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万年青二才の趣味三昧、走る、作る、観る、聴く、憩う。

「バルジ大作戦」レベル1/72 ファルコ -5

ファルコのカウリングには小さなバルジ(出っ張り)がたくさんある。

これはエンジンのシリンダーヘッドをクリアするもので、この時代の機体にはよく見られる、カウリングの直径を可能な限り小さくして空気抵抗を減少する効果を狙ったもの、とされているが、果たして。

確かに同じイタリア機のMC200サエッタなどはカウリングがグラマラスにボインと出っ張っていてカウリング直径は随分小さくなっている。(あのボインボインはそれはそれで抵抗になりそうだが)

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MC200サエッタ

 

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CR42ファルコ

サエッタ姉さんのゴージャスボディに比べるとファルコのバルジはチョボチョボで小学生、、、が蚊に刺された程度。カウリングもさほど絞られていない。空力の他に何か理由があるのだろうか?熱膨張の為のクリアランス?、あるいはそもそもエンジン寸法にバラツキがあるとか?、、、製造工数は確実に増えるはずだから当時の工員は喜ばなかったろう。後世のモデラーだって嬉しくないゾ。

1960年代のレベル社はこのバルジの存在をあっさり無視してくれている。1980年代の自分もスルーした。さて2019年の君はどうする?

折角いい形になったカウリングを台無しにしたくないが、ここまできたら乗りかかったイタリア機だ。カウリングが温存できて、工作が簡単で、なおかつ実感がありそうな、、、そんな都合のいい方法があるものか、いやないものか、夜な夜な考えた。

まず思いつくのは、プラペーパー上に瞬間パテをぽつぽつっと垂らしてみて、上手くいったらそれを貼り付けちゃおう、という安直かつ姑息なニホンカワウソ的手法
 

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試してみたら小学生の夏休みの工作か、といった有り様で自分の技術レベルがよくわかって泣ける。いや、そもそもフリーハンドじゃ間隔が揃わんのだ。

問1) ファルコのバルジの間隔を計算して求めなさい

ええと、まずカウリングにノギスをあて、測った直径に3.14を掛けて円周を求めます。前列の気筒数は7、バルブヘッドは1気筒あたり2カ所あるから、円周を7x2の14で割る。最後にスケールの72で割ります。ゼエゼエ。これをデバイダーで測って鉛筆で下書き。

 

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間隔はOKだがやはり瞬間パテでは形が揃わない。複列14気筒でつごう28個もあるのだから腕が足らぬ根気が足らぬ。足らぬ足らぬは気合が足らぬ。

さてそれではどうするか?

真正直に伸ばしランナーから切り出して一個一個貼り付けようか、、、28個もか、そんなド根性ガエルではない。テンプレートを作ってスジボリで逃げるか?いや手間の割には効果が少ない。

ある夜、寝床の中で思いつく。

「薄く伸ばした金属板の裏側からキットのエンジンを転がして跡をつける、てのはどうだろう?」

 

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これはこれで味があるけれど、ちょっと笑える仕上がりとなった。

ある晩、布団の中で思いつく。
「金属板ではなくプラペーパーの裏側から、エンジンではなくスパチュラで押し出したらどうだろう?」

 

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これはよさそう。色々試して半田付け用のアシスト棒の先を削ったものでクイクイ。最初は力加減がよくわからないが、慣れてくると形も揃ってくる。

何枚か作って出来の良いのを選抜しよう。となると、いちいちプラペーパーに線を引いてると大変だ。なので手前のマスキングテープ上にあらかじめラインを引いて定規にする、という大量生産システムを思いつく。

次に備えてカウリングバルジをもう1セットくらい作っておいてもいいが、今度レベルのファルコを作りたくなるのはたぶん令和40年くらいになるだろうからやめた。その頃までこっちの心臓が動いている保証もない。

 

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よおしイイ感じ。上の二つの失敗トライからのいいとこ取りで、まったく失敗は成功の母である(一体母が何人必要???)

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コイツをカウリングに合わせて曲げて、、、

 

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どない?

チョボチョボがややオーバーだが、これは確信犯。塗装したら結構ノッペリするからこれくらいのメリハリはあってもいい、という模型的表現、味付け、デフォルメ、外連味。。。

 

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流し込み接着剤で固定。上出来上出来。

しかしカウリングはわずかにすぼまっている様で、円周の終わりの方はバルジの並びが斜めになってしまった。胴体の白帯デカールなどでよく見られる様に直線ではなくわずかにRがかかってないといけないのか。理系の方なら自明の理だろうが当方の数学力はツルカメ算でストップしている。ここまでになると、もはやどうやって計算したらいいのか見当もつかない。結局下の方のバルジは瞬間パテで誤魔化すことに。。。

 

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丸めたカウリングと相まってだいぶと雰囲気が似てきた。

 

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ファルコの三男坊のファルボ、くらいかの。

こうやって手作り感溢れるDIY的な創意工夫で少しづつ実機に近づいていく面白さは、メジャーな機体の現代的な精密プラモ作りではなかなか味わえない。近年稀にみる愉しさだ。いや愉快愉快。ブラビッシモー!

 

 といったところで今回はこの辺で。

 


 

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