思っている。目の病気のことを考えると、この先、模型は出来たとしてもハイレベルなものは難しいと思う。(もともとハイレベルではなかろう、という点は一旦置くとして)1/72アクリルガッシュ筆塗りでのお気楽な無臭模型が自分のスタイルとなるはずだ。

無臭模型については色々と試行錯誤中ではあるものの、自分としては模型用具はほぼスイッチ可、とのメドが付いている。塗料は水性、接着剤はリモネン系と瞬間その他、パテは瞬間パテやジェッソなどなど。最大の懸案だった金属系塗料がファレホ・メカカラーの登場でブレイクできたのが大きい。

ここらでラッカー全廃のステップに進むことは可能と判断した。事実ここ2年、模型製作でラッカー系はほぼ使用していない。

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実は我が工房におけるラッカー廃止令の引き金となったのは、数年前にこの地を襲った震度6弱クラスの地震である。

自分の住む建物にはさほど深刻な被害は出なかったが、キッチンでは棚から飛び出した食器が相当数割れた。各部屋を点検に行くと色々なものが落下し床に散乱している。家具の揺れ止め金具などは被害を多少軽減してくれる程度のものだと知った。

模型スペースも同様の惨状でもはや足の踏み場もない。その中にはラッカーの溶剤や塗料も当然含まれていたのである。ガラス瓶が割れたり衝撃でフタが開いたりして中の液体が流れ出す事態には至っていなかった。だが、状況を見ればそれが単に「ラッキーだっただけ」という事はなんぼモデラーの馬鹿頭でも容易に理解できる。

地震と同時に起こった停電はやがて復旧した。この折にどこかでショートの火花が飛んで可燃物に引火、というのが地震火災のパターンである。床に落ちたドライヤーを見て自分は思わず首をすくめた。ラッカー廃止案が頭によぎったのはその時だ。無臭うんぬんよりもむしろ引火性を危惧してのことであった。

そしてとりあえずラッカー系の缶スプレーや溶剤のストック分は全てガレージへ移した。工房の方は念の為に小型の消火器を手の届くところに置いた。(ガレージには時々ガソリンをお漏らしになる伊太利人の作った変な単車があるので元々消火器は常備されている)

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そして今回、ついにラッカー系の全塗料、溶剤、パテ、接着剤などを工房内から一掃、工具箱に詰めガレージへ持っていった。落下による破損を防ぐため床に直置きだ。これらは早急にしかるべき方法で処分していこうと思っている。

ともかくこれで極めて安全無臭となった一畳半工房である。エナメル系や水性用うすめ液などの可燃物も多少残ってはいるが、ラッカー系溶剤の揮発性、引火性は格段の差がある。安心感が違うのだ。

無臭という点も大きい。こころなしか工房に漂う空気が清浄になったような気もする。しょっちゅう作動していた空気清浄機も最近では鳴りを潜めている。いまや最大の悪臭源は工房主自身ではないかという話もある。

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全部で200本ほどあった。

別にラッカー系の塗料はなべてこの世から撲滅せねばならん、などと言うつもりはない。カーモデルやエアブラシ主体だとまだまだラッカー系が主流なのも無理からぬ所だろう。これについては、それぞれがそれぞれで考えていく事である。