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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

紫電-13「アクリル絵具でじゃぶじゃぶ」アオシマ1/72製作記

現代に戻って来てほっと一安心のブログ主である。ともかくこれで一通り筆塗り作業は終了。

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しかしながら日の丸の赤の彩度がキツすぎるのが気になる。緑と赤は補色の関係だから目がチカチカしていけない。これはどうにかして抑え込みたい。普通ならウォッシングを施すのだが、なんといってもガッシュは塗膜が弱い。エナメル系田宮組の連中の洗礼などを受けた日にはたちまち顔色を失ってしまうだろう。

ヒノマル、機番とここまで手塩に掛けて育ててきたのがズルリとムケてグレてしまいでもしたら目も当てられない。かといってガッシュでのウォッシングは難。薄く溶き過ぎると粉をふいた様になるからだ。

そもそもガッシュは不透明画材で光を乱反射するための粒子が入っているらしい。まったく要らぬものを混入しおって、などと怒ってはいけない。その粒子のおかげで隠蔽力も高く、しっとりして平滑な塗膜が出来るのである。薄めるなら粒子や顔料の少ない透明画材を使うべきなのだ。

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同じアクルリ絵の具でも”リキテックス”は透明画材である。それなら一応基本色くらいは持っている。10mlのチビッコサイズだがこいつを混ぜて薄く溶いて使えば良かろう。

ところが世の中そんなにうまくはいかない。リキテックスだからといって全て透明画材、という訳ではなかったのだ。色によって透明度に違いがあり”透明”、"半透明”、”不透明"の3つに分かれているという。実は小さく表示があって…ええ?どこにい?これこれオマエたち、遊んでないでここに並んでおヘソを見せてごらん。

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ハァ〜イ センセー

おおほんとだ。色帯の上に"透明、半透明、不透明"と記載されてある。今まで気付かず適当に買っていたのか…(カラー表を見るとどうやら”透明”の方が少ないようである…ナンジャ ソラ)これじゃいかんと慌てて画材屋に買いに走った。

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レギュラーサイズだとさらに表示が小さい…「世の中、字が小さ過ぎて読めなーいッ!!」と叫びたくなる気持ちも解る。

画材屋の店先でリキテックスのチューブひねくり回してるオッさんを見かけたら、どうか優しく「ワタクシが見て差し上げましょう」と声を掛けて頂きたい。目の良い若い方がよろしい、特に美大の女子学生の皆様、よろしくお願い申し上げます。

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とりあえず

”トランスペアレントローアンバー”

というどこで区切って読めば良いのかわからない名前の絵の具を買ってきた。せっかく日本語で書くのなら「透明暗褐色」とでもしておいてくれると自分の様な門外漢にも分かりやすくて有難いのだが。ともかくその”トランス何ちゃらー”を水と少量のペインティングメディウムで薄く溶く、とこれが中々いい感じである。

これでヒノマルの彩度を殺していく。やってみると粉もふかないしムラにもならない。スジボリにスミイレ状に残りもする。恐れていたツヤもあまり出ない。やるな、リッキー。

とはいえやはり水ハジキは気になる。エナメルや油彩の様にスゥーッと馴染んでいって、えもいわれぬ様な実感溢れる雰囲気を醸し出すウォッシング、とまではいかない。これは水性の限界だろう。

まあ薄ガッシュの塗り重ねでグラデーションは既に得ている。求めるのは彩度や色調の補正効果だ。その用は充分に足すから文句はない。

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画像だと分かりにくいが、黄橙色も日の丸も結構彩度が落ちている。

例えば"ガッシュで下地を作った上にリキテックスでグラデーションを付けていく"という塗り方もあると思いついた。粉ふきやカサ付きも抑えられるはずだし、うまくすれば色に深みが出るかもしれない。一度試してみる価値はありそうだ。

続いてプロペラや排気管などを塗り、最後に表面保護とツヤ調整の為に薄く溶いたパーマネントマットバーニッシュを平筆で塗る。

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バーニッシュとメディウムはいつもどっちがどっちだったかわからなくなる。

バーニッシュは上塗り剤

メディウムは塗料に混ぜるもの

と使い方が違う。「艶消しニス」なんて年寄り臭い書き方は小さくしか表示されていない。

ちなみにバーニッシュとはvarnishと綴るようだ。幕末にエゲレス人の船乗りが言った「上塗りするのはヴァニッシでェ〜ス」が「ワニスじゃけぇ」となり、薩摩あたりで「ニスでごわす」となったのだろうか(←勝手な想像だが覚えやすい)

どうも芸術方面ではやたらと横文字を使いたがるので困る。先日も"スロードライブレンディングメディウム"か"グラデーションメディウム"かで悩まされた。前者はまずどこで区切って読むのかで苦しんだ。リターダーのことらしいが、ゆっくり運転してどうすんだ、と相変わらず馬鹿のガラッ八である。

画材屋の店先でメディウムの瓶を手に首をかしげているオッさんを見かけたら、どうか優しく「アタクシが説明して差し上げますわ」と手ほどきして頂きたい。特に絵画がご趣味のお金持ちの有閑マダムの皆様、よろしくお願い申し上げます。

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表面のデコボコをラプロスなどの極細番手のペーパーで軽〜くさらっては塗り重ねる、を繰り返す。おそらくエアブラシで水性クリアを吹付けすればもっと平滑になるのだろうが、文明の利器は使わない方針。筆跡や荒れや傷は筆と絵具で乗り切った証だ。

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主翼のシットリ潤い肌が美しい。紫電もこの角度からだとなかなか精悍な姿を見せる。

そろそろ完成が見えてきた。

 

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