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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

ジョンとガッシュのダブルファンタジー

なにやら悪巧みを思いついて近所のジョーシンで嬉しそうにアクリジョンカラーを買ってきてブラック魔王的笑みを浮かべるブログ主である。

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中島系と三菱系が混じってるとか明灰白色の方だけが”光沢”だとか”J3”っぽくないとか、色々ありましょうが、そういうコ難しいミリタリー周りのツッコミはこの際、忘れようではないか、塗料のテストなんだからサ。ほいたら塗ってみよまい。見せとうみ、

「アクリジョンの実力とやらを」・・・これが言いたかったのね、わかるわかる。

とはいえ酷暑のさなかである。空調をかけても室温は27~28度くらい。時折B-29の空襲がある。決して塗料の筆塗りテストにふさわしい環境とは言えない。だから以下は少し辛めのインプレッションとなるはずだ。

筆による塗り心地はやはりベースカラーとは違う。重くて乾燥が速くムラになりやすい。その点はラッカーに似ている。専用エアブラシ薄め液で溶くと今度はえらく乾燥が遅くなる。水で溶くと溶けきらない塗料がのたくったようになった(左側)。

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隠蔽力はあまり高くない。なるほどベースカラーが白とグレーの他に赤青黄緑と各色ある意味がわかる。ただし塗膜の強さはなかなかのもの。パクトラタミヤ軍団のエナメルウォッシング+溶剤綿棒拭き取り攻撃に対しても見事に耐えてみせた。数日たって完全に重合完了後、という条件はつくが。

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蓋にアクリジョンを塗って数日後にタミヤのスミイレ塗料

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目を離した隙に塗料瓶からウニョウニョウニョ〜ンと伸びてきた謎の触手が?!
…というのはウソで瓶の縁にこびりついた塗料。ゴムっぽいというかビニールっぽいというか"マスキングゾル"みたいだ。さだめしあの"ゾル"の野郎もエマルジョン一味なんだろう。…だとするとこの塗料カスは瓶の中に戻しても溶けない?←実はその通り。

スーパー無臭塗料“ジョン・ガッシュ

さてお目当てのガッシュとの混色。さ〜て、隠蔽力の高さ、塗りやすさ、それに加えて塗膜強度を併せ持ったスーパー無臭塗料“ジョン・ガッシュ”の誕生!…となるか?

とりあえずはキレイに混ざってくれるし、塗っても問題は無い。アクリジョンの調色にガッシュを色味程度に入れるのは問題なさそう。しかし数年後に全身に謎のひび割れが入ってジャミラ化する、かどうかまではわからない。

逆に塗膜強化策としてガッシュにアクリジョンのクリアーを少量混ぜてみることにした。自分の目的はこっちがメイン。ただしこのアクリジョンクリアー、見た目は全然クリアーではない。フタを開けた瞬間に、わぁなんなんコレぇ!と目をむくだろう。

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乾くと透明になる、というエマルジョン系特有の”クリア”である。乳化して白濁しとるわけですな。だから「巨」をつけないでって!

リキテックスやファレホのグロスバーニッシュやマットバーニッシュも同じ。あのへんをトロっと濃くした感じ。 濃度が難しかったが、いつもの様にガッシュを水で軽く溶いてアクリジョンのクリアで伸ばした。

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翼端はアクリジョン専用エアブラシうすめ液をごく少量入れて筆塗り、胴体側の薄い方はさらに水で溶いて極薄塗り重ね。こうして見るとアクリジョン単体よりは塗膜は平滑だが、どうも筆ムラが出て隠蔽力が下がる傾向。

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指触乾燥後、水綿棒で優しく撫でる位なら平気である。コンニャローとばかりにギシギシこすってやったら"ぺろぺろーン"という感じで剥がれる。

数日たって完全に重合したらガチガチ。水綿棒どころか爪ごときでは剥がせなくなった。ただしエナメル溶剤で拭うと塗料がティシュにつく。

ガッシュの美点の筆での塗り易さ、隠蔽力がかなり失われ、逆に塗膜強度はやや向上する。(この二つの特性は相反関係なのか)しかしエナメルのスミイレ、ウォッシングは微妙。やはりスーパー無臭塗料“ジョン・ガッシュ”……は残念ながら夢であったようだ。予想以上にジョンの遺伝子の方が強かった。OH!ヨーコ!

混合比をシビアにコントロールすれば妥協点は見いだせるかもしれないが、そこまでしてこの二種類の塗料を混色する必要性があるかどうか。まあ塗料に何を求めるかによるだろう。モノグサな自分は塗膜保護ならリキテックスの"パーマネント・マットバーニッシュ"の上塗りを選ぶだろう。画材系の入手性は家電店で買えるアクリジョンには劣るがファレホほどでもない。

おっちゃんの最期

試しにその他各種メディウムやアクリル塗料などアレコレ混ぜてみては「被験体 第47号D"サンボル"」に試し塗りしては各種溶剤で洗い落とす、を繰り返す内についにサンボルの主翼がバキバキに割れてしまった。

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ぐうわああ〜、シンナーがっっっワシもうあか〜ん…

なんだかシニガミ博士が地下室で改造ミュータントの実験してるような感じになってきたのでこの辺でやめておこう。

 

総じてアクリジョンは模型塗料界の「疾風」というよりはちょっとクセのある十五試局戦「雷電」だったようだ。以上は筆塗りでの話であってエアブラシでどうかは試していない。何やらエマルジョン系は吹き付けには向かない、との話も聞くから無理してトライしようとは今のところ思ってない。

新水性カラー

ちなみに昨年”水性ホビーカラー”がリニューアルしている。乾燥、塗膜の強さはラッカー並み、エアブラシでも使いやすい、とのメーカーの談である。それが本当なら、こっちこそ模型塗料界の大東亜決戦機 「疾風」!…

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…なのだが、これは以前試したことがある。

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無希釈一発塗りでこんな感じ。筆で塗る分にはタミヤアクリルと大差ないような感触だった。まあタミヤより臭く無いのは良いが。うーん「隼三型」くらいかナ。

 

各色出揃っていてエアブラシでの評判も良いようだから、いずれラッカー系をリプレイスしていくのかもしれない。個人的には絵の具の調色には面倒を感じない...というかそこまで正確性にコダワラナイ。今のところ極薄ガッシュ筆塗りが楽しいし、当工房で新型水性をエアブラシで試す日が来るのは少し先になりそうである。

という訳で今回は紫電に一切関係ない話だった。紫電も作らねぇで何してやがる、と言われそうだが、どーせこの暑さでは筆塗りなんざまともに出来ゃしねえよッ…と開き直っておこう。

 

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