さて紫電の下面はカゲロウお銀、いや無塗装銀だとして、問題はどうやって塗るか。
”ノンスメル・モデリング”でいきたいから使うのは水性塗料だ。しかるに水性のメタリックは総じて粒子が粗い。無塗装というよりは銀ラメ、塗るとキャバ嬢のネイルみたいになる。
"お気楽ナナニイ筆塗り"でいきたいから筆塗りだ。メタリック塗料を筆で広範囲に塗るのは水性に限らず難易度が高い。金属粉が揃わずどうもムラになりやすい。中学生の少ない小遣いで初めてピースコン・ヤングを買ったのは飛燕の銀塗装の為だった、と太古の昔を思い出す。
さらにこの夏の猛暑ときた。連日体温越えではたまらない。塗ってる尻から筆が乾いていきやがる。その都度薄め液を足すもんだから塗料の濃度がまちまちになってさらにムラになる。「銀・筆・暑」の三重苦だ。製作の手も止まろうというものではないか…(イイワケ)
試しに塗ってみたタミヤアクリルの銀。
増槽ラックの右がフラットアルミ、左がクロームシルバー。思っていたよりはマシに塗れたが、どうもボッテリして、”無塗装銀”という感じには遠い。(フラットアルミは鋳造品のエンジンブロックや減速機などにはいい雰囲気になるから使い道はありそう)
ガッシュのシルバー+ペインティング・メディウム。(増槽ラックより左側のみ)
シルバーはガッシュには珍しく隠蔽力が弱い。光沢はテラテラで素晴らしいのだがどうにも軽薄だ。機体に婦女子の裸体を描いて喜んでいるようなお調子者の米軍機ならともかく、敗戦間際の日本軍の機体には似合わない。特にどてらを着込んだ"荒井注"みたいな風貌の”紫電”にはなおさらだ。
ちなみにここまでのテストピースは生前のサンボルのおっちゃん1号。そしてサンボルのおっちゃん2号が満を持して登場する。
「い〜よいよオレの番っすねえー。待ちかねましたでェ〜」すでにアクリジョンのベースカラーのサフを身にまとい、実験台になる気満々。ややフテブテしい表情にも見える。
ここで水性塗料界の情熱のマタドール、ファレホ・メカカラーを投入する。このメカカラーのメタリック系が評判良いとのことでわ〜ざわざ某クスまでえっちらほっちら買いに出かけた。スペインまで行くのに比べりゃ何ほどの事もあるまい、アリガタく思え…って?…まったく嬉しくって涙が出らあ…
”メカカラー”というのはガンプラ用らしい。パッケージの絵がなんだかアレだが…関節を動かすロボット系模型に塗っても大丈夫な様に塗膜が強いそうだ。そっち方面は守備範囲外なので自分には必要はない。ただメタリック系の粒子が細かいらしい。少しだけお高くてお値段380円…ウヘェ〜。何ってったって舶来だよ、おっかさん。
しかし 塗ると驚くのは隠蔽力、塗料のノビの良さ。なによいムラにならない平滑さは素晴らしく、澄みきったアンダルシアの青い空。ジュラルミン肌の筆塗り表現に関する限りはラッカー、エナメル以上に使いやすいと感じた。いや大したもんだよカエルのションベン。
部分的に黒を混ぜて変化をつけてみた。やや薄めて塗り重ねてはいるが、すぐに塗り重ねても泣かない塗膜の強さはピレネー山脈。見上げたもんだよ屋根屋のふんどし。
この後アクリジョンと新水性ホビーカラーのシルバーなども試すつもりだったが、ファレホでこれだけ塗れればもう結構だ。けっこう毛だらけ猫灰だらけ、おケツの周りはファレホだらけ、ときたもんだ。