細部の表現だけでなく、モールドやリベット、筋彫りにもハセガワとイタレリの差が現れている。
向こう側:MC202フォルゴーレ 手前:MC200サエッタ
サエッタのフラップ横の出っ張った丸型点検ハッチを見よ!戦車かと思うたわ。筋彫りは主要部のみで太くて豪胆ないわゆる運河彫り。リベットはフランケンシュタインの縫い目のごとく、表面はざらりと梨地仕上げ。欧州メーカーによくある筆塗り前提なのだろうか。一方ハセガワ製フォルゴーレは平滑な表面に精密かつ繊細な毛細血管彫りのエアブラシ 向け。
上:MC202フォルゴーレ 下:MC200サエッタ
サエッタのがっぽり凹んだ手掛けを見よ!雪に残った馬の足跡かと思うたわ。かくも表面仕上げにかなり差がある両機。単独で作るならあまり気にしないが、事実上同一の機体、今回は並べて展示するのが前提だからある程度は統一感があった方が好ましい。そこでハセガワの筋彫りの主要部をPカッターでなぞって太くしてメリハリをつけてやる。
「そこはイタレリ運河の方を埋めて繊細方向で統一せんかーい!」と叱られそうだ。(むろんサエッタには多少は筋彫りを追加で施した)確かにこんな模型作りでは昨今の精密超絶技巧重視の模型界では一塁にも出られまい。しかしそもそも軍用機というものは陰惨な戦争の道具である。殺戮兵器としての禍々しさ、荒々しさも含めての佇まいを自分は表現してきたつもりだ。汚らしいと言われても世間から評価が得られなくてもその方向性は変わらない。
屁理屈コネるのは大概にして模型に戻ろう。サエッタの「戦車リベット」翼上面だけはちょっと目立つので瞬間パテで埋めることにした。
手前:キットのまま。まさか沈頭鋲じゃなかったのかな?と不安になる。
向こう側:瞬間パテで埋め整形した後。
ただし胴体と下面はそのまま。
続いてリベット打ち。
図面等を見ながらリベットラインを鉛筆で下書きし、パーツの状態で合わせ目の周りを避けて打つ。ガイドテープを貼ってリベットローラーでコロコローっとすればあら簡単!残した部分は部品を貼り合わせて合わせ目を消した後に、今度は回転刃を指で固定し、押し付けるように打つ。あちこちツジツマが合っていないところは、、、そこはご愛嬌ということで。本来はサフを吹いた後に手打ちするのがベスト。ちなみにサエッタの陥没した手掛けのモールドはさすがに埋めた。
MC202フォルゴーレ 主翼
MC202フォルゴーレ 胴体
MC200サエッタ 翼
MC200サエッタ 妙に魚っぽい胴体
リベット打ちはサエッタには精密感が、フォルゴーレには迫力が出て両者足りないところを補う形でちょうどいい感じ。ただやりすぎるとクドくなるのが嫌で極力控え目にした。沈頭鋲というくらいなのだから実機ではよほどの至近距離、あるいは無塗装銀以外では目立たない。実は面倒なので必要最低限にしたいのが本音。
MC200サエッタ 操縦席前。
合わせ目のアクセスパネルの筋彫りを復元。リベットはキットのまま。こういうところはファスナーなので実機でも大きいし、少々オーバーな方がむしろ迫力があって良い。("むしろ迫力があって良い"というのは大方が技術的に洗練されていない場合の言い訳として多用される。ex「ドカティのエンジンは振動が多いが"むしろ迫力があって良い"」)よかよか、精密感よりも迫力、味を重んじるのが我が模型道。
MC202 フォルゴーレ 脚収納庫 かなり複雑。。。
MC200サエッタ 脚収納庫 さらに細かい。さすがイタレリ。
桁の部分は実機でも抜けていないのでブラックアウトしたりする必要はない。
手の込んだトラス構造は翼の小骨までにも及び生産性は悪かったことが察せられる。実際MC200サエッタの生産工数はなんと22,000時間。
(ただしイタリアなので食事と昼寝あわせて3時間の昼休みを除くとどうなるかのデータはない)
同様に凝った設計で有名な日本の零戦の工数は15,000時間。
(ただし朝夕のNinja修行時間を除くとどうなるかのデータはない)
対照的に高い生産性を誇るドイツのBf109で工数5,000時間。
(ただし工場の壁の「ノルマ未達成者は収容所送り」の看板を外したらどうなるか、、、)
MC202フォルゴーレの翼内機銃のモールド、、、
サエッタの12.7mmx2門のみから強化された翼内武装の7.7mm機銃。。。なんで今さら7.7mmなのよシニョール、、、と思ったのはイタリアンパイロットも同じらしく、重量軽減のため降ろした機体もあったらしい。。。
ええいとばかりに削り落として整形、、、あう、リベット消えた、、、
そんなんリベット打つ前にやっとかんとあかんしぃ。
穴あけ。
最後に真鍮パイプで立派な機銃を仕込んでやるばってん待っちょれよ。
(、、、といいながら忘れていた)