さてニューポール・ドラジェNiD-622、である。
本機について工房主に知識はない、皆目ない。ニューポールといえば第一次大戦のニューポール17など一葉半のコンパクトな機体に機関銃一丁の軽快な戦闘機、というイメージがあるきりだ。
そういえば大昔にレベルの1/72でニューポールを作った覚えがある…マーキングはナンジェッセ…あれ?ルネ・フォンクだったかな?…とまぁそんなところだ。
第一次大戦で名を馳せた名門ニューポールだが、第二次大戦ではその名を聞かない、と思ったら1936年他社と統合、国営化されていた。ニューポールの名を冠した(制式陸上)戦闘機はこのNiD62シリーズが最後となる。
NiD62はWikipediaに日本語のページがない。日本においてはマイナーだという事だ。画像検索で写真を見つけたが「垂直尾翼がいかにも"ニューポール"っぽいなあ」くらいの感想しか出ない。他には「…ニワトリが描いてあるな」…これはスポンサーがコーンフレークメーカーだから、ではなくニワトリがフランスのシンボルだから…何にせよよう分からん国だ。
ではキットを見ていこう。
これは機首周り。目を引くのは下の方に三つ並んだ大穴。機首の穴なら普通は排気管だと思ってしまう。実は上に並んだ6つの小さなポチポチの方が排気管。
1-2-2-1と並びやがって、この野郎てめぇさしずめイスパノ12Mの排気管だな…とわかるのは工房主が先日同じエンジンのデボワチーヌを作ったからに他ならない。では三つの大穴は何だろう?
犬っころのようにクンクン嗅ぎまわってると箸でも棒でもなく資料にでくわすのだからネットの世界はありがたい。タダでNiD622の透視図を見ることができるとは思わなんだ。
ところが各部に振られている番号に対応する説明が削除されている。この辺がまあ、タダのタダたる所以だろう。
「ここから先は有料になります」とはネットで一番いけ好かない言葉だ。「貧乏人はゴーホーム」と言われてるみたいでさ、チェッ、スゴスゴ。
仕方ないのでナイ知恵を絞って見当をつける。クランクケースの横に見えるのがおそらくキャブレターだ…ソレックスだったりして…ナルホド一つのキャブで両サイドの気筒をまかなっているのでこんな風に排気管の間が空くのだな。1-2-2-1ではなく(1キャブ1)(1キャブ1)(1キャブ1)だったのだ。
インテイクを三つ別々に真横に開口するのは…まあそう言う時代だったというしかない。
このリベットもかなり盛大なものだったらしいとわかる。
こちらはキット。上の写真を見る限りそれほど大げさではないのだろう。しかし、このイボイボはちょっと気持ち悪い。なんだか生理的な嫌悪感を催す。
なので寒イボみたいなリベットはキレイサッパリ削り落とした。ついでに排気管の穴もあけて真鍮パイプを埋め込むことにする。
ちと面倒臭い作業とはなるが、これはデボワチーヌD510でもやったディティールアップだから同じイスパノ12Mエンジン機を横に並べようとしたら揃えてやらなくては可哀想だ。
元はと言えば20歳くらいの自分が身の程知らずにもやり始めたことなのだ…まったく…となると下のインテイクの大穴も開口するほかはなくなるな…
やれやれ、どうやら前途は多難なようだぜ…