望外な安価で雇えた用心棒「烏口の介」の凄腕で蛇の目が綺麗に描けて恵比寿顔の工房主である。続いて部隊マークのストライプなどを描いていこう。
[無臭筆塗り備忘録]:マーキング カラスグチ
まずは方向舵の三色旗カラー。
こちら、義母伝承のカラスグチ。通称「直引きのお輝」
「わたしでも平面で定規が使えれば…スウ…これこの通り、ホホホ」
これで赤白青の三色旗がキレイに塗れた。後から気づいたが、両端の赤と青を先に適当に塗ってから、真ん中の白帯をカラスグチで引いた方が手間が少なくていい。アクリルガッシュは白でも隠蔽力が高い。
[無臭筆塗り備忘録]:マーキング 白 ガッシュ
白、白、と言ってるが実際はターナーのガッシュのニュートラルグレイ#8。当方、生の"白"をヒコーキ模型に塗ることは滅多にない。
「白は…平等を表す。人は皆平等なのだよ、ウォーフ」
「艦長、自分には理解できません。闘いに勝ったものが上に立つのが当然です」
”スタートレックTNG”のピカード艦長は"理想の上司"とよく言われる。組織人としての経験がさほど長くなかった自分には今一つピンとこなかった。考えてみればこれでも個人事業主だから自分はむしろピカードの側たるべきなのか。だとしたら事務所の次席はライカーでもデータでもなく、かのベタゾイド人のカウンセラー、ディアナ・トロイが理想であることだけは声を大にして言いたい。
「赤は…愛を表す色なのだ、カウンセラー、ヒヒヒ」
「…どこ見てるんですか艦長…あッ、また助平な事を考えてるッ!」
「いやいやいやいや、違うんだ、誤解だ、待ってくれ…」
馬鹿を言ってないで尾翼の”1番”をカラスグチと面相筆で仕上げよう。
”いなせなまっしぐら、ナンバーワン野郎!”
この「1番」を描き上げた時、なぜか「俺いま”模型作り”してるなあ」という至福の実感がグワーッと湧きあがってきた。物書きなら”名状しがたい思いが胸を衝いた”などと表現するところだろう。これがヘタクソなりの「手作り感覚」なのか。
[無臭筆塗り備忘録]:マーキング 面相筆
そういうわけでお稲荷さんも下書きなしのフリーハンド面相筆。親譲りのツリ目で小さい頃から「キツネキツネ」と呼ばれてきたから「キツネ」は自分のトレードマークである、だからキツネの絵を描くのは得意だ。コンコン。
十円玉を横に置いてどれほど細かい作業かを懸命にアピールする工房主。米粒コケシならぬ米粒キツネ。左右のキツネが違う顔だし帯はヨレヨレだし塗膜も凸凹だしで手描き丸出し…ソコがいいんだよソコが。
赤い帯にかわいらしい白狐のマーキングはなかなか”小粋”。
「正一位、女に化けて朧月」