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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

ニューポール・ドラジェNiD622-1「翼よあれが巴里の街だ」 エレール1/72 製作記

デボワチーヌD510の次のお題を何にしようかと随分悩んでいた工房主。自分の中では各国の大戦間の航空技術的にエポックメイキングな機体を並べてみたいという思いが以前からある。羽布張り複葉機から全金属低翼単葉にいたるまでの道程を歴史的に辿れば面白かろう。

しかし意外とキットが揃わない。戦間期というだけあってどれも目立った戦歴に乏しい。華々しい活躍をした零戦やメッサーと違って知名度も人気もない。そんなものをキット化したところで見向きもされないのがプラモデル界。最新のタミヤセガワなどは望むべくもない。

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それでも探せばある。ただし怪しげな東欧のメーカーか、フロッグ、マッチボックス、エアフィックス、レベルあたりの太古のキットとなってしまう。そこら辺になるともう素で組み上げるだけで大変な労苦となるのは目に見えている。首尾よく完成したとしてもフロッグなどは粘土細工みたいなヒコーキが出現するだけだ。ボーンクラッシュ メイクス タイアードという故事の通りとなる。

こういう時に"エレール"というメーカーは有難い。よほど古いものを除けばそこそこの精度のものがカッチリ組み上がる。そしてアイテム選択が渋い。見事に他のメーカーと被らない。メッサーならBf109B/CとK、Me262は複座のB、とまさにマイナー路線。メッサーなら109GかE、あとは零戦や飛燕がウヨウヨ出ている日本とはずいぶん違う。

フランスのメーカーだから自国の飛行機にはひとかたならぬ愛情が注がれている。コードロン・シムーンやモランソルニエ223など他ではまず考えられない。文化遺産に対する考え方の差、というと大げさか。人と違っていることを何よりも尊ぶ国民性のなせる技かもしれない。

まあそんなことやってると商売的には左前になってしまうのが現実社会のキビしさ。何度も倒産、身売りの憂目にあっている。今回のキットも実は金型がチェコのSMERに流れた時期のものだ。これまた何故か我が家の押入れに長年眠っていたのを今しがた揺り起こして連れてきたニューポール・ドラージュのNi-D622。

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箱絵はイマイチ。古いエレールの輪郭線を省いた絵画風の箱絵が好み。

Ni-D622はデボワチーヌ500の前のフランス空軍の主力戦闘機。同じイスパノの12気筒液冷エンジンだが鋼管フレームの一葉半で主翼は羽布張り、とまさに戦間期の航空技術の推移を象徴するような機体。金属材貼り合わせの翼間支柱や脚柱のラジエーターが雰囲気である。原型のNi-D62の初飛行は1928年、パリにアールデコの風が吹いていた時代の話だ。

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箱の中身はこんな具合。

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デカールは良さそう。エレールのデカールは堅くて分厚いからこれ目当てでSMERを選択した、、、のかな?昔の俺は。ネットを漁るとエレールの古い時代の箱絵を見つけた。

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セーヌ川エッフェル塔、黄ばんで靄がかかったような空…いいねェ…

SMERの箱はさっさと捨ててこちらをプリントアウトして工房の壁に貼った。時々製作の手を止めて、マグカップで両手を温めながらコーヒーをすすり、その絵を眺める…いいねぇ…

 

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