痛恨のミステイクとなった「デカール剥がれ事件」で楽園追放となったファルコである。代替デカール入手の道も閉ざされ今時なら「詰んだ」とでも言うべき状態で頓挫した。
しかし冷静になってファルコを見ると、幸い被害にあったのは目立たぬ下翼の下面である。幸いあの妙な十手の部分は大きく欠けてはいない。少なくとも「幸い」が二つ重なっている。。。であれば、天に見放されたというわけでもなかろう。まだ、なんとかなるのではないか。。。
さすがにマスキングは怖くてもう出来ないからフリーハンドの手描きに挑む。残された手段は他にない。ガッシュで色を合わせヘッドルーペで覗きながら極細面相筆。これ何回目やねん。しかし今度は範囲が広いからタッチアップでは済まない。復旧作業は困難を極めた。羽布張り表現があって塗る面が平らでないところへ筆で真円の縁取りを描かねばならない。テンプレートで鉛筆で薄くガイドをひいておき、息を止めて少しずつ描く。
、、、なんだってまたイタリア機の国籍マークはこんなに複雑なんだよう、ヒノマルだったら苦労はしねえのによう。全く日本海軍が早いとこ全世界を征服してくれてりゃあ「丸かいてちょん」で済んだんだ、、、そりゃそれでモデラーとしては退屈な世界になるかぁ。余談だがTVドラマ「高い城の男」がナチスと日本が世界征服をした平行世界を描いていて面白い。ハーケンクロイツのついたドイツ製コンコルドやサンフランシスコを統治する横柄かつ律儀な日本の憲兵隊などなど、いかにもの雰囲気。日本人としては汎アジアがごちゃまぜになった妙なジャポニズムに失笑しつつも楽しめる。
まあまあこんなとこだろう。近づいて見ると表面が相当デコボコなので国籍マーク周辺に水性フラットクリアを吹き、軽くスポンジペーパーでならす、を繰りかえす。なんとか遠目にはバレない程度に仕上がった。ウェザリングすれば目立たないだろう。
最近ではちょっと失敗したからと言ってすぐさま部品請求したりキットを新たに買ってきたりして新品パーツに差し替える、なんてお大尽な作り方が自分でも当たり前になってきているが、古いキットはこうやって自分に与えられたキットを最大限活かすことも大切だと教えてくれる。そう思えば、こうして苦労の跡が残ってしまうのもまた一興だ。
下面の国籍マークが多少ヨレたところで何がどうだというのだ。小さい小さい、小さいことじゃき。紙粘土に砂まいたベースに乗せたら誤魔化せる。それ見てピザでも食おうや、オーソレミーオ。。。
ん、それって結局最初の「お気楽作り」では?