さていよいよこのキットの最大懸案事項のカウリングを料理する。40年前の自分ですら「機首がもひとっちゃのう」などと思っていた。生意気なマセガキだったと我ながら思う。だからこそリベンジを期したわけで、今回は何とかしてファルコに近づけたい。
これが実機のカウリング。
そしてこちら、底の抜けたバケツ 、、、ではなくてキットのカウリング。
実機写真を眺め、ペットボトルのキャップほどの小さな部品をひねくり回し、どうしたものかと数日悩む。イイ歳してちいせえ男だと我ながら思う。
社外品のディティールアップパーツもあるらしいが、そういうのは今回の趣旨から逸脱しているし、そもそも何でもかんでも自分でしたいという自らの信条に反する。模型製作において肉、魚、レジン、エッチングパーツ、美少女アニメフィギュアなどを用いることは一切禁忌。なにを隠そう自分は「唯我独尊自家発電」を旨とする鶯谷宗 九条OS派 DX東寺一門である。
馬鹿な事を言ってないでとりかかろう。
カウリングの先端を落として丸めてみた。まだ実機とは別人だが、とりあえずの方向性はよさそうだ。バリが出ていて窒息しそうな空気取入口もこの際だから切って斜めに削いでおく。豪胆にもカウリングと一体成型の排気管もニッパーでこの際切りとばす。
開状態の眠たいカウルフラップもこの際切りとばす。どうも「この際」切りとばしてばかりでふと不安が頭をよぎる。フラップをプラ板で作り直したカウリングを胴体に仮組みして様子を見てみよう。
ん、悪くない。
カウルフラップの後縁が歪んで(へたっぴ〜)胴体にぴったり合ってないからカウリング直後の胴体を削り込んで誤魔化す。いやなに実機もここは絞り込まれていて、零戦など空冷機によくある、タウネンドリング時代を引きずっている設計だからあながちウソッぱちやってるわけではない。戦間期〜大戦初期の機体はこの様にあたかも空気の流れが見えるようなデザインで自分は好きだ。層流翼、境界層剥離など目に見えない概念的なものになるとわれわれ文系モデラーには理解の域を越えてしまう。
ドンドン削る。似てきた似てきた、ファルコのいとこのマルコくらいだな。楽しい楽しい。
もう一息、丸みが欲しい。開口部に真円に丸めて固定したプラ板を裏打ちし、隙間に瞬間パテを盛る。削っていくうちに前縁がヨレてしまう(へたっぴ〜)のでこのプラ板をガイドにする。
色々な角度から撮った実機写真を眺めながら、先が丸っこいNACAカウリング独特の形状をイメージして削り込んでいく。こういう時に作業場の横に据付けているiPadが大変役に立ってくれる。バッテリーがへたって各種アプリが対応しなくなって家人から見捨てられてクンクン鳴いてた9年目の初代iPad、なのだが、我が工房ではまだまだ現役。
さらに削る。よおし。ファルコのひ孫のバルゴくらいにはなったかね。
なにより空冷エンジンの飛行機らしい顔つきだ、と思う。
ややイビツだが、空飛ぶポリバケツよりゃマシだろうぜ。
といったところで、今回はこの辺で。