ウルトラ成分入りの注射のご利益があったのかなかったのか、なんとなく目の調子が良くなったような気がしないでもない、と言ってもやぶさかではなさそうな塩梅であるのかもしれない。よう知らんけど。
となると途端にバイクに乗って走り出してしまうのだから阿呆な生き物である。最初はマァちょっとご近所を試しにチョロチョロ、のつもりが気づけばいつもの山坂道。わけいってもわけいっても青二才、てな調子で走ってきた。
今季初の革ジャンを着込んでいったものの、山奥はずいぶんと寒い。そのぶん、紅葉が綺麗だ。せっかくカメラを替えたのに紅葉写真がないのは大変遺憾だが、いつもバイクを停める場所が工事中だったので致し方ない。山頂の休憩スポットも閉鎖されている。
さて走りの方だが、30分ほどの山道であからさまにブレーキングが遅れたことが二回、はしたなくもヒザを開いてしまったことが二回・・・流してたにもかかわらず・・・評価は?「ロ〜ボコン0点」と脳内のガンツ先生が告げる。「うらら〜」
いずれも深い右コーナー。やっぱり眼の影響のようだ。コーナーの奥行きが掴みづらく、スピード感覚も狂っている。通りなれた道でさえこのテイタラクでは初見のワインディングではどうなるか知れた事ではない。
山を越えて光秀の居城を抜けて山裾に広がる農地の中を走る。この辺りの開けた景色が好きだ。良さげな農道をみつけては入りこんで写真を撮ってみる。
遠くに山があって田んぼと畑がある、マ、なんてことのない田舎風景だが、空間の広がり具合になんとなく心がなごむ。ホッカイドーでもなければ信州でもない、そんな名もない場所に、見れば小さな椅子に腰掛けてスケッチブックを開いている御仁がいる。うむ同好の士にあらん。道端に古い軽のワンボックスがころんと停まっている。ヨシ、歳をとったらあの手だな。心密かにほくそ笑む。