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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「南海の褪色王」F4U-1コルセア-3

概略イメージ

塗装に先立って実機がどの様な褪色をしているか、およその傾向を資料本やネットの写真を見て掴んでおく。

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南洋の強烈な陽光に曝されて、主に主翼水平尾翼が褪色し、なかでも羽布張りの部分が白っぽくなっている。

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ええ羽布張り?

そう、初期のコルセアは軽量化の為に主翼にも羽布張りの部分が存在する。羽布張りといってもハリケーンみたいに旧態依然のものとは少し違ってバルサ材の合板に羽布を張ったものらしい。5トン超の全備重量の機体でこんなミミッチイ軽量化をするのは体重100Kgのライダーがバイクのフェンダーをカーボン製に交換するようなもので効果は疑わしい。何か他の理由、例えば翼内小型爆弾倉のからみなどだろうか?

主翼の内翼部前方には褪色に加えてスレハゲが多くの機体に見られる。おそらく整備の時に皆ここに足を乗せたのだろう。

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ヘイ、ジョー、オイルはどうだ?
ああ、しっかり漏れてるぜ。オイルはまだあるってことだな。
…いやカワサキじゃねえんだから…

……という整備中の風景。(ウソコケ)

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主翼に比べると胴体は綺麗だ。(塗り直されているのかもしれないが)初期のバードケージタイプでは操縦席前のタンクからのガソリン漏れで機首周辺が異常に汚れている機体が多い。そこでF4U-1aではシールテープが貼られるようになった。コクピット前に引かれた白線がそのテープ。別に「このラインからフリースローを打て」と言ってるわけではない

この辺でだいたいのところは掴めた感じだ。塗る段になってイチイチ写真と首っ引きでチマチマやるのは性に合わない。手が縮こまってなんとも辛気臭い作品になってしまう。それはまあ”寸分たがわず実機通り”なのは模型としては優等生なのだろうが、そこは自分の目指す山とは別の山

だからこうして頭の中に「南海の褪色王コルセア」のイメージをしっかり作り、それに従って自由に筆をふるいたい。自由に、といってもこうした汚れ方の理屈をよく踏まえた上でのこと。なーんも考えんとノンベンダラリイと絵具を乗せるのが自由やあれしまへんえ。

機種選定

タミヤの指定はトライカラーだとジョリーロジャースのケプフォード機。これは懐かしのレベル1/32の素晴らしい箱絵の機体。ご幼少のみぎりに近くの商店街の「ABC模型」の上の方の棚に鎮座していたのを憧れの眼差しで眺めていたものだ。(コイツの隣には「長っ鼻のドーラ」があった)

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しかし有名すぎて少々食傷気味でもある。米海軍(&マリンコ-)の機番は大きくステンシルっぽい字体なのでデカールを使わずとも手書きできるだろう。ならばとエース機ではなくマイナーを狙ってしまうのはもっぱらブログ主のエリート嫌いと生来の天邪鬼のせいだ。

その実は前述の通り自由に筆をふるうためもある。有名機をイイ加減に作ったりすると粍御宅様から「実機写真と違う!」「こんなのなかった!」「ウソ!間違い!オタンコナス!」 などとMG42の前にノコノコ出てきた米兵のごとく蜂の巣にされてしまう。かといって架空の機番では自分の中のスケールモデラー気質がいまいち盛り上がってくれない。

そこで……

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ケプフォードの僚機の3番。

……また微妙〜なところを…… 

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下塗りはタミヤアクリル、たまたま手近にあったダークシーグレー。ガッシュに慣れるとタミヤアクリルでも臭く感じる。目指せ「無臭お茶の間モデリング

マーキング罫書き

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デカールをコピーしてその上に透明PPテープを貼ったものを台紙にする。上から細切りマスキングテープで機番を作る。

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最初はこの機番のマスキングテープを直接貼ろうとしたのだが、位置決め、やり直しが難しく、ヨレてしまってムキーッ!となる。待て待て、もっといい方法がないか考えてみよう。ホモ・サピエンス」とは「考えるヒトという意味だ。

もう一度コピーデカール上に機番を作り、その上からセロテープでカバー。セロテープを機番ごと台紙からはがしてキット上に貼り直してみた。上手くいって大喜び、ウッホウホ。

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セロテープの上から極薄刃のナイフでなぞって罫書き。失敗は許されない。文字通り息を殺して……

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ケガけたらマスキングを剥がして軽くペーパーでさらってやる。

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フリースローライン(?)もマスキング。普通の塗装方法ならこのまま塗り重ねればいいのだろうが、この後シャバシャバのアクリル塗料を何層も重ねるのでどうしても滲んでエッジがカピカピになってしまう。(実験済み)キャノピーのマスキングでも同じことが言えるのだが、こちらは透明部分を後からマジックリンやシンナーで拭けば問題ない。

 

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ラインもケガキ終了。直線なら定規もあてられるから、マアどうということはない。しかし国籍マークは左様な訳にもいかん。鉄十字ならともかくも、円や星を含んだメリケン印で一発勝負のケガキは拙者ちと自信がござらぬ。あとで”サンボルの金さん”とかいう遊び人で試し斬りいたすとしよう。

下面塗装

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ガッシュで作ったインシグニアホワイト。思ったよりも隠蔽力が低くて一瞬焦る。

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気長に塗り重ねていく。の〜んびり行こうよ〜俺たちは〜…

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下面をマスキングしないのは前述の滲み問題もあるが塗膜の弱いガッシュがはがれてしまうのを恐れてのこと。前回の零戦52型では上面色が下面に飛び散ったりしてムキーッ!となっていた。今回は少々飛び散っても水でも落とせる様に下面色をファレホのマットバーニッシュ+ペインティングメディウムでコートしておこう。こうやって少しづつ知恵をつけて進歩していくのである。ホモ・サピエンス」とは「知恵あるヒト」という意味だ……ウキ?

 

 

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