sig de sig

万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

モンスター、起動セズ

それは春が春めいてきたある春の日のこと、ぬくぬくとした陽射しに誘い出されたブログ主は、ようやく冬眠から覚めたヤマネズミの様な顔をして、薄暗いガレージでとぐろを巻いていたドカティ・モンスターM800の黒い車体を外へと引き出した。

キーホールにキーを差し込んだのは実に3ヶ月ぶりのことであった。なのでセルだけ回ってエンジンが始動しなくても最初の2〜3回は別に気に留めなかった。冬の間にこれくらい放置してしまうのは毎年の事になっている。

しかしむなしくセルボタンを押し続けること十数回、メインスイッチやエンジンキーのオンオフを繰り返してもマスターキーを使ってもモンスターのエンジンは目覚める気配すらみせない。

ここに至って自分の眉間は少し曇り出した。

はて?バッテリーか?いやしかし昨年秋に新品に交換したばかりだ。トリクル充電器にずっと繋いであるし電圧を見ると余裕で13V後半を保っている。何度やってもセルは勢いよく回る。なのにL型ツインエンジンはクシュンとも言わない。

これは・・・普通ではないな。自分はやおら革ジャンを脱いだ。

セルが回るならイモビライザーやセンサー系では無さそうだ。シートを外しタンクを上げて各部をチェックする。ヒューズと目につく限りのコネクターを抜き差ししてみる。USB電源などの後付けの電装品はヒューズボックスでバイパス出来るようにしてある。しかし何をしてもモンスターは沈黙したままである。

引き出したモンスターをもう一度ガレージに戻しシャッターを下ろす。レース中継などでよく見る光景である。作業着に着替えた自分は工具箱を持ち出しライトで下回りを徹底的に調べつつ、もう一度脳内に原因たりうる可能性を羅列してみた。燃料ポンプ、コイル、配線、ECUユニット・・・ウインカー配線が軽くショートしてた事を思い出した。しかしその程度でエンジン周りの回線に影響があるのだろうか?

いや、まずは燃料系か電装系か切り分けよう。プラグをホールから抜いてエンジンにアースさせた状態でセルを回す。火花が飛んでいない。ああこれは電装系だ。念のためプラグを新品に交換する。全く同じ。前後気筒共にノースパークだから根は深いかもしれない。

自分の手には負えない事態であることを自分に言い聞かせる。

首の後ろ辺りにゾワゾワと微かな風が当たってる様な気がした。

自分はショップのメカに電話を掛けた・・・

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