相変わらず阿呆な題名で恐縮だが、これもブログ主の精神年齢を現しているものとしてお許しを願う次第なのでございます。
いやホント1/72のプラモデルは並べて比べて見るのが楽しいんだヨ、というお話。1機だけ作るのなら1/48でもいいが。
21型と52型
手前 ハセガワ1/72 零戦52型 奥 タミヤ1/72零戦21型
それぞれ後期と前期の零戦の代表的な型式。
21型との違いは第一に1150馬力と2割ほどの馬力向上と高高度対応がなされた栄21型エンジン、第二に片側50cmづつ短くなった主翼。ここまでは32型と同じ。さらに長砲身高初速の20mm機銃。これは22型後期に導入される。
そして52型で推力式単排気管。これで最高速が20knm/hも早くなった、というのだから結構な秘密アイテムだ。続く52甲から52丙へと小改良を重ね、徐々に武装、防弾装備を追加。最終的には20mm2門、13mm3門にロケット弾、自動消火タンク、パイロット背後の防弾鋼板、前後の防弾ガラス、まで備えるに至る。また主翼外板を厚くして急降下の制限速度を上げていったことも地味ながら見逃せない。
当然、そのつど重量は増加し、初期の21型の軽快な運動性は失われていく。F4F、P-40といったライバル達も着実にパワーアップをして容易ならざる相手となってきた。さらに高性能なF4U、F6Fなどにも圧倒され、そしてP51、B-29らが1万メートルの高空を悠々と飛びはじめる。
数も力も遥かに及ばぬ敵に立ち向かわんと、重い鎧に身を固め身に余る大刀を携え、老骨に鞭打つ古武士の佇まいが52型にはある。その老兵にやがて特攻という悲しい任務も課せられる。。。
タミヤとハセガワ
模型的な観点に戻って、こうして同じアングルから見ると、、、
ハセガワの方が主翼が厚く、やや上反角が少ない。見る角度によってはちょいとおブスになりなさる。。。webサイトではその辺がゴマカシが効くのでわからないよね。これは模型製作者の腕で補えたはずだ。うむ、スマン。
その他にも外観上のタミヤとハセガワの違いはいろいろ指摘されている様だが、型が違うこともあって完成して見ると自分はさほど気にならない。本来同じ21型同士でタミヤハセガワを作り比べるべきなのだろうが、、、
そこまで零戦マニアではない、というか、そもそもの人間の出来が大雑把に仕上がっているらしい。
胴体の断面形状がタミヤは特に上面が扁平。最初は合わせ目を消すために削りすぎたかと思ったくらい。実際どうなのかは知らない。ウチの近所には零戦乗っている人いないし、タミヤのことだから実機を調べたのだろう、と能天気に受け入れておく。。。風防は21型の方が和室の障子の様な風情がよく出ているように見える。これは後発のタミヤの枠のモールドが細いから。末広がりの形状もハセガワより正確。
ここまでアップするとアラも目立つ。
対してハセガワの枠は太く、やや鉄格子風。第一風防正面の枠がより直線的になっているのにも気付く。防弾ガラスを装備する都合かと思ったが調べて見ると52型の中島製と三菱製の差という話らしい。
零戦は設計元の三菱だけではなくライバル会社の中島でも生産されたのは有名な話。意外なことに中島の方が生産数が多い。理想主義的に工芸品の様に仕上げていった三菱と生産性向上の為に割り切った改造を施した中島の差、などと思いをはせてみる。
このやたらと枠の多い大きな風防とだだっ広い主翼尾翼、細い主脚に黒いカウリングを持つ零戦だが、見ていて落ち着くというか腑に落ちるというか自然な感じがする。
自分は特に「零戦が好き!」というわけでもない。模型を趣味とする様になってからは飛燕だスピットファイアだ、果てはイタリア機だフランス機だとむしろ零戦からは遠ざかってきた。しかし人生で最もたくさん写真を見てきて、たくさん作った機種、となるとそれはやはり間違いなく「零戦」である。
そういう刷り込みもあってか一種の懐かしさを感じるのだろう。まあ「鮭茶漬け」みたいなものか。
「日本が世界に誇る零式艦上戦闘機」という言葉に異論はない。(殺戮兵器を「誇って」いいのか?というのはまた別の問題として)しかし「世界最強の戦闘機だった」と言われると自分はそこまでとは思わない。吉田拓郎は偉大だ。しかしだからといって「世界最高のフォークシンガーだ」と言えばディラン・フリークだったタダシは苦笑するだろう。そういうことだ。
堀越艦上劇場
始まりと終わり。
九試単戦と零戦52型。この間10年もない。第二次大戦中の航空機の発達はまさに日進月歩だったことがわかる。それでもまだ日本の進歩は緩やかな方だったのだが。。。「うっとこなんか複葉機の次はジェット機でっせ」 by グロスター
並べてやろうと特に計画していたわけでもく、何年か前からぼちぼちと作りためてきたら結果的にこうなった。無論、特に堀越が好き!というわけでもない。上にも書いたが幼少の頃から零戦本を読み漁っていた自分である。九試単戦とデボワチーヌの模擬空戦シーンを答案用紙の裏に描く様な小学三年生だった。「風立ちぬ」はさすがに劇場まで足を運んだが、欲を言えばパリかどこかで字幕版で観たかったものだ。
並べてみるとなんだか零戦32型も作ってここに入れてやりたくなってくる。、、、烈風も?イヤあれはあんまり。。。自分の模型製作のモチベーションは本来こんな所にあるのだろう。こうやって次々と自分の中でテーマを繋げながら好きな模型を好きな様に作っていけたら、と思わないでもない。。。それはマア浮世の義理もあるのだけれど。。。