サエッタとフォルゴーレのイタリア姉妹が我が家に生まれたのは2019年の秋。ブログ上では完成品は零戦52型が最後となっていて、その後は並べたり比べたりウンチク垂れたりばかりしていたが、実は模型製作は現在に至るまで水面下で深く静かに進行している。
当ブログはなるべくトピック順になるように書いている。そのためリアルな時間軸を無視するのを厭わない。そのくせ時折思い出した様に時事ネタ季節ネタな記事も挟まれるので(零戦はそもそも季節ネタだった)Blog=(web log)とは名ばかりのサイトとなってしまっている。
もともとがホームページの更新が面倒なのでブログに乗換えた、という経緯からくるのと、ブログ主の脳内がやや散漫かつ単細胞型前世紀仕様ときているから、これはもう仕方ないのでゴメンナサイ、と開き直りとお詫びを同時にいたす次第であります。そろそろnoteにでも移行しようかと思ってたりもするのです。
そんなワケで”時間”は今年2020年の2月半ばまで巻き戻されることになる。クルーズ船は大変なことになっているねーなどと呑気だった頃だ。
この零戦でガッシュによる「新春お気楽ナナニイ筆塗りヒコーキ」を心の底から楽しんだブログ主である。次もこれで行こうと思うのは当然だ。"二匹目のどじょう"という言葉が頭をよぎる。”ナントカのひとつ覚え”というのもあったかな。
題して
「桃の節句は筆で塗ろう」
もはや季節はずれも甚だしいのでこのお題はこの瞬間にお蔵入り。
それはさておき機種選択。体得したばかりの"極薄ガッシュ水剥がしの術"をさらに自家薬籠中のものにせんと修行を積むのだから、実機において褪色が見られる機体でなければならない。銀塗装セレブなP-51姫やインクスポット貴族のBf109の君などはお呼びではないのだ。零戦以外で褪色の目立つ機体……そこでピンと来たのが……
「ソロモンの碧き逆さカモメ」F4-Uコルセアである。零戦同様、南太平洋の強烈な陽光のもと、ヤシの木の葉陰でハゲ散らかした主翼を休める姿が思い浮かぶ。
コルセアといえば数年前に買ったタミヤの1/72がある。
たしか作りかけのまま放置され今頃は押入れの隅で泣いてるはずだ。コイツを引っ張り出すと箱が妙に重い。はてな?と開いて見る。するとキットはすでに十の字になっている。こんなに進んでいたのか……
重さの原因は一緒に入っていたMrカラーのネイビーブルーやミディアムブルーの瓶。少なくともこの当時の自分は旺盛な製作意欲を保持していた事が窺われる。記憶の中を探ってみたが、ものの見事に覚えていない。たかだか数年前の自分の仕業がもう他人事なのである。
発掘された作りかけのコルセア。良好な状態を保っている。
蘇る海賊
PCの中にはしかし製作中の画像が残っていた。
EXIFを見ると2014年4月とある。
自らのノーミソよりもハードディスクの方がよほど頼りになる。外部記憶装置とはよく言ったものでMacとiPhoneがなかったらタダの腑抜けだ。
しかしここまでやっておきながらなぜ挫折したのだろう。自分は首を傾げた。コルセアには致命的な失敗の痕跡はみられない。このあと何か突発的なことでも起こったのだろうか?キングギドラが襲来したとか、大河ドラマの代役に抜擢されたとか、隣の吾郎ちゃんちの牛が産気づいたとか……どれも思い当たる節がまったくない。
だいたい何を思って1/72のコルセアなど作ろうとしたのか?今となってはそれすら定かではない。
ま、ここで単に息切れしたのだろう。合わせ目の整形は地道で単調で進行が遅い。トライカラーのエアブラシ作業など、行く道の煩雑さに倦怠を感じたような気もする。気力の弱い自分にはよくあることだ。
いずれにせよコルセアは放置されその間六年の歳月が過ぎた。このまま不燃ゴミに出されでもしたら浮かばれない。タミヤの技術者やシコルスキー博士に申し訳が立たん。「燃えないゴミ野郎はオマエの方だ」と”囁く死の声”が聞こえるところである。
あと少しの作業で塗装に入れるから筆塗り練習としては最適だ。エアブラシだと”シンナー臭い面倒臭いアホ臭い”の三重苦だが、ガッシュ筆塗りであれば最後の一つ以外は無縁でいられる。
このような次第で"コルセア製作記"の再始動となる。と言っても、ほとんど組み立て自体は終わってるから"製作記"というよりは"塗装記"と呼ぶべきか。