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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

紫電-15「神よ小物に宿りたまえ」アオシマ1/72製作記

"God's in the detail"「神は細部に宿る」ミース・ファンデル・ローエだったか。けだし名言ではないだろうか。モデラーの祈りの言葉にすれば今回のお題になる。

まあ、"神"とまではいかなくても小物にパーティングラインなどが残ってしまっているとその模型は途端にオモチャ臭く見えるものだ。自分がヒコーキプラモを作る場合は機体が先に出来上がるケースが多い。そうなると一刻も早く完成した姿が見たくなるもので脚やピトー管などはつい工作がおろそかになる。

だからこれは自分に対する警句、戒めの言葉でもある。”小物”といっても小さいパーツというだけであって、けして"大物にあらず”の意味ではない、と。

前回の機銃、脚に引き続いてピトー管

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機銃が金属化したのでバランス上、こっちも金属で置き換え。0.8mmの真鍮パイプに0.3mmの真鍮線を差して作る。貫通させた反対側にも長めに真鍮線を出しておいてブッスーッ!と翼に深々と突き刺してやる。

1/72の20mm機銃もピトー管もアフターパーツが発売されてるヨ!と何度も言われる。でも買わないで自分で作る。自分で作った方が楽しいんだぜぇ〜などと平民モデラーの負け惜しみの捨てゼリをその度に吐きつつも…

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これもたくさん作った中からキレイなものをよりすぐって採用する。ファッションモデルのオーディション選考委員にでもなった気分だ、いやまあ、農協のキュウリの選定係の方が近いかも。

アンテナ柱も金属化
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真鍮パイプを叩いて潰す、という寛永年間より伝わるいにしえの技法で丹精込めて作りました…しかしこれは伸ばしランナー削った方が実感があるような気がするナァ。

紫電最後のチャームポイント、ちっちゃな後付けオイルクーラー。これがあってこそ紫電、という感じで素敵。ウッフ〜ンと色っぽくまるでマリリン・モンローの口元のホクロだ。
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暑い地域では潤滑油の冷却容量が足りなかったらしいが…これは結構な空気抵抗になっただろう。まあこの子生まれは大晦日だったからねぇ…(紫電の初飛行は1942/12/31)

オイルクーラーといい武装周りといい、ここらの後付け感、ドロナワ感が紫電の魅力だと自分などは勝手に喜んでいる。陸上戦闘機は初めてだった川西飛行機の技術者たちの苦労が偲ばれるというものだ。

次は増槽。

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自分はあまり模型に増槽は積まない。飛行機自体のクリーンなフォルムを愛でたいから、という理由が半分、めんどくさいが半分…イヤ モット カモ…

今回は垢抜けない紫電のイメージを強調する意味もあって増槽も付けてみた。配管やステーがゴチャゴチャしているところも芋洗いの雰囲気だ。フィリピンの紫電は強行偵察任務についていた、という表現でもある。例えば零戦なら52型には増槽は付けなくとも21型には絶対つける。タイフーンにロケット弾は欠かせないとか…

最初は何の考えもなく下面と一緒に銀に塗っていたが、この時期はたしか増槽もアルミ製ではなく木製が多かったはず、とフト筆を止める。翼下面は塗料節約の為の無塗装銀だとしても、増槽まで下面に合わせてわざわざ銀に塗るだろうか…

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これは悲願の翼内機銃装備が叶った後期の乙型。増槽には塗装がされている様に見える。

そこで明灰白色に塗りなおしたわけだが…
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ちょっとチグハグな感じ。ではあるけれど、自分なりの推測だからこれでヨシ。むろん明確に記されている資料などを見たわけではない。突っ込まれるのは覚悟の上。

模型を作る合間にそんなことをアレコレ考えるのも大戦機模型の面白いところ。ただしあまり深く考えこみ過ぎると手が動かせなくなってしまう。「歴史ミステリー趣味」のナワバリに近づいたな、と思ったらその手前で引き返して「模型趣味」に戻ることにしている。

…わたくしはモデラー”真実”より”完成”を追い求めるものです…

 

というわけで無事完成、次回は完成品画像。

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