いつまでも現実から逃げ回っていてばかりもいられない。もうP-47のキャノピーでも付けっちまおうかと思ったが、そういうわけにもいかん。いつかモデラーは揺るぎない決意を固めゼロの風防に立ち向かって筆をとらねばならぬ。筆、といってもフリーハンドでゼロに挑みかかるほどの腕もなく、ここは面倒でもマスキングをする。
零戦風防枠のマスキング法
これは以前1/72タミヤ21型を作った時のやり方。
細切りマスキングテープを四方に貼り付けていって真ん中はマスキングゾル、又はテープ。隅の角丸も表現していたが、、、たしかたっぷり二時間くらい掛かって「もー零戦なんか一生作らへん!」となった覚えがある(たぶん毎回言ってる)
他社から専用マスキングシートも発売されているらしいが、前にも言ったがアフターパーツは使わない主義。模型製作においてレジン、エッチングなどの社外パーツ、魚、肉、美少女アニメフィギュアなどを用いることは一切避ける禁欲的ヴィーガンモデラーなのだ。
そういえば以前、風防枠塗装済みパーツ入りの零戦のキットが発売されていた。いくら純正パーツでもアレはなんだか自由研究の肝心な所をお母さんに手伝って貰った小学一年生の夏休み開け的後ろめたさがあって手が出なかった。
一方、タミヤ の1/48零戦52型には風防枠専用マスキングシートが付いている。こちらは自分でカットする必要がある。正にその作業があるがゆえに己れが作ったという達成感を保ちながら、比較的容易に綺麗な零戦が出来上がる。程よい落とし所だと思う。
マスキングゾルを全体に塗って枠を切り出す、という手もあるが枠が30本だから60回近くカットする必要がある。こらえ性の無い自分のことだからおそらく43回目位で意識を失うだろう。
そこで直角を出して切ったセロテープ片を大量生産しておき、各窓に貼り付けて残りの二辺を極薄刃ナイフで切り取る方法を考えついた。計算上マスキングゾル法よりも1/2のカットで済む、との目論見だ。それにセロテープなのでスジボリが透けて見えて切りやすい、、、はずだが手元はやはり狂う事も、、、ある、多々ある。あ〜あ。。。
セロテープなのでどこまで貼ったかわからなくなる、という老化現象。その対策にマジックで印を付けていって終わるとマジックのフタが見当たらない現象。あちこち探しながら実は口にクワえている現象。苦笑しつつクワえたままフタしようと横着したら口元にマジックの先がついて謎のホクロ発生現象。
腰痛対策
いずれの方法にしてもかなり細かい単純作業が続くことには変わりない。自分は慢性の腰痛持ちである。ピアノを弾くビル・エバンスのごとき極端な猫背になって作業していると15分と持たない。マイ・フーリッシュ・ハートに続いてワルツ・フォー・デイビーが終わるころにはイテテテとなる。
なので少しでも背筋が伸びる様に、と椅子は背もたれのないハイスツールを導入している。金持ち歯医者やカリスマ美容師が使ってるアレだ。シケたオヤジがプラモデル 作るのに使って何が悪い。
さらに机の上に木製の踏み台を作業台として10cmほどかさ上げした。その上に二寸角(6cm角)の角材にカッティングマットを貼ったブロックを乗せパーツ固定台としている。こいつは縦にしたり横にしたり、好きな向きに出来るのでデカールの切り出しなどなかなか使い勝手が良い。
これで机からは20~30cmくらい高くなる。作業台下のトレーは引き出して削りカスなどの捨て場所、兼落下パーツのセフティゾーンとしている。それでも行方不明者が絶えない不思議。
この環境を整えてからは随分と模型作りが楽である。労働環境の改善で日本フルハップに助成金を申請したい。腰が直立してあたかも福音書に向かう聖マタイのごとき清く正しい姿勢になった。
「これで30分は大丈夫だな、見てろよルカの野郎」
下塗り、ループアンテナなど
そんなこんなで全部貼れたので、、、
零戦の風防の機内側の枠フレームは機内色ではなく黒だった、という説を採らせていただく。
なんだか芋虫みたいになった。日本海軍のパイロットには芋が多かったということだから、大丈夫だ。。。冗談ですよ、念の為。
ループアンテナがややデブッチョだったのでチョチョイと自作。
千枚通しに真鍮線を巻きつけて根元をクルクル。1分で出来るお手軽さ。
本当は二重で縦線が、、、なんてことは言わない約束。
実はヘッドレストの穴もピンバイスで開けている。本当は穴は四つで、、、だからいいってモウ。第三風防内部色は実機写真を見る限り色々あったような、、、今回は機内色で。
無臭風防接着
プラ用接着剤だとプラを侵して断面が白く光るし、瞬間接着剤では透明部が白濁する。透明部品専用の接着剤がベストだがすぐ固まってつかえなくなる癖に値段が高い。ウルトラ多用途SUはネバネバで使いにくい、、、と決定番に欠けた透明パーツの接着剤選択だが最近ネット情報で知ったトンボ鉛筆のピットマルチ2を試す。白くて一見木工ボンド風。水溶性でプラを侵さず、乾くと透明になるのも同じだが、乾燥スピードが早すぎず遅すぎずでちょうどエエ塩梅。
何より無臭なのがよい。最近はラッカーのニオイが体質的にも家庭的にも受け入れ難くなってきたブログ主である。
使い勝手も良く、何と言っても安い。郵便物の封なども出来る、、、というかそちらが本来の使い方。こういうその手があったか!的裏技流用品は大好き。
胴体と風防の間に多少隙間が開いてしまう。
ここは放置するとプラモデルプラモデルしてしまうので出来れば埋めたい気分。瞬間パテでやったら風防が白化してエライ目にあった事があるので溶きパテ。流れ込んだ溶きパテが反対側から白く見えてエライ目にあった事があるのでフラットブラックを混ぜる。人間、学習するものである。(エライ目にあった=関西弁で「苦労した」の意味。まるで自分は悪くないような言い方であるが、原因がおのれの凡ミスであっても平気で使うのが関西人)
溶きパテはラッカー系なのですごくクサイ。完全無臭模型にはパテ問題の解決が必要だ。
最後に枠に下地のグレーを塗って、準備終了、次は塗装。