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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

完成品画像 "デボワチーヌD510" エレール1/72

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デボワチーヌD510の原型D500は1930年、エミール・デボワチーヌがフランス空軍の単座戦闘機競争試作"C1プログラム"コンペに応募するため設計した機体です。

f:id:sigdesig:20210227165631j:plain全金属製の片持式低翼単葉を採用、さらに沈頭鋲を採りいれ当時の戦闘機としては最先端のコンセプトを流麗なシルエットにまとめあげたD500、1932年の6月、マルセル・ドレの操縦で初飛行に成功します。

f:id:sigdesig:20210227165711j:plain 競い合ったのはD500の他にも8機、複葉、パラソル翼、低翼単葉、双胴の推進式、とさながら最新航空技術の展覧会のようでした。

f:id:sigdesig:20210227165615j:plain最終的にデボワチーヌD500はC1プログラムに勝利を収めましたが、パラソル翼のロワール26や複葉のスパッド510なども同時に発注されました。同時期のライバルは英国のホーカー・フューリーやドイツのハインケルHe51など、ほとんどが複葉機だったのです。

f:id:sigdesig:20210227165551j:plain唯一の例外の米国のボーイングP-26も、主翼は片持ち式ではなく張り線で支えられた旧式のものでした。

f:id:sigdesig:20210227165518j:plainD500も開発中は決して順調とは言えませんでした。パラソル翼レイアウトにした機体との比較を指示されるなど、片持ち式の低翼単葉機に対して、根強い不安と懸念とが空軍上層部にはあったのです。

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最新技術に慎重で保守的な姿勢を崩さなかった当時のフランス空軍。この後の戦闘機近代化の波にも遅れを取ることになります。

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D500が実戦化される頃、ソビエトのポリカルポフが”I-16”を初飛行させます。金属モノコック構造の低翼単葉で、量産戦闘機では初となる引込脚を装備、さらに時代を先取りした機体でした。

f:id:sigdesig:20210227165246j:plainそして、その一年半後、ドイツではメッサーシュミットのBf109がついに初飛行します。モノコック全金属外皮の低翼単葉、引込脚、密閉風防は第二次大戦における単座戦闘機のスタンダードとなり、それ以前の各国の戦闘機達を一気に時代遅れにしました。

f:id:sigdesig:20210302225606j:plainデボワチーヌD500も例外ではありませんでした。1936年、スイスで開催された国際速度競技会に参加したドイツのBf109のスピードはD501で臨んだフランスチームを圧倒しました。フランス人パイロットたちは「ひとたび戦争になれば、我が国の空軍はおそらくまるで歯が立たないだろう」と語ったといいます。 

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この後ヨーロッパにはファシズムの嵐が吹き荒れ、戦雲が暗くたれ込める時代になっていきます。

D510は引込脚のモランソルニエMS406やデボワチーヌD520に道を譲りますが、フランス人パイロットの不吉な予言はまさに現実のものとなってしまうのです。

 

製作者雑感

「モラトリアムの彼岸から」デボワチーヌD510 エピローグ - sig de sig

 

------------製作記事はこちらから------------

 

sigdesig.hatenablog.com

 

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